グラン・トリノ

ぐらんとりの|Gran Torino|GRAN TORINO

グラン・トリノ

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レビューの数

188

平均評点

83.2(1583人)

観たひと

2551

観たいひと

215

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / 社会派
製作国 アメリカ
製作年 2008
公開年月日 2009/4/25
上映時間 117分
製作会社 Village Roadshow Pictures=Malpaso Productions=Media Magik Entertainment
配給 ワーナー・ブラザース映画
レイティング 不明
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/DTS/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

誰にも心を開けず、死を待つだけの生活を過ごす孤独な老人と少年とが心を通わせていくヒューマン・ストーリー。「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー賞の作品賞と監督賞に輝いたクリント・イーストウッドが、激しくも静かに暴力の否定を訴える。製作・監督・主演をイーストウッドが務め、自身の主演作は「ミリオンダラー・ベイビー」以来となる。脚本は、本作が映画デビュー作となるニック・シェンク。他のキャストでは、「大いなる陰謀」のクリストファー・カーレイ以外は、ほぼ無名な新人たちで固めた。テーマ曲も、イーストウッド自身が手掛けている。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

妻を亡くしたウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、二人の息子や孫とも疎遠になった頑固で偏屈な老人だった。朝鮮戦争の帰還兵である彼は、戦場で人を殺した重い記憶から逃れられず、愛犬のデイジー以外には心を開けなくなっていた。妻と交流の深かった神父ヤノビッチ(クリストファー・カーレイ)からの懺悔の誘いも、ひたすら拒み続ける。かつてフォード社の自動車工だった彼の宝物は、ガレージで眠る72年型の愛車グラン・トリノだった。 ひとり暮らしを続ける彼の自宅の隣に引っ越してきたのは、東洋からやって来たモン族の一家だった。その息子タオ(ビー・バン)は従兄たちの不良グループからけしかけられて、グラン・トリノを盗もうとするが、それをきっかけにウォルトと出会う。タオの姉で人懐っこいスー(アーニー・ハー)とも知り合って、孤独だったウォルトの生活にも潤いが生まれた。父親のいない気弱なタオに対して、ウォルトは男としての誇りを教えていく。祖父と孫ほど年齢の違う二人は、次第に心を通わせあっていった。 しかし、不良グループたちは執拗なまでにタオを狙った。タオが傷つけられたことを知ったウォルトは、不良グループのメンバーのひとりを暴力で威嚇する。その報復として、タオの家は銃弾を浴びせかけられ、スーは暴行を受ける。 ウォルトの怒りは爆発した。一緒に戦いに行こうと叫ぶタオを部屋に閉じ込めたウォルトは、単身で不良グループの家へと向かう。彼らを怒らせたウォルトは、銃弾によって蜂の巣にされる。そして不良グループは警察から逮捕された。ウォルトの葬儀がヤノビッチ神父によって行われ、その遺言で愛車グラン・トリノはタオに与えられた。まるで新車のように輝くグラン・トリノには、ウォルトの半生が刻み込まれていた。デイジーを助手席に乗せてタオがハンドルを握ったグラン・トリノは、今日も街を駆け抜けていく。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2020年7月上旬号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第7弾 2000年代外国映画ベスト・テン:ベスト16

2015年4月下旬号

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ軌跡)」、その正体は果たして?:映画のキャラクターに俳優自身が重なって泣いてしまう映画 「グラン・トリノ」のイーストウッドは引退後のハリー・キャラハンだ

2009年5月下旬号

評論家発映画批評:「グラン・トリノ」

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2009年5月上旬号

巻頭特集 イーストウッドは「神」じゃない 「グラン・トリノ」:クリント・イーストウッド「グラン・トリノ」を語る

巻頭特集 イーストウッドは「神」じゃない 「グラン・トリノ」:対談 小林信彦×芝山幹郎

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2009年3月下旬号

特別企画 いま、アメリカ映画は本当に面白くないのか?:短評「レイチェルの結婚」「グラン・トリノ」

2020/11/26

2020/11/27

92点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


戦地で養われた老兵

罵詈雑言を絶やさず常に敵意をむき出しにするのにも理由があり、そして最後に彼はいつまでも逃げ切れぬ戦地からついに解放を得た。

2020/11/05

2020/11/06

85点

映画館 


2夜連続のイーストウッド作品。
これこそ今見るべき作品。一部のアメリカ人がトランプ的なるものに何を夢見たのか、彼らが何を守ろうとしているのかを完璧に描いている。ポリティカルコレクトネスへの反発、軟弱さへの憎悪、自己責任の意味、排他性を超えた自立。

