さて、お湯をかければ、インスタントレビューの出来上がり。
ネタバレ
脱力系ギャグの鬼才、三木監督、ストーリーで引っ張るタイプではないが、堂々の120分とスケールアップ
した。小ネタの嵐の他に、何か作戦があるのか興味深い。
ヒロイン沈丁花ハナメ(麻生久美子)は雑誌編集者で超現実主義者。ユーレイやお化けのたぐいはハナ
からバカにしている。母親(松坂慶子)は反対に河童が見えたり、オカルトがかっている。
ハナメの担当する雑誌が売れ行き不審で廃刊。ライターの市ノ瀬(ふせえり)に惜しまれつつ、退社に至る。
母親は現実主義者のハナメのために河童を探しにとある沼に行き、溺れて意識不明になってしまった。
その沼から盗まれた郵便ポストが回収され、親戚中の鼻つまみ者沈丁花ノブロウ宛てに母親が出した
手紙が届けられた。そこにはノブロウがハナメの父親であると書かれていた。
ノブロウ(風間杜夫)は骨董屋を営んでいて、話も行動もぶっ飛んでいる。果たしてハナメの父親なのか
判然としない。ハナメはモヒカンヘアーのパンクロッカーガス(加瀬亮)と親しくなる。
この骨董屋に場違いな美女の和歌子(相田翔子)がやって来る。彼女が女子学生の頃、町に置かれて
いたツタンカーメンの占い機を探していたのだ。鼻の下を伸ばしたノブロウは一計を企んで、スクラップの
山から件のツタンカーメンの占い機を掘り出す。電気屋でもあるガスの腕で、すぐ通電、和歌子が結ばれる
はずの、まだ見ぬ相手の写真が出て来る。見事ノブロウの気取った写真…。
いつも備忘録のためにストーリーを追いかけて書くのが癖になっているが、三木監督作品だけは、徒労感
も重くのしかかる。そうじゃないんだな、小ネタの切れ味なんだ、と自ら敗北宣言。
他にもリサイクル業者の村松利史、松重豊、森下能幸も笑わせられた。編集長の笹野高史、刑事役の
渡辺哲、宮藤官九郎も楽しそう。小ネタのショットガンで、行き先は弾に聞いてくれ、となる。
120分引っ張って、このオチか、と嘆息するか、ただ呆然とするか、あなたはどうなる?
でも面白かったから、いいか。