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略歴
【時代と向き合いながら斬新な作品を発表した巨匠】静岡県浜松市の生まれ。浜松工業高校、オリエンタル写真学校を卒業、1933年に松竹蒲田撮影所技術部に入る。36年、監督部に転じ、島津保次郎につき、島津が東宝に移ってからは吉村公三郎につく。40年に召集されるが、41年に復員。43年「花咲く港」で監督デビュー、時事性に人間味を加えた才気あふれる作品として好評を得る。同年「姿三四郎」でデビューした黒澤明とともに新人監督に贈られる山中賞を受賞。「陸軍」（44）は出征するわが子を追い続ける母親を捉えたラストシーンが話題となった。だが企画した陸軍から軍国の母が女々しいと批判が出て、辞表を提出する。戦後第1作「大曾根家の朝」（46）は軍人の横暴を糾弾する映画の先駆となり、復活したキネマ旬報ベスト・テン第1位となった。このときの2位が黒澤の「わが青春に悔なし」で、以後何かと比較される好一対であった。「お嬢さん乾杯」（49）は育ちも趣味も違う2人が結婚するまでを快調なテンポで描き、「破れ太鼓」（49）は専制君主の父親をこらしめる喜劇。木下は常に時代と向き合いながらも何か新味を取り込んできたが、初のカラー作品の栄誉も担うことになった。その「カルメン故郷に帰る」（51）は浅間山麓に帰郷した2人のストリッパーが巻き起こす騒動を描いたもの。「日本の悲劇」（53）は戦争未亡人が苦労して育てた子供たちにも裏切られて自殺するという悲劇をリアリズムに徹して描いた。【抒情作家として不動の地位を確立】54年は、自由のない女子学園の生徒たちのレジスタンスを描いた「女の園」がキネマ旬報ベスト・テン2位、そして、新人教師と12人の生徒の心の交済を描いた「二十四の瞳」が1位に選出される。翌55年「野菊の如き君なりき」では初恋の悲劇をリリシズムで情感たっぷりに描き、57年の「喜びも悲しみも幾歳月」は燈台守として日本全国を縦断した実直な主人公の夫婦愛を描写、「楢山節考」（58）では姥捨て伝説のある村の母子を、歌舞伎様式で斬新に描いた。さらに同じ深川七郎原作の戦国時代の農民を描いた「笛吹川」（60）ではパートカラーを使うなど、常に新しい方法論を模索していた。一方で“年代記”ものは木下の独壇場で、「永遠の人」（61）、「二人で歩いた幾春秋」（62）、「香華」（64）と秀作を連発する。「香華」の後、活躍の場をテレビに求め『木下惠介劇場』で数々の秀作を発表。その後映画に戻って「衝動殺人・息子よ」（79）、「新・喜びも悲しみも幾歳月」（86）などを撮り、「父」（88）が遺作となった。
キネマ旬報の記事
第３章 映画と戦争をめぐる１０人のことば:木下惠介 僕の映画は残酷シーンはないんです、顔をそむけられちゃ困る、ちゃんと見てほしいから
生誕100年記念 木下惠介監督入門 後篇:対談 山田太一（脚本）×渡辺浩（撮影）
生誕100年記念 木下惠介監督入門 前篇:対談 山田太一（脚本）×渡辺浩（撮影）
追悼特集 ありがとう、高峰秀子さん:映画作家と高峰秀子 山本嘉次郎、成瀬巳喜男、木下惠介
特別対談 木下惠介映画を語る［後編］:山田太一×渡辺浩
特別対談 木下惠介映画を語る［前編］:山田太一×渡辺浩
追悼特集 永遠の人 木下惠介:作品グラビア
追悼特集 永遠の人 木下惠介:兄と私
追悼特集 永遠の人 木下惠介:「時代」の終わりを見つめる悲劇
追悼特集 永遠の人 木下惠介:裏切りの才人 木下惠介
追悼特集 永遠の人 木下惠介:木下映画、その技法の深み
追悼特集 永遠の人 木下惠介:私たちの愛した木下作品アンケート
追悼特集 永遠の人 木下惠介:＜女性監督＞木下惠介
追悼特集 永遠の人 木下惠介:木下惠介映画関連主要書籍
