本作の時代設定は昭和40年代前半。団塊の世代たちが青春を謳歌していた頃です。
私は京都生まれの京都育ちなので、京都を舞台にされていたことで本作にはかなり馴染めました。
ストーリーの根幹にあるのは在日問題。当時は今よりも差別があったのは事実。私は昭和41年生まれで、その差別を目の当たりにした世代です。同時に朝鮮高校の恐怖も経験してます。中学時代の同窓生は学校に短刀を持って来てるヤツがマジにいました(笑)
冒頭のバスを倒すシーンなんかは、もちろん脚色でしょうが本当にやっても不思議でないと思ってしまうぐらいです。
そうは言っても、重たい作品でもない。日本人の高校生と在日の女子高生の淡い恋物語あり、日本人高校生と朝鮮学校性との友情物語ありと、心温まる交流も随所にあります。
それの象徴となるのが「イムジン河」というザ・フォーク・クルセダーズの楽曲です。
フォークソングて良いなと素直に思いました。祖国を思う在日の方々の心境を表現するのにピッタリです。音楽に国境はないと言いますよね。良い曲は良い曲なのです。
タイトルの「パッチギ!」は関西では「パチキ」と言います。これは相手の鼻目掛けて頭突きをかますことです。関西ではやんちゃな兄ちゃんが相手を脅す時に「パチキかますど〜」て使うことがあります。
タイトルだけで、暴力的描写があることが察することが出来ます。アンソンを演じた高岡蒼佑さんの演技は様になってました。彼にはハマリ役だった気がします。その反面家族や親戚、友達には優しく、在日コリアンの絆はよく描出されてると思います。
私の学生時代の友達に、在日コリアンが数人いました。大体そんな感じでした。
キャストは当時は無名でしたが豪華です。沢尻エリカさんはこの作品でブレイクしたし、真木よう子さんもまだ無名でした。オダギリジョーはヒッピー姿似合ってたし、ハウンド・ドッグの大友さんも出てました。
ケンドーコバヤシさん、前田吟さん、余貴美子さん、加瀬亮さん、桐谷健太と色んな俳優を使ってたのですね。
再見して、そうだったんだと驚かされました。
それとラストは良かったです。生まれできた赤ん坊を見て泣くシーンは、もらい泣きしそうになりました。私もそうだったから。
ハッピーエンドで後味良かったですよ。