ストリートが主な舞台であるし,ファイヤーと呼べるような派手な爆破や炎上もある.警察力の様子を見ていても,ここはほぼ無法地帯であり,そうした中にも,例えば決闘を望むような礼儀があることは見逃すことができない.
ロックという音楽がこうした舞台に随伴し,早いテンポで繰り出されるショットがつながり,時にはストップモーションも用い,ワイプ的な場面の移行も見られる.ステージの上でも暴力がふるわれようとしてる,観客がいるフロアは混乱している.暴れているのはボンバーズで,彼らはストリートではライダーの群れと化している.そのリーダーは(ウィレム・デフォー)でいきがっている.バイクで走り去る時,高架がその頭上には見えている.単なる交通手段ではあるが,都市にはバイクと電車という異質な時間の束がそこに走っているようにも見える.
歩道を歩くことの当たり前を見せてくれるトム(マイケル・パレ)がこの町に現れている.例の暴れる若者たちにロックボーカルのエレン(ダイアン・レイン)がさらわれ,かねてエレンと関係があったトムは彼女を助けにいく.
足元と路面へのローアングルがある.雨が降ると路面は光の反射面となって都市の光景を変えていく.この無法地帯では拳銃を携帯している者も多い.トムと不思議に意気投合したキャップの女,マッコイ(エイミー・マディガン)は,もともと兵士で職を探しにこの街にやってきている.トムにも定職がない,このように職を持たないものたちが生活する手段としても違法行為は見えてきている.
スポンサーをしているメガネの男ビリー(リック・モラニス)
モノクロの映像もある.ポールダンスが執り行われている.スチームと工場の景観があり,都市はクールでありつつ,興奮しているようにも見える.屋根から狙い撃ちをすると,バイクが次々と炎上する,バスに乗ると,黒人コーラスグループのソレルズが歌を披露してくれる.パトカーも炎上している.稲光があるキスシーンを照らす.ハンマーでの決闘もされる.派手な音を立てていた電車も止まっていることがある.これらの出来事はやはり路上で起こされていく.