小学校の廃校舎に預けていた考古学資料の調査に訪れた同校の卒業者の博物館学芸員の野田。そこに住む元校長や、恩師の綾子先生、その娘律子と接し、閉校式で校庭に埋めたタイムカプセルを思い出すが、場所を知っていた綾子先生の記憶がはっきりとしない…
サスペンス映画ではないが、子供が集団で消えた物語を彷彿させる題名と、8㎜映画で上映される思わせぶりなあやつり人形芝居。律子の別れた父が住むこれも廃館となった映画館。結末のヒントになりそうなカットが多々出てくるがセリフ少なく、説明も少なく、何となくわかった気もするが、着地点がはっきりしない感はぬぐえない。
それと、そのような編集なのだろうが、映画の進行時間と物語の進行時間はリンクしていなくて、季節も秋と冬とが混ざって表現され混乱をきたす。
本作で特筆すべきはロケハンの成功による撮影の美しさに尽きると思う。大きな銀杏の樹2本、黄葉降り注ぐ校庭。雪景色。工作物でも小学校廃校舎、廃館の映画館(本宮映画劇場)、鉄橋(只見線第1只見川橋梁)など印象的な姿を充分に見せてくれる。