87年、冬のワルシャワ。貧しい身なりの青年ヤチェック(ミロスワフ・バカ)は、目的もなく町をさまよい、行き過ぎた悪戯を繰り返していた。その頃、弁護士になるための最後の面接試験に合格した若い司法修習生のピョートル(クシシュトフ・グロビシュ)は、その知らせを妻に伝えるために、旧市街近くの喫茶店に向かっていた。その喫茶店でヤチェックは、バックの中から一本の紐を取り出し、その長さを確かめると店を出て、タクシーを拾い、町外れの川堤まで車を走らせる。停車させたところで彼はその紐で、タクシー運転手(ヤン・テサシ)の首を後ろから締め、抵抗する彼の手を棒でたたきつぶし、車から引きずり出すと、血だらけの男の顔に毛布をかぶせ、大きな石を振りあげ、何度もその頭に振り降ろすのだった……。この事件を担当することになったピョートルにとって、これは初めての仕事であった。が、彼の死刑廃止の熱弁空しく、ヤチェックは極刑を言い渡される。死刑執行の日、ヤチェックはピョートルとの面会を望み、かつて自分の過失で妹が死んだこと、そのことが原因で、望まぬ部会生活を強いられたことを語る。そして彼は、多くの刑吏に囲まれ刑の執行を受け、21歳の短い一生を終えるのだった。