高度経済成長と共に頽廃を極めた二〇世紀末台北。田舎から夢を抱いて大都市・台北に出てきたフォン(リン・チャン)はKTV(カラオケ・ルーム)で働き日銭を稼ぐ生活を送っていた。彼には写真屋で働くガールフレンドのピン(トレイシー・スー)がいて、他にも親友のマギー(エイミー・リー)やポロ(デイヴィッド・ウー)、占い師の小楊らも含めてひとつのグループになっていた。ある大雨の午後、フォンは雨を避けるために何げなく立ち寄った喫茶店で、ミステリアスな雰囲気を漂わせた女・タン(ヴェロニカ・イップ)と出会う。彼女は店に日記帳を置き忘れていった。彼女のことが気になってしかたがないフォンは、日記帳を頼りにタンがある高層マンションの一室で、チャオ(ジャック・カオ)という怪しい暗黒街のボスに情婦として囲われていることを突き止める。タンの足取りを追ううち、フォンは彼女の孤独な心を理解し始め、また、チャオとの関係に疲れたタンも次第にフォンに惹かれていく。そして、空虚な心をもてあましたタンは、自分自身の偽装誘拐を思いつき決行、身代金の運搬人に指名されたフォンは、彼女のいる小屋へと向かう。チャオもこの事件がきっかけで組織に追われる身となってしまい、やむなくタンの許へ向かった。組織の追っ手が小屋を取り囲み、激しい銃撃戦となる。チャオ、タンが息絶え、彼らの屍を後に、フォンは一人去っていくのだった。