20年前に見たときの映画メモと今回のものとを両方記録しておく。
「これまでの宮崎監督作品の中で、もっとも寓意的な作品ではないか。
新しい引越し先へ向かう親子が、山の中のトンネルを抜けて不思議の世界へ入っていく冒頭はワクワクした。それがすぐ、八百万の神やら妖怪やらのお伽噺めいたストーリー展開になると、「ああ、こういう映画だったのか」と、やや落胆した。もっと、ハラハラどきどきの冒険物語を期待していたのかもしれない。しかし、最後まで楽しめた。
木村弓の歌はどこで歌われるのかと待っていたら、最後のタイトルロールのときだった。
湯ばばは黒柳徹子がモデルだろうか。不思議の世界から生還して、親子は新しい家へ向かうが、ちゃんとたどり着いたのだろうか。もしかして、あるべきはずの家はなくて、景色が一変していたりして。車から降りると、白髪の浦島太郎になっているかも。」
新しい引越し先へ向かう親子が、山の中のトンネルを抜けて不思議の世界へ入っていく冒頭はワクワクする。甘えん坊でふてくされていた少女が魔法の世界で様々な試練に直面して成長していく姿は頼もしい。しかも正直さと謙虚な姿勢が周囲の妖怪たちを魅了していく。「艱難汝を玉にす」を絵にかいたような物語だ。
食欲や金などの欲にかられる一方で、家族や友達に対する清らかな情愛に惜しみない共感を示す人間の複雑さも描かれる。
機会あるごとに見直したい作品だ。