予告編で見た時、クリント・イーストウッドの比較的軽そうな映画で、これなら楽しめそうと思っていた作品ですが、テレビ放映されていたので、録画鑑賞してみました。自分の趣味で名声を馳せるために、家族を顧みなかった老人が、90歳になり家族から愛想をつかされ、お金を稼ぐために、麻薬の運び屋をやるお話。最初は、それと知っていた訳ではないようですが、見るからにヤバそうな仕事なので、すぐに気づいているということだと思います。そんな老人が運び屋をやるという意表をつく組み合わせと、家族に愛想をつかされた老人が絆を取り戻す物語でした。
まず、90歳の老人の運び屋という設定が面白く、まずは怖いものなし。若造に脅されつつも、負けていません。そして、意表を突く?行動が、犯罪の行動パターンからして、予測ができないところがうまくできていて、新しいボスの、時間とルートをきっちり守るようにという指示は、かえってパターン化してしまうため、自分の首を絞めることになっていきます。リスクをどうとらえるかということですが、老人の行動のままにさせるというのは、よほど肝が据わっていないと難しいのかなとも思いました。もちろん、老人自体も無敵なので、あまりにも当たり前に行動しています。
テーマから老後の身の振り方をいろいろ考えさせてくれるのですが、こちらもそういった年代に入っていくので、大先輩にご教示いただこうと、しっかりと見てしまいました。若いころ自分の趣味で突っ走ったため、この体たらくということで、家族第一。それは分かります。最後に金を稼ぎに行くのも、皆のためというよりは、仲間たちに感謝してもらいたいというのが動機なのでしょうか。かつて数々の無法者やヒーローを演じてきたクリント・イーストウッドが、最後までその影をちらつかせつつ、人生で大切なものとは?を語る映画でした。ダイアン・ウィーストのサポートがなかなか良かったと思います。ただ、全体的にちょっと緩いかなという感じは残りました。