追悼特集 永遠の人 木下惠介:わが恋せし乙女、健在なり
追悼特集 永遠の人 木下惠介:＜日本人＞であることの切実さ
追悼特集 永遠の人 木下惠介:座談会 三村晴彦×松原信吾×小倉一郎
追悼特集 永遠の人 木下惠介:フィルモグラフィ
特別対談 『黒澤明と木下恵介』について語る:西村雄一郎×石原郁子
特別対談 山田洋次ｘ佐藤忠男:黒澤明と木下恵介 反照する、その精神の軌跡
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明「姿三四郎」の七つの格闘場面
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:木下恵介 絵はがき
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明・木下恵介 往復書簡
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:野間宏 映画「野良犬」の問題
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明ｘ淀川長治 対談 人間を信ずるのが一番大切なこと
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:木下恵介ｘ高峰秀子 対談 頑固な監督さん、強情な俳優さん
アンケート 私の好きな黒澤・木下映画:
インタビュー 淡島千景:木下組も渋谷組も食事は“松尾”なんです。だから私は“ミサカ”へ行きました
評唱 波多野哲朗:木下恵介の「家」
評唱 黒田邦雄:木下映画の〈バラの刺青〉
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:木下恵介ｘ桂木洋子 対談 きまった撮り方に少し飽きた。今後の撮り方は研究だね、僕の
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:志村喬ｘ三船敏郎ｘ加東大介ｘ木村功ｘ千秋実ｘ宮口精二ｘ稲葉義男ｘ黒澤明 馬と暗闇と鮒「七人の侍」伊豆の一日
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明ｘ筈見恒夫 対談 70くらいにならないといい作品が出来ないって、木下君とよく言うんだ
評唱 田中眞澄:黒澤明と木下恵介の源泉
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明ｘ木下恵介 対談 語るほどにたのしさは増して・・・・
文献再現・若き日の黒澤明、木下恵介:黒澤明ｘ木下恵介ｘ武田泰淳 鼎談 人間像製作法
インタビュー 吉田喜重:木下監督には、映画監督としての強烈なモラルがある
インタビュー 桜井秀雄:木下さんは大勢の前では人を誹謗しません。そこが厳しいところです
評唱 木全公彦:木下恵介の系譜
評唱 丹野達弥:木下映画の役者たち
評唱 中島紳介:テレビの木下恵介
木下恵介 テレビ作品リスト:
インタビュー 中井貴一:木下先生は「中間」を持たない人です
インタビュー 山田太一:木下さんの中には「小さなものの不合理な思い」がいっぱいある
特別収録シナリオ どら平太:市川崑＋木下恵介＋黒澤明＋小林正樹 共作
木下恵介 全映画:
黒澤明＋木下恵介 脚本作品:
巻頭特集 さようなら笠智衆さん:対談 木下惠介×白井佳夫 二十世紀の終焉を告げた笠智衆さんの死
追悼:若山富三郎
特集 父／母:木下惠介と松山善三
特集 新・喜びも悲しみも幾歳月:木下惠介 インタビュー
特集 この子を残して 木下惠介監督作品:対談 木下惠介×大黒東洋士
