わたしはロランス

わたしはろらんす|Laurence Anyways|Laurence Anyways

わたしはロランス

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レビューの数

72

平均評点

78.0(370人)

観たひと

634

観たいひと

146

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 カナダ=フランス
製作年 2012
公開年月日 2013/9/7
上映時間 168分
製作会社 Lyla Films=MK2 Productions
配給 アップリンク
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット HD
メディアタイプ ビデオ 他
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

カナダの田舎町に暮らす男性が交際中の女性に、女性になりたいと告白するラブ・ストーリー。監督・脚本は「HEARTBEATS」(未)「マイ・マザー/青春の傷口」(未)のグザヴィエ・ドラン。自身の性別に違和感を持つ主人公を「ブロークン・イングリッシュ」「ぼくを葬る」のメルヴィル・プポーが、戸惑いながらも彼にとって特別な存在でありたいと願う恋人を「マイ・マザー/青春の傷口」のスザンヌ・クレマンが、主人公の母親を「ポルノグラフィックな関係」「勝手に逃げろ/人生」のナタリー・バイが演じている。本作は第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、クィアパーム賞およびある視点部門最優秀女優賞(スザンヌ・クレマン)を獲得した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

カナダ・モントリオール。国語教師をしながら小説を書いているロランス(メルヴィル・プポー)は、30歳の誕生日を迎え、交際相手のフレッド(スザンヌ・クレマン)にある告白をする。それは、自分の身体の性に違和感を持っており女性になりたいと思っているということだった。この告白にショックを受けたフレッドは、これまでに二人が築いてきたものが偽りであるかのように思えてしまい、ロランスを非難する。しかしかけがえのない存在であるロランスを失うのを恐れ、フレッドはロランスの良き理解者となることを決意。ロランスに女性の立場からメイクなどについてアドバイスするが、モントリオールの田舎町では偏見を持たれ、彼らに対する風当たりは強かった……。

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2013年9月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「わたしはロランス」

キネ旬セレクト:「わたしはロランス」

読む、映画:「わたしはロランス」

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「わたしはロランス」

2022/03/12

2022/03/12

70点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 


カンヌ映画祭最優秀女優賞受賞

カミングアウトした方は本当の自分を見つけあらゆる困難を乗り越えようとするが、告白された方はその思いがわかるだけに本人よりも偏見に立ち向かわなくてはならない。レストランでの怒鳴り散らす場面はその思いをぶつける素晴らしい演技。最優秀女優賞も納得。

2020/06/14

2020/06/14

82点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


グザヴィエ・ドランが挑む革命

『彼らが本気で編むときは、』のレビューでも触れたが私には性同一性障害の友人がいる。彼(今は手術を終えたので彼女)が語ってくれた体験談と被るエピソードが多く心に響く。特に前半はロランスの当事者目線で淡々とカミングアウトの“過程”が描かれるだけに尚更だ。

LGBTの問題はフレッドが劇中で話すように「ちょっと変わっているだけ」の「社会のはみ出し者」の延長線上にある事象に過ぎない。しかし、実際に偏見と対峙する当人にすればそれは“革命”となるのだろう。

168分の長尺だけあって、ロランスとフレッドの10余年に及ぶ愛の軌跡を描く大河ドラマの側面もある。しかし、本作を際立たせているのはLGBTの当事者ではなく理解者であろうとするフレッドの困惑や葛藤を描いた点だろう。自分勝手に生きている(ように見える)ロランスよりフレッドのほうが余程ハードな人生を送ったように思える。

私は元来、LGBT系の映画が好きだ。何故なら私も所詮は世間に爪弾きにされたマイノリティの一人であり、彼等の置かれた“生き辛さ”に共感出来るからだ。ただ、本作はロランスが割と早々に壁を乗り越えてしまうため共感までには至らなかった。

