18世紀、革命前夜の頽廃を極めたパリの貴族社会の社交界に君臨する魔性の翳りをもつメルトイユ侯爵夫人(グレン・クロース)は、ある日恋人のバスティード伯爵が若い娘と結婚するという噂を聞き、遊び仲間でかつての愛人でもある、社交界きってのドンファン、ヴァルモン子爵(ジョン・マルコヴィッチ)に、そのヴォランジユ夫人(スウォージー・カーツ)の娘、セシル(ユマ・サーマン)の処女を奪うように誘いかける。一方のヴァルモンには、伯母ロズモンド夫人(ミルドレッド・ナットウィック)の敷地内に住む貞淑の誉高い美しき未亡人トウールヴエル夫人(ミシェル・ファイファー)を篭絡する奸計があった。それを聞き面白がったメルトイユは、成功したら一夜の愛を与えると約束する。シュヴァリエ・ダンスニー(キアヌ・リーヴス)という若い音楽教師を使ってセシルを篭絡させる謀みに失敗したメルトイユは、次にヴォランジュ夫人を口説いて、セシルをロズモンド夫人の屋敷へ送り込もうと画策する。その頃トゥールヴェル夫人の毅然たる態度に誘惑を拒否されたヴァルモンは、折しもやってきたセシルの上に欲望を注ぎ、甘く執拗な誘惑に彼女はあっさり陥落した。さらに勢いにまかせトゥールヴェル夫人に再度激しく迫ったバルモンは、遂に彼女を抱きすくめることにも成功する。これによる一夜を共にするという約束を果たすようメルトイユに迫るヴァルモンは、逆に彼女から本当の恋におちたのでは、と指摘され、その恐怖からヴァルモンは、口汚なくトゥールヴェルをののしり、彼女と別れてしまうが、以後2人は恋を失った痛手に憔悴する。その頃メルトイユはダンスニーに、セシルの純潔を奪ったのはヴァルモンであると打ち明け、憤慨した彼はヴァルモンに決闘を申し込む。果たしてヴァルモンはダンスニーの刃に倒れるが、彼にトゥールヴェルへの真実の愛を告げ、メルトイユと交わした奸計をめぐらせた書簡を手渡した後、息絶えた。死の床にいたトゥールヴェルは、ダンスニーからヴァルモンのその思いを伝え聞いた後、間もなく息をひきとった。そして1人生き残ったメルトイユは、社交界から孤立した存在となるのだった。