特集 「衝動殺人・息子よ」:1 木下恵介監督 インタビュー
特集 「衝動殺人・息子よ」:脚本
ルポ・79年動き出した日本映画:監督たちは、今－Vol.1 木下恵介・市川崑
訪中した木下恵介監督に中国映画の現状を聞く:
田中さんの思い出:
音で追体験する木下恵介の世界:
ことし監督たちはなにを遺したか:木下恵介
「なつかしき笛や太鼓」と木下恵介の自信:
特別グラビア:小手島の除虫菊
特集 67年に賭ける13監督の表情:木下恵介と「なつかしき笛や太鼓」
ことしこそ期待に応えて:「なつかしき笛や太鼓」と「女ひとり」
特別グラビア '67年－27の顔と言葉:木下恵介
巻頭グラビア:「なつかしき笛や太鼓」本番前の木下プロ
巻頭グラビア:すごい喜劇を
独占2大シナリオ:愛の手紙は幾歳月
巻頭グラビア 40人の評論家が期待する66年の顔:木下恵介
関東グラビア 監督プロダクション時代:木下恵介と木下恵介プロダクション
2大シナリオ:父子草
グラビア 日本映画50選最多入選監督４人:黒沢明・木下恵介・今井正・市川崑
シナリオ:妻の日の愛のかたみに
監督木下恵介の選んだ道:
特選2大シナリオ:なつかしき笛や太鼓
第一線監督はいまこう考える:近況報告特集
特別グラビア :七人の監督に聞く
グラビア特集 「香華」と取組む木下恵介:
木下恵介の胸のうち:
特別一挙掲載 シナリオ:香華 第一部・第二部
特集 シナリオの現状 シナリオライター21氏に問う:作家の上の負担
3大シナリオ特別一挙掲載:死斗の伝説
シナリオ:戦場の固き約束
特別グラビア:「歌え歌人達」の木下組
大衆の目の正直さ:
日活映画:しろばんば
「鍛え」の精神と「遊び」の精神:ドナルド・リチイの木下評価に寄せる
特別グラビア:「二人で歩いた幾歳月」の木下組
2大シナリオ特集:二人で歩いた幾春秋 松竹大船映画
映画の芸術性と商業性:人間性という共通の次元
2大シナリオ特集:霧子 松竹大船映画
特写グラビア:ある日･･･ 才気煥発の木下恵介
キネマ旬報主催 溝口・小津・木下名画週間発表:
特別グラビア:「今年の恋」の木下組
2大シナリオ特集:今年の恋 松竹大船映画
故島津保次郎を偲ぶ:「頑張れ！」と「バカ！」
人間の業と女の執念:「永遠の人」と木下恵介の特質
特別グラビア:「永遠の人」の木下組
シナリオ:永遠の人 松竹大船映画
シナリオ:かあちゃん しぐのいやだ 松竹大船映画
旬報万年筆:「ローマの花嫁れと豪華版木下組
TELEVISION ドラマの背後に生きる人間の噛み合い:木下恵介・作「流し雛」とホーム・ドラマの現状
木下恵介:「やさしい心」
木下恵介:映画をつくる魅力
特別口絵:「笛吹川」の木下組
特別グラビア 日本映画監督二十態:木下恵介
シナリオ:笛吹川 松竹大船映画
ドラマのワクと映画の流れ:
新映画評:音のない世界を描く 木下恵介監督の新作「名もなく貧しく美しく」の構想
日本映画好敵手論:木下恵介・黒沢明論
特別グラビア:「春の夢」の木下組
高橋貞二氏の死を悼む:
シナリオ:春の夢
特集 新しい映画は生まれたか:映画の「新しさ」について
軽井沢の木下組:
シナリオ:今日もまたかくてありなん
グラビア 時の話題:木下恵介監督「惜春鳥」完成
特別グラビア:「惜春鳥」の木下組
会津と雪と白虎隊:「惜春鳥」のロケ地に木下監督を訪ねて
シナリオ:惜春鳥
旬報賞にかがやく人々:木下恵介と「楢山節考」のスタッフ
受賞者感想:
4・終戦から大型映画まで:木下恵介活躍す
シナリオ:この天の虹
シナリオ:この天の虹 作者の言葉
特別口絵:「この天の虹」の木下組
日本映画批評:人形佐七捕物帖 浮世風呂の死美人
日本映画批評:旅姿鼡小僧
日本映画批評:無鉄砲一代
日本映画批評:奴が殺人者だ
日本映画批評:絶海の裸女
日本映画批評:花の慕情
日本映画批評:あン時ゃどしゃ降り
日本映画批評:おけさ姉妹
外国映画批評:戦争と貞操
外国映画批評:抱擁
外国映画批評:0番号の家
旬報論壇:「楢山節考」と木下恵介
特集 日本映画を創った人々:木下恵介
私とキネマ旬報:愛着の根を張っている雑誌
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:実験的な意欲作
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:人形浄瑠璃と映画
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:新しい様式美
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:「楢山節考」について
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:美しさへの疑問
特集批評 木下恵介作品「楢山節考」:4つの記録映画
特別口絵:「楢山節考」の木下組
「楢山節考」と木下恵介の世界:「楢山節考」の映画
「楢山節考」と木下恵介の世界:座談会 映画「楢山節考」の意図するもの 木下恵介×伊藤熹朔×楠田浩之×武田泰淳×岩崎昶
共同研究 今井・木下・黒沢論:今井正論
共同研究 今井・木下・黒沢論:木下・黒沢論
共同研究 今井・木下・黒沢論:黒沢・木下論
シナリオ:楢山節考
シナリオ:楢山節考 作者の言葉
特別口絵:「風前の灯」の木下組
特別口絵 映画人と家庭:木下恵介
シナリオ:風前の灯
シナリオ:風前の灯 作者のことば
「名作シナリオ集」松竹映画:コンティニュイティ 喜びも悲しみも幾歳月
生命の「はかなさ」を描く:新しい仕事への構え
木下恵介と「喜びも悲しみも幾歳月」:
特集 大型映画の新らしい時代:大船に木下氏を訪ねて
特別口絵:「喜びも悲しみも幾歳月」の木下組
入選の思い新たに－16監督のことば:一つの提案
「戦後十年傑作シナリオ集」松竹映画 1954年作品:二十四の瞳
特別口絵:「太陽とバラ」の木下組
私の見て来た中国とソ連:
木下恵介氏“アジア親善の旅”より帰る:
特集グラヴィア 世界第一線監督グラフィック:木下恵介
シナリオ:愛と智恵の輪
シナリオ:愛と智恵の輪 作者の言葉
千曲川のほとり木下恵介氏と語る:
シナリオ:野菊の如き君なりき
特集 日本映画をよりよくするために:1 現在に生きている声を映画に 対談 中野好夫×木下恵介
特別口絵:木下組の人々
シナリオ:遠い雲
日本映画第一線の動き 2:木下恵介の「初恋」
松竹:お勝手の花嫁
シナリオ:君一人（きみひとり）
研究 木下恵介:木下恵介について
研究 木下恵介:評伝・木下恵介
研究 木下恵介:自作を語る
監督寸描:木下恵介
グラフィック 特別口絵:木下恵介
「二十四の瞳」コンティニュイテイ抜萃:松竹大船映画
対談 頑固な監督さんと強情な俳優さん:木下恵介×高峰秀子
木下さん、高峰さん、おめでとう:
シナリオ:女の園
「日本の悲劇」熱海ロケ訪問:木下惠介が意圖する異色の表現
シナリオ:まごころ
シナリオ:散る花
映画人クロースアップ（グラヴィア）:木下惠介
“第三の男”合評 新しい分野の發見:田坂具隆×五所平之助×成瀬巳喜男×木下惠介
フランスで見たこと考えさせられたこと:
巴里第1信:
座談會 フランスへ行く木下惠介を圍んで:木下惠介×小澤榮×大黒東洋士×清水千代太
演出拝見:木下惠介の巻
第一線作家論:木下惠介論
シナリオ:少年期
フィルモグラフィー
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