秋葉権現の秋の大祭火祭りに、信州追分の油屋の番頭三五郎は主人の代参として燈籠を献納する為、許婚のお峰、老番頭元三を連れて出発した。附近の大親分黒駒の勝蔵は子分の助十と、その妹でやくざ気どりの馬子のお美代に命じて三五郎一行をだまし、元三を殺して燈籠と燈明料を奪わせた。お峰は通り合せた次郎長こと清水港の長五郎に助けられ、三五郎は河原に倒れているのを旅廻りの一座お時に救われた。宿についたお峰は勝蔵に攫われたが、次郎長にめぐり合った三五郎は協力して彼女を救い出そうとする。それを聞いた秋葉の修験者法印坊と東山坊も、日ごろ勝蔵が祭りで不当な場所割を取るのを怒っていたので、次郎長らに力を貸す。更に旅人の増川仙右衛門と森の石松も勝蔵を憎んでいるので仲間に加わる。一同は勝蔵のいる料亭に暴れこんでお峰を助けたが、暗夜のため別れ別れになってしまう。いよいよ火祭りの当夜、次郎長らは不意に姿を現して勝蔵一家を斬りまくり心を入れかえて次郎長らを助けたお美代は勝蔵の子分に斬られて死んだ。騒ぎはおさまり、次郎長と三五郎はお峰とお時に見送られて清水へ出発する。そこへ法印、仙右衛門、石松の三人もかけつけ、ここに清水の次郎長は初めて四人の子分を持つことになった。