ケイコ 目を澄ませて

けいこめをすませて|----|----

ケイコ 目を澄ませて

レビューの数

155

平均評点

78.3(688人)

観たひと

916

観たいひと

44

(C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 青春 / ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2022
公開年月日 2022/12/16
上映時間 99分
製作会社 「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会(メ~テレ=朝日新聞社=ハピネットファントム・スタジオ=ザフール)(制作プロダクション:ザフール)
配給 ハピネットファントム・スタジオ
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ
音声 5.1ch

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督三宅唱 
脚本三宅唱 
酒井雅秋 
原案小笠原恵子
(「負けないで!」(創出版))
エグゼクティブプロデューサー松岡雄浩 
飯田雅裕 
栗原忠慶 
企画・プロデュース長谷川晴彦 
製作狩野隆也 
五老剛 
小西啓介 
古賀俊輔 
チーフプロデューサー福嶋更一郎 
プロデューサー加藤優 
神保友香 
杉本雄介 
城内政芳 
撮影月永雄太 
美術井上心平 
装飾渡辺大智 
録音川井崇満 
音響効果大塚智子 
照明藤井勇 
編集大川景子 
衣裳篠塚奈美 
ヘアメイク望月志穂美 
遠山直美 
制作担当大川哲史 
助監督松尾崇 
ボクシング指導松浦慎一郎 
手話指導堀康子 
南瑠霞 
手話監修越智大輔 
French CoproducerMasa Sawada 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演岸井ゆきの 小河ケイコ
三浦誠己 林誠
松浦慎一郎 松本進太郎
佐藤緋美 小河聖司
中原ナナ 
足立智充 
清水優 
丈太郎 
安光隆太郎 
渡辺真起子 五島ジム・オーナー
中村優子 医師
中島ひろ子 小河喜代実
仙道敦子 会長の妻
三浦友和 会長

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て生まれたケイコを、「きみの鳥はうたえる」の三宅唱監督が16mmフィルムに焼き付けた青春物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえないなか、じっと<目を澄ませて>闘うケイコを、才能にあふれた主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや恐怖など様々な感情の間で揺れ動き、それでも拳を突き出す一人の女性として描く。ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開いた。ケイコの実直さを認めて見守るジムの会長に三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派俳優が脇を固める。第72回ベルリン国際映画祭正式出品作品。2022年第96回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、主演女優賞(岸井ゆきの)、助演男優賞(三浦友和)、読者選出日本映画監督賞(三宅唱)受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。「一度、お休みしたいです」と書き留めた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年10月号

MOVIE at HOME:「ケイコ 目を澄ませて」

2023年3月下旬映画業界決算特別号

読者の映画評:「ケイコ 目を澄ませて」関論/「ディア・ハンター」久保坂涼/「シャドウプレイ」吉田伴内

2023年2月下旬 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号

日本映画ベスト・テン:

2023年1月上・下旬合併号

REVIEW 日本映画&外国映画:「ケイコ 目を澄ませて」

2022年12月下旬号

「ケイコ 目を澄ませて」:インタビュー 三宅唱[監督]

「ケイコ 目を澄ませて」:作品評

「ケイコ 目を澄ませて」:エッセイ

UPCOMING 新作紹介:「ケイコ 目を澄ませて」

2025/11/22

2025/11/22

85点

テレビ 


静かな闘志

静かな映画だ。
ケイコが何を考えているのかはわからない。
なぜボクシングをするのか。この先どう生きていくつもりなのか。
でもこうやって生きている人はいるだろう。障害あるなしに関わらず。

2025/11/19

2025/11/19

80点

レンタル 


愛想笑いができないボクサー

実在の聴覚障害のプロボクサーをモデルに描かれた作品。それが凄いチャンピオンというわけでもなく、対戦も数回しかしていない。ただ、聴覚障害である女性ボクサーなのだ。だがボクシングに限らず、聴覚が機能しないとなると、それだけでも恐ろしいハンディだ。ゴングの音も、レフェリーやセコンドの声も聞こえないのだから、一体どうやって状況を把握すればいいのだろう。健常者が相手では、圧倒的に不利なのは目に見えている。それでもケイコは戦う。相手を殴るのが、ストレス解消になるようだ。それでも何故、最も過酷なスポーツである、ボクシングを選んだのか。

