文学座公演「逃げろ!芥川」@紀伊國屋サザンシアター
■作:畑澤聖悟■演出:西川信廣
■出演
車掌、レエンコートの男、クワ田:石川 武
菊池寛:瀬戸口 郁
芥川龍之介:若松泰弘
女4、片山広子:郡山冬果
女1(少年)、ろおれんぞ、吉田弥生:鹿野真央
女5、平松麻素子:髙柳絢子
真砂、多襄丸、金澤武弘、秀しげ子:日景温子
良秀の娘、芥川文:牧 紅葉
「スペイン風邪」のパンデミックから逃げるために、芥川龍之介と菊池寛は長崎へ向かいます。その道中、芥川の著書や書簡、菊池寛ら大正の文学者の作品にまつわる登場人物が現れ、舞台はまるで『銀河鉄道999』の様相に。
病と人類の闘い、そこで揺れ動く死生観、さらには今後彼らを待ち受ける厳しい現実を通して、ポストコロナの不確実な未来に立ち向かう我々現代人の姿を映し出します。
(文学座 サイトより)
2023年10月は映画をほとんど見ずに本ばかり読んでいた。この「逃げろ!芥川」観劇の予習も兼ねて芥川龍之介と菊池寛のものを中心に100篇以上の小説、随筆、評論、戯曲等々。
予習のおかげではないだろうが