30歳のレイシューは、かつては人気ミュージシャンであったが、今は軍作業もクビになり、祖母の家で毎日ブラブラしている。妹のビンダレーは民謡歌手から本格的シンガーを目指していた。村の手伝い娘チルーはレイシューに思いを寄せている。村には東京からイトーという植物学者が来ており、彼は混血少女ナビーに結婚を申し込んでおり、昔ながらの花嫁の貞操確認の儀式<ヤーグマイ>を行ないたいと願い、ナビーの肉親たちは彼のひたむきさに好感を抱く。ところが、ナビーが妊娠していることが分った。相手はレイシューで、フリーセックスのような青年たちの儀式“毛あそび”のときに関係したという。そんな矢先、レイシューの祖母が過って米軍に射殺されてしまい、その夜、弔問客と喧嘩したレイシューは逮捕されてしまう。しかし、護送の途中、彼はバスから逃げだし、チルーと出会った。その夜、チルーはレイシューがマブイ<魂>を落とした夢を見た。マブイを失うと、物の怪につかれたり“神かくし”に会う。レイシューは密かに“淫豚草”を栽培する洞窟に隠れた。それはハブにかがせると、たちませ精力を失ってしまう悪魔の草なのだ。結婚式にナビーはやって来なかった。イトーは雨の中を植物採集に出かけると、放心したレイシューが土を食べている。神かくしに会った者は、土を食べて呪力を解かなければならない。しかし、そのレイシューは“淫豚草”を食べて狂暴になった虹豚に腹を食われてしまう。太陽がギラギラ照りつける下で、内臓を腹から出したレイシューが苦しそうに歩いているのだった……。