もちろん現実のトランプは混乱と分断を巻き起こし、レイシズムと陰謀論渦巻くどうしようもない世界を作っただけなのだが。
現実のトランプはさておき、トランプ的なものを理解する上でこの作品を見て理解できなければ何を見ても無駄だろう。

国立映画アーカイブにて

2020/10/13

2020/10/14

90点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
字幕


残された家族が気になる

ネタバレ

残された家族が気になってしかたがない。
息子達家族の反応はそれほど責められるような物でもない。その原因はコワルスキーにある。気難しくレイシストの父に悩まされたであろう。彼らが一般的に育ったのは母親のおかげでもありそうだ。孫達もそこまで酷くはない。
父親がとなりのアジア人のために自己犠牲のように死んだのであり、しかも遺書には家族に対して残されたものがないのである。
そんな仕打ちをされるような事したかなあ。と、愕然とするであろう。ミリオンダラーベイビーのマギーの家族は本当にクソのように描いていた。それに比べると、コワルスキーの息子達は、社会常識をわきまえた平均的な良い人達に見える。別に遺産をどうこうするようでもなく、せいぜい、環境の良くない場所にある、小ぶりな家と旧車がある程度である。孫娘が悪く描かれていたが、ヘソだし、ピアス、タバコ、化粧。デリカシーがないのはあるが。思春期の一コマ程度ではないか。お父さんには振り回されたな、という気持ちだろう。
イーストウッドの実の息子や孫達との関係性が気になる。一緒に仕事している息子達もいるから、いい関係性のようにも思うのだが。
ミリオンダラーベイビー、本作、運び屋。イーストウッドが主演した役の設定では、必ず家族とうまくいっていない。
冷静に考えれば、6人の女性との間に8人の子供という。結婚、離婚、婚外子。波乱万丈である。

2020/09/20

2020/09/20

90点

VOD/NETFLIX 
字幕


老兵はいかにして去るか

ネタバレ

どんなふうに生き、そして死ぬか。男の生き様を描いた映画だと感じた。
偏屈な老人ウォルトは妻に先立たれ、病に冒され、離れて暮らす息子たちともうまくいっていない。ある日、隣に住むアジア系移民の姉弟をチンピラから救ったことがきっかけで、彼らとの交流がはじまる。
クリント・イーストウッド演じるウォルトが、チンピラをスカっとぶち殺す話になるのかと思えば、そうではない。これは映画界屈指の「老兵」が世界に送る、「やり直し」の映画だと思う。かつて戦争で若者の未来を奪った老人が、いま若者の未来を守るため命をかける。自分の子供とうまく接することができなかった父親が、いま孫ほどの年齢の他人を導く。過去の失敗や後悔を、別のやり方で克服する。これはそんな物語である。
ただし、暴力によってではない。暴力が誤りであることを、戦争経験者であるウォルトは知っている。それを象徴するかのようなラストは痺れた。人としての正義、男の美学、作中でも繰り返し言及される「生と死」について。人はいくつになってもやり直せるし、やり直さなければほんとうに生きたことにはならない。生きなければ、死ぬこともできない。「生と死」とは、そういうことか?
堅苦しい映画では全然ない。ウォルトがイラついたり戸惑ったりしつつ、隣人一家になじんでいく様子が微笑ましい。下品になりすぎない、絶妙な罵倒や軽口が楽しい。少年がウォルトに感化され成長する様子も、見ていて素直に嬉しくなる。
グラン・トリノが似合う男になれ。イーストウッドにそう言われたような気がした。

