90年代の映画は本当に勢いがあって実に見応えがある。監督ロン・ハワードの映画スタイルの先駆け的作品。後に『アポロ13』、『ビューティフル・マインド』、『シンデレラマン』、『ダヴィンチコード』とその名が付くと作品が面白いことの保証書となっていく。
日夜、自分の命を張って火災現場で消火と人命救助に当たる消防士たち。彼らは分署ごとに分かれそれぞれチームで消防にあたる。父親が殉職した息子兄弟が主人公。父の死を巡りお互い生き方が異なり反目し合う。
彼らのいるシカゴ市の消防署は今まさに合理化の危機に晒されている。人員が減れば現場応援もままならずさらなる殉職者を出しかねない。そんな矢先、市内で連続放火事件が発生する。
この合理化問題と放火事件を絡めたストーリーが、見る側をぐいぐいと物語に引き込んでいく。それをさらにハンス・ジマーのあの有名になった重厚な音楽と当時最新のVFXで作られたリアルな火災シーンが引き立てる。面白いという保証書の中身はそんな風に構成されている。
ただ今一度見直すとやっぱりカート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン兄弟の描き方にはどこか青臭さがあり、反面、ロバート・デ・ニーロ、スコット・グレン、ドナルド・サザーランドといった脇を固める大ベテラン俳優の登場シーンでどこか安心感を覚えるのは自分だけだろうか?
さらに言えばこれまで主役を張ってきたデ・ニーロが脇に回っても存在感を示す、これも先駆け的作品ではないか?