ダンサー・イン・ザ・ダーク

だんさーいんざだーく|Dancer in the Dark|Dancer in the Dark

ダンサー・イン・ザ・ダーク

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レビューの数

108

平均評点

77.0(916人)

観たひと

1584

観たいひと

162

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ミュージカル
製作国 デンマーク
製作年 2000
公開年月日 2000/12/23
上映時間 140分
製作会社 ツェントローパ・プロダクション
配給 松竹=アスミック・エース
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

目の不自由なシングル・マザーがたどる悲劇を描いた異色ミュージカル。監督・脚本は「奇跡の海」のラース・フォン・トリアー。撮影は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のロビー・ミュラー。振付はヴィンセント・パターソン。主演・音楽はビョーク。共演は「ヴァンドーム広場」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「グリーンマイル」のデイヴィッド・モース、「8mm」のピーター・ストーメア、「奇跡の海」のジャン・マルク・バールほか。2000年カンヌ国際映画祭パルムドール、主演女優賞受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年代、アメリカの片田舎。チェコからやってきたセルマ(ビョーク)は、女手一つで息子ジーン(ヴラディカ・コスティク)を育てながら工場で働いている。セルマは遺伝性の病気のため視力を失いつつあり、ジーンも手術を受けないと同じ運命をたどるのだが、それを秘密にしつつ、手術費用をこつこつ貯めていた。彼女の生きがいはミュージカル。アマチュア劇団で稽古をしたり、仕事帰りに友人のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とハリウッドのミュージカル映画を観ることを唯一の楽しみとしていた。しかしセルマの視力は日増しに弱くなり、ついには仕事のミスが重なり工場をクビに。しかもジーンの手術代として貯めていた金を、親切にしてくれていたはずの警察官ビル(デイヴィッド・モース)に盗まれてしまう。セルマはビルに金を返すように迫り、もみ合っているうちに拳銃でビルが死んでしまった。やがてセルマは殺人犯として逮捕され、裁判にかけられる。しかしセルマはジーンを守るため、またビルが妻に内緒で破産していたという秘密を隠し通すため、法廷でも真実を語ろうとはしない。そしてジーンが目の手術を無事受けることだけを願いつつ、自分は絞首台で死んでいくのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2001年2月上旬号

外国映画紹介:ダンサー・イン・ザ・ダーク

2001年1月下旬新世紀特別号

劇場公開映画批評:ダンサー・イン・ザ・ダーク

2001年1月上旬新年特別号

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:ビョークという女神

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:ラース・フォン・トリアー監督 インタビュー

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:ミュージカルの進化形

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:ロビー・ミュラー(撮影) インタビュー

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:ヴィンセント・パターソン(振付) インタビュー

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:作品評

作品特集 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:コラム ダンサーにもっとハマる

新作紹介:ダンサー・イン・ザ・ダーク

2000年9月上旬号

速報2001年正月映画:「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

2025/11/09

2025/11/09

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


川の流れ,換気口の空気の響き

1964年という設定があるせいなのか,社会通念の旧弊と産業構造が結びついているようにも感じられる新大陸の地域社会がそこに見えている.
しかし冒頭,何が見えているかすらもわからない映像がしばし流される.
クヴァルダと呼ばれる友人の女性キャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は何かと世話を焼いてくれる.彼女の隣人愛がセルマ(ビョーク)に注がれている.舞台上では「サウンド・オブ・ミュージック」の稽古をしているメガネのセルマとクヴァルダがいる.セルマはとても目が悪いのか,度のきつい眼鏡をかけている.その眼鏡が外されると彼女は変身しないが,世界の見え方がより真実に近づくようにも感じられる.セルマは歌を歌いながら機械を動かしているがその様子もブルーワーカーたちにやや不評を買っているように見える.彼女はやはり眼鏡をかけている息子のジーン(ヴラディカ・コスティク)とトレーラーハウスで暮らしており,やはり隣人の好意を受けて,そこに住まわせてもらっているようである.パトカーに乗って息子のジーンを連れてくるのが,隣の家の警官ビル(デイヴィッド・モース)である.近隣のコミュニティの狭さはそうした点にも現れている.生い立ちや家庭に問題があるのか,ジーンは学校に行くのを嫌がっている.ビルの妻のリンダ(カーラ・シーモア)はそんなジーンの面倒も見ながらも,夫には浪費家とされている.この隣人の遺産は尽きようとしているらしい.また,セルマの金は,故郷のチェコに送金されていると言う話もある. 
ジーンもセルマも自転車に乗っている.付近には線路が通り,木材を運ぶ機関車が走る.工場の前には大型のトラックもスピードを出して走っていく.こうした交通事情からも景気の良い都市との格差が感じられる.それでもセルマはミュージカル映画を見ながら,解説を受けており,他の観客に怒られている.セルマの解説によれば,ミュージカル映画は恐ろしいことが起こらないとされる.彼女の世話を焼く男性もおり,ジェフ(ピーター・ストーメア)はセルマの恋人になりたがっており,その気持ちは隠さず,行動する.
彼女には秘密がある.近々失明すると言う.それは遺伝の問題なのかどうかは判然としない.隣人ビルとそのやたらと明かせない秘密を共有する.
機械がリズムを刻む.リズムが幻想を生む,そして歌とダンスがそこに紡がれていく.映画が永遠に続くことについて,映画を終わらせないための(セルマなりの)答えは既に出ているようである.彼女はそして線路を伝って歩いている.
工場の上長(ジャン・マルク・バール)は彼女をクビにする.ミュージカルの演出をするサミュエル(ヴィンセント・ペイターソン)も目の障害やミュージカルへの思いも含め,彼女の存在を大切にはしている.しかし,こうした優しさも彼女の狂信的とも言える信念や念願の強度には通じていないようにも感じられる.歌とセリフの中でセルマは.見るべきものは全てを見たと宣言する.そして鉄橋の上を走る列車の荷台は舞台となっている.
大小の川が流れる.そして川には排水が吐き出されている.静か過ぎる刑務所にあって.独居房には換気口が設けられており,そこにはわずかな響きが聞こえてくる.やがてその音がセルマを救い出すのだろうか.刑務につくブレンダ(シオバン・ファロン)が彼女に寄り添う悪魔のようにも見え,107歩のマーチが始まろうとしている.