そんなケイコ役の岸井ゆきの、文字通り体当たりの演技が素晴らしい。とにかくセリフがほぼない中で、表情や動作だけで感情を伝えなければならない。愛想笑いができない、不器用なケイコ。それでもトレーニングの合間に見せる、ふと零れてしまう笑顔に、ホッとさせられる。ミットで受けるトレーナーとの練習シーンが実に良い。まるで何かの楽器で演奏しているような、リズミカルなアンサンブルに魅了されてしまった。

聴覚障害の方は、相手の唇の動きで言葉を判断することもできるようだが、本作ではコロナの年を設定として反映させ、より困難な状況を作り上げる。みんなマスクをしているので、唇が読めない。相手がしゃべっていることさえ気づけない。相手の罵っているのが分からないのは、逆に精神衛生上はいいかもしれない。

聴覚障害者に接しようとする人は、中途半端な手話を覚える。それを相手は喜んでくれるだろうか。手話も使っていないと忘れてしまう。私も少し覚えたことがあるが、頻繁に接する人でないと、なかなか覚えられない。筆談という方法もあるが、手間がかかることは、みんな億劫がってしまう。

ケイコは、もしかしたらボクシングを通して、気持ちをぶつけていたのかもしれない。ジムの会長である、笹木(三浦友和)とのやりとりが良い。特に赤いキャップ。

ケイコはどこに向って走っていくのだろうか。

2022年キネマ旬報ベストテン第一位、同読者選出第一位。

2025/11/02

2025/11/02

65点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


静けさが心を打つ

イイ役者たちのイイ演技。

2025/04/25

2025/04/26

85点

テレビ/有料放送/WOWOW 


荒川区の片隅で

次作の「夜明けのすべて」とともに、コミュニケーションに障害をもつ人がそれでもその人なりに一生懸命に応対する姿と周囲の優しい人たちを静かに丁寧に物語り、幸福な気持ちにさせてくれる。

2025/03/14

2025/03/15

85点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


しっとりとした物語に浸ることができた

映画が語るしっとりとした物語に浸ることができた。
聴覚障害を持つ女性のプロボクサーという設定以外は、語られる物語の内容は日常感覚と乖離するものはないが、語られる内容はしっとりとしていて物語に浸ることができた。また、荒川の河川敷などの日常的な風景がこんなにも映画的なものであること、また、ボクシングのコンビネーション練習の小気味よさを発見したことも収穫か。

2024/10/17

70点

その他 


音はなくても人情ある世界

本作は実在の聴覚障害の女性ボクサーの本を原作にしたそうで、主役を演じる岸井ゆきのの熱演もあってリアル感ははんぱでない。
ヒロインの誰かを殴りたいという衝動ともう休みたいという感情が話せない彼女の心に交差する模様がビビッドに伝わる。
彼女の居場所としてのジムが閉鎖される淋しさもよく伝わる。
それは会長やトレーナーとの練習を通じて交わされる積み重ねが背景として大きい。
本作で最後に描かれる試合で、足を踏まれ抗議しようとするがレフリーに伝わらず、冷静さを失って優勢だった試合でカウンターを喰らって初めて負ける。
スポーツとしてのボクシングの試合で感情的になることで冷静さを失い、防御がおろそかになり相手の攻撃を喰らう。
このことは会長らがヒロインに以前から伝えていたことだ。
しかし身をもって彼女は知ることになる。
ただエンデイングで試合相手に偶然出会い、お互いのファイトに感謝の気持ちを投げかけられたことで彼女の気持ちが融解する表情が清々しい。
余計な音楽が流れることなく、黙々と生活感を感じさせながらもヒロインの情熱と人生に対する前向きさが心を打った。