大正末期、“太陽のない街”と呼ばれているトンネル長屋が、東京下町の日当りの悪いドブ川を挟んでいた。人々は近くの大同印刷に勤め、低賃金でようやく生活を支えていた。突然、会社は三十人の首切りを発表した。人々は生活権の擁護のため、争議をもって応じたが、警察の弾圧、生活苦などは日に日につのった。春木高枝は病父とおとなしい妹加代をかばって頑張っている勝気な女性。加代は争議に反対の昔気質の父と姉の板ばさみになって苦しむが、恋人宮地の情熱に力づけられていた。宮地は難航の争議に我慢出来ず、大川社長邸に放火した。しかしその容疑で幹部が次々に検挙されるので、宮地は既に自分の子供を宿している加代に悲しい別れを告げて自首した。間もなく加代の死によってみんなは一層の玩張りを誓い合った。一方、大和講談社の国尾社長や井上市会議員達は調停を買って出るが、大川社長は渋坂財閥と話し合い、会社側は全員首切りを発表した。高枝は暴力団に襲われた組合の幹部萩村を看護するうち、彼の心と結ばれてゆく。ある晩、工場が何者かに放火された。この事件を汐に萩村達は次々と検挙され残った幹部は会社の申し入れをノンでしまった。折角ここまで玩張ったのにと、高枝は悲しかったが、街をかけ抜けていく組合旗を追う彼女の目には再び力強い光がみなぎった。