2025/10/06

2025/10/06

85点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


ラーズ・フォン・トリアーという人は人の心が無くて、とりわけ観客への思いやりが著しく、それ故に天才なのではないかと思ってるんだけど、この映画は珍しく観客に寄り添っていて、その観測し易さでこの映画だけ殊更鬱映画の代表みたいに言われるんではないか。トリアー作品なんて言ってみりゃ全部鬱映画だ。大体ミュージカルって取っ付き易さが人が悪い。イヤな感じになり始める辺りからミュージカルが始まって、イヤ度が強まる程ミュージカルの度合いが高まって行く。人が悪い。フィクション性を高めておきながらいつもの手持ちカメラのドキュメンタリータッチで、トリアー自身=神の視点で見守るのがこの物語である。なんという傲慢さ。タチが悪い。最高!

2024/02/18

2024/02/18

-点

VOD/その他/レンタル/テレビ 
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The Show Must Go On.

「ミュージカルを観るときは最後から2番目の曲が終わったところで劇場を出るの。そうすれば永遠に終わらないでしょう?」

1964年アメリカ。チェコ移民セルマ(演:ビョーク)は息子ジーンと2人でトレーラーハウス暮らしをしている。彼女の家系には先天性の眼の病気があり、彼女も失明寸前で、いずれはジーンに遺伝するであろう病気のためにわずかな工賃から治療費を貯金していた。だが眼のせいで雇い先の工場はクビになり、折しも借金を抱えていた大家ビル(演:デヴィッド・モース)が持ち逃げした治療費を取り返そうとした際にビルを殺害してしまう...。
本音を言うと、あまり感情移入出来なかった。僕は独身主義者であり、子供も持とうと思っていない。ポンコツなスペックしかくれてやれないし、せめて明るい未来が見通せるならとも思ったがそれも叶いそうにない。であれば自分のエゴで子供をもうけることなど子供からすれば罰ゲームでしかない。そう思うから関心がないのだ。セルマは僕とは真逆だ。眼の病気が遺伝することをわかっていても、赤ん坊を自分の腕で抱きたかったからジーンを産んだ。それを批判はしないが、ならば最後までセルマには全うして欲しかったと強く思う。セルマの選択は、確かに最後から2番目の音楽で止めたことになるかもしれない。だが同時にそれはジーンにとっては、「残りの長い人生をエンドロールで過ごせよ」と言っているようにしか思えない。加えて、親友キャシー(演:カトリーヌ・ドヌーヴ)ら周囲の人々の想いすら台無しにしてしまったようにも感じる。つまり、立つ鳥跡を濁しっぱなしに映ったのだ。
他に選択肢がいくらでもあったために残念でならない。間違いなく、もっと他の終わり方があったはずである。

2024/01/06

2024/01/06

90点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


おみごと

トリアー監督による一種の観察の悪意と善意、人間に見いだす悪意と善意が、同時進行で描かれる、そのバランスがとても佳い。

そして、私は初めて、歌って踊る論理的な必然性を感じた作品でしたよ。鉄橋・列車のシーンは中でも特筆もの。

チェコからアメリカに移住なり亡命なりするまでのプロセスは説明されていないけれど、主人公はさぞかし艱難辛苦に出会ったのだろうな、それを打破する知恵もあったのだろうな、と思った。

舞台となる現場から遠く離れたデンマークから、フィクションを構築して製作するトリアー監督だから、こんなことを思うのはおかしな事なのだけれど。

そうそう、ビョークさん、知り合いだったら友人になれたかもしれないなと思いました。




2023/12/03

2023/12/03

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 


まいった

ネタバレ

すごい映画でした。

最初の入り方もおかしいし、
まるでドキュメンタリーのような平板な映像が続く。

彼女は一つのことを、そのことだけを大事に生きてるんだ。

けど、彼女の空想の世界。

そこだけは、光り輝くミュージカルの世界。
急に映画らしい映像が続く。

いや、続かない。

現実の世界に戻らないといけない。
現実の世界で彼女はどんどん追い込まれる。

彼女が死にたくないと思ったのも、
やっぱり死刑を選んだのも、よくわかる。

話が淡々と進むので、あまり面白くないなぁと思って観ていたんだが、最後の方のビョークの歌で、泣いちゃいました。

はい。

やられました系の素晴らしい映画です。

2021/01/24

2023/11/09

80点

映画館/神奈川県/ワーナー・マイカル・シネマズつきみ野 
字幕


劇場公開時の採点とあやふやな記憶

採点は、劇場公開時のもの。

今は、あまり具体的な記憶には残っていないが、
強烈な印象を受けた事と、
他の人の解釈とは異なっていた事で、
真剣に分析しようと思って、確認のために再度劇場に行った事は覚えている。

解釈の違いとは、
他の人はストーリーをそのまま受け取って、ストーリーの是非を語っていたのに対し。
私は、「ストーリーは何かを象徴しているだけ」と思った事だったかな?

ーーーー

【基本情報の訂正】

メディアタイプとは撮影時のメディアの事だと思うが、
IMDbによると、この作品はフィルム撮影ではなく、
ソニーのビデオカメラ(PAL方式)で撮影されていて、
そのために解像度が粗い画質になっている。