『トム・アット・ザ・ファーム』の完成度には及ばないが23歳の若さでこの作品を物にしたグザヴィエ・ドランの才能は称賛に値すると思う。

2020/06/07

84点

VOD/その他 
字幕


どんな生き方を選んだとしても私は私

ネタバレ

自分の心に正直に生きることと、守りたいもののために心を偽って生きることの境目は難しい。誰だって自分のやりたいことばかりが出来るわけではないし、かと言って自分の心と正反対の生き方を選ぶのは苦しい。
ロランスは30年以上も自分の体と心が正反対であることに苦しめられてきて、ある日意を決して恋人のフレッドに心の内を告白する。
彼はゲイとはまた違っていて、あくまで女性を恋愛対象として見ているが、自分の体が男性であることにずっと違和感を抱き続けていたのだ。
告白を受けたフレッドはいかにロランスの気持ちが自分に向いていたとしても、衝撃を受けて戸惑う。
性同一性障害という言葉からも分かる通り、ロランスの抱えている問題は心の病と定義されている。この作品で描かれる80年代後半から90年代にかけてはまだまだ偏見が多く、多様性を受け入れられない時代だった。
悩んだあげくフレッドはロランスを全面的に応援することを決意する。
初めの一歩は勇気がいるが、大学の講師であるロランスは思いきって女性の格好で教壇に立つ。
彼の姿を見て一瞬静まり返る教室だが、1人の女学生が彼に「臨時の講師の説明では分からなかったことがあるのですが」と何事もなかったかのように質問する。
ロランスの緊張が一気に解けた瞬間でもあり、観ているこちらも心が暖かくなる瞬間でもあった。
しかし世間の風当たりは冷たく、彼は結局大学を辞めなければいけなくなる。
ロランスとフレッドが朝食を取っている時に、年配のウェイトレスがロランスの姿に好奇心で色々尋ねるシーンは印象的だった。初めはちょっと無神経でお喋り好きなお婆さんという感じだったが、彼女は何故そんな格好をしているのかとしつこく聞いてくる。ロランスがバーで飲んでいる時にも、彼の格好に口出しをしてくる男がいたが、どの世界にも一定数は無神経な言葉を人に浴びせる人間はいるわけで、その一部の人間にいちいち反発していてもしょうがない。
しかしウェイトレスの態度にロランスではなくフレッドの怒りに火がついてしまう。
彼女はカフェのお客が静まり返るほどの剣幕でウェイトレスの無神経な発言を責め立てる。
おそらくウェイトレスにしても悪気はなかったのだろうが、悪意のない言葉が人を傷つけることもある。
今後も同じような辛い目に会わなければならないのかと、ロランスではなく彼を支えるフレッドがついに耐えられなくなり、二人の関係は終わってしまう。
詩人として自由な生き方を選んだロランス。物語が進むにつれてどんどん綺麗になっていく彼女の姿がとても印象的だった。
フレッドも結婚をして子供も出来たが、幸せな結婚生活を送っているとは言えない。
別れてはいるが、二人の中にまだ未練は残っていた。
後半にロランスがフレッドに「もし私が自分の心が女性であることを打ち明けなかったとしても、二人の関係は遅かれ早かれ終わっていただろう」と話すシーンがある。
前世からの因縁なのか分からないが、男女には切ろうとしても切れない縁がある。
結び付いたとしても不幸に終わる関係なのに、離れるといつしかお互いを求めてしまう関係。
この関係を続けるべきなのか、切るべきなのかの判断もとても難しい。
ロランスとフレッドは最後までどこかお互いに関係を切れない不思議な糸で繋がれてしまった。
それが幸せなことなのか不幸なことなのかは分からないが。
二人はお互いに心を傷つけ合ってしまうが、それでも会う度に少しずつ自分の生き方を確立しているのかなとも思った。
2000年を前にこの物語は終わるが、新しい時代が来ても二人はきっと自分の信じる生き方を選び続けていくのだろうと思った。
映画のラストがロランスとフレッドとの出会いで終わるのは、心にジーンと来るものがあった。
そして23歳でこの映画を撮ったグザヴィエ・ドランはとんでもない才能の持ち主だと思った。

2020/05/15

2020/05/15

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/PC 


Filmarksで原題みて初めて最後のシーンの価値に気づいた

2020/04/11

2020/04/20

73点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 


ロランスの魅力

映像と音楽と衣装と配役が、やっぱり良い!
視覚から入ってくるから、いつも、すごく印象に残る。

しかし、ロランスは、もう少し周りの人の状況も考えてみては?と思う部分ありありだったな。
フレッドは、悲しいかな自由奔放を我慢する大人になってしまったけれども、
愛したロレンスのことは、放っておけない情も多分に残っている。
ロレンスは、子どもではないけど、大人でもないよ。
結構、自分中心。
でも、そこが、ものすごく魅力なんだけどね。

2020/04/11

2020/04/12

75点

VOD/iTunes(AppleTV)/レンタル/PC 
字幕


はじめは普通の恋愛映画だと思っていたが、40分くらいして、主人公がゲイだとカミングアウトしてから物語が動き出す。
90年代という、まだ今以上にゲイに対して偏見があった時代が舞台なのがミソ。
女装して教室に入った瞬間、空気が凍る教室。最初に手を挙げた生徒は普通に教科の質問をする。が、世間は彼に厳しくなる。
恋人のフレッドが出色。
美人でもなく、当初はあまり魅力がなかったが、ロランスがゲイであると知り、苦悩する所から次第に魅力が増してくる。
受け入れようと努力もするが、次第に精神的に追い詰められていくフレッド。
レストランの無神経な老婆の態度に、怒りが爆発するのがリアルですごい。
ロランスは傷ついて母親に助けを求めるが、冷たくあしらわれてしまう。
逆にロランスを迎えてくれるのは、ドラッグクイーンのような人たちで、世界が両極端になっている。
ロランスとフレッドは、ついに別れるが常に存在を意識し、それぞれパートナーがいながら実は愛し合っている。
そのグダグダの関係をねちっこく追っていて興味深い。
空から色々降ってくる。雪、服、枯葉。
非現実的な描写も悪くないが、役者の力に助けられている印象。