ここ北海道の山麓にある威振村は定期便の乗合馬車が日に一回しかないという僻村だが、道庁の役人が到着したので珍しくも大賑わい。村長宅では大宴会が開かれた。ところで、馭者の勇吉は幸子と恋仲だが村長の次男坊茂も幸子の後を附け廻していた。茂は宴会の手伝いに来ていた幸子を執拗に追ったが、肘鉄砲を喰らって暴力沙汰に及ばんとした。そこへ勇吉が駈けつけたが手出しが出来ない。幸子はそんな勇吉の意気地なさに口惜し涙で走り去ったが、それでも翌日になると二人は仲なおり。だが、強盗殺人の三人組が潜入したとの急報が入って、村は恐怖に脅かされた。馬車の前方に人影が立ちはだかっても客席は慄然とする始末。ところで、宴会の日から村長の家には、かつて村長に厄介になっていたという男の妹弓子が兄を探しにやって来て宿泊していたが、彼女が遅く帰宅すると強盗が侵入していた。やがて戻った茂も為すすべなく、もののはずみに棚から落ちた袋からは、弓子の兄を無実の罪におとした村長の金がばれて出た。大金を手に入れた強盗は街道に姿を消したが、翌朝になると山中の炭焼小屋から殺人が発覚した。村では自警団結成を決めたが、勇吉は馬車があるからと参加を拒んだ。幸子に「私が代って馬車を走らせるから」と言われても煮え切らない。だが、更に「そんな臆病者大嫌い」と言われて彼も村人の跡を追った。そして山道で弓子が盗られた頚飾りを発見、幸子の馬車の危険を感じ馬車を追いかけ辛うじて飛び乗った。やがて強盗と出会った勇吉は、隙を狙って果然体当り、三人を打ち倒した。彼は村をあげての表彰を受け、弱虫の汚名を捨てて、幸子に結婚を申し込むのであった。