鑑賞録

鑑賞日 2017/10/01
登録日 2017/09/30
鑑賞方法 VOD/NETFLIX/レンタル/PC 
鑑賞費用 0円
誰と観た 一人
3D/字幕 -/-
メモ

永遠の何分の一かでも。

公開時に「セカチュー」ブームを巻き起こした作品。 その時、劇場で見た記憶があるんだけど、正直そこまでは泣けなかったし(泣けた箇所はあった)、その面で世間との評価にズレを感じていた。 後年、8年ぐらい経った時に、ある人から「体育館に当たる雨がガラスを伝って落ちて、その影が体育館を覆うようになってるシーンが好き」というのを聞き、そのシーンだけでも、と確認したとき、そのシーン以外にも、映像のクオリティ、光の捉え方とかそういうのがとても好きだということに気づいた。 撮影は、既に逝去されている篠田昇氏。本作が遺作となる。これをきっかけに、篠田昇氏の撮影してる作品を追うことになるのだが…蛇足なので割愛。 今回、5年ぶりぐらいに本作を見た。公開当時、20代そこそこだった僕も、大人の朔太郎と同じぐらいの年齢になった。 だからこそ分かるのだけど、大人になっても、忘れられないものは忘れられない。思い出を引きずって生きてしまうこともある。だけど、それが人間らしいと僕は思う。 森山未來と長澤まさみは、演技を見てもたどたどしさが残る部分はあるものの、十分に作品の質を高めるのに貢献してくれている。無菌室で婚姻届を見せるシーンは、その切ない演技に涙が流れた。 人は、いつか死んでしまう。それが早いか遅いかの違いでしかない。だから、誰かの思いの中に誰かが残ってしまうわけで。朔太郎と亜紀は、永遠の何分の一かでも時を一緒に過ごすことが出来て、お互いの思いを確かめあえて、それは幸せな時間だったと思う。こんな思いを抱えて生きてみる、なんてこと、ちょっとはやってみたくなるぐらいに。