2020/08/28

2020/08/28

90点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


感情がお腹の中から染み拡がってくる名作、ガンマンがここまで大人になった

朝鮮戦争での自分の行為に苛まれ続け、子供達と上手くいかない主人公が、ふとした切っ掛けで隣のアジア人家族と触れ合い、そして最後。。。
設定は、円熟期のイーストウッド監督・主演物では定番の感がありますが、当作では他人の子供のバディ役というのが主軸になります。
物語は妻の葬式で始まります。苦虫潰した顔のイーストウッドが立っており、孫達のふざけぶりを苦々しく睨んでいるシーンが、家族とのすれ違いを感じさせますね。加えて、神父が若造で、お決まりの説教を学校で学んだ通りに話す感じが、これまたイーストウッドの心象を害するという冒頭で始まります。これに象徴される通り、この映画では色々な対比が表現されているな、と感じました。戦争経験世代とその後の世代、白人対有色人、学校出たばりで死を語る若造神父と戦争で死を直面した主人公等々です。
最初は単なる頑固ジジイに見えた主人公が、徐々に隣のモン族と関わる様になり交流を深めていく姿がとても心地良く観れました。彼の心や態度が徐々に和らいでいく様子を、とても自然に描いています。この雰囲気に包まれるのも良いなぁと思いながら観ていくと、事件が起きます。起きるというより、彼のトラウマが起こしてしまった、と言っても良いでしょう。それが招いた結果に彼は後悔し、だけど、激情に走らず、全てを考慮して最善の結果を残すのは何かを考え、実践するのが後半になります。彼と周囲との言葉遣い、視線、ちょっとした躊躇い、ユーモア等を上手く織り込みながら、ラストへ向かう主人公と周囲の人達の心の揺れと行動を、深く、しかも、分かり易く描かれていたと思います。繰り返しになりますが、これだけ深く、しかも分かり易い映画はそうそう出会えないと思いました。
イーストウッドは、銃を何度か振りかざし、拳闘シーンもありますが、さすがに年齢相応で迫力は鈍っていました。ですが、それは本人も考慮済だったのですな、だからこそ、ラストが活きてきます。観ている最中は、まさか、これまでの彼の西部劇を踏襲したラストになるのかぁ、それって大丈夫かぁという感じでハラハラ観ましたが、あの決定的な瞬間は、さすが西部劇の決闘シーンで演じてきた心理戦を見事演じ切った感がありました。脱帽です。
モン族の姉弟役の二人が、とても良い演者でした。
エンドロールで、グラントリノの曲が流れてきますが、最初の方のボーカルはクリント・イーストウッドでしょうか?

2020/08/04

2020/08/12

40点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


苦さと鈍さとして残された物性

ミシガンの20世紀には自動車産業の盛衰が刻まれている。イエローと呼ばれる黄色人種は、アメリカの車産業の斜陽と日本車の台頭を一言で要約しており、中国、タイ、ラオス、朝鮮といったアジアの地域と、具体的な隣人でもあるモン族などが、そこにひっくるめられている。住宅地は、グラントリノ車の年式と同じぐらいの1970年の開発によるものだろうか、宅地が整備された当初から時間がだいぶ経過しており、多くの家は傷ついており、世代も変わり、人種も入れ替わっている。
しつこいぐらいにそこに住む男ウォルトは、工具をこれでもかと並べ、身の回りの修理を施しながら、固陋な生活を過ごし、血を吐いている。隣人たちと打ち解ける姿には、多様な人種が構成するコミュニティを再生される可能性を示しつつも、血を吐いている。
妻は修理することができず死に、自らも死にかけた時、どのように死ねばよいかを探りつつあるようにもみえ、最期は夢叶い、西部劇の悪役のように多くの銃弾に撃ち抜かれ華々しく散っている。20世紀のアメリカに絶望し、19世期のアメリカに先祖返りをしつつ、夢のように散っていくウォルトであるが、隣人の迷信的なまじないや占いに理解を示し、ビールを煽りほろ酔い加減で、デイジーという名のラブラドールレトリバーを撫で、銃を振りかざす姿には、オカルトやサイコとも親和をみせている。そこに漂う不気味さは「カワイイおじいさん」に単純化される危険性も孕みつつ、懺悔、償い、責任といった伝統的で宗教的とも言える観念ともアンビバレンツに共生している。彼の苦々しさや彼の車の鈍い光りには、調和や理解を突き放した不可解な物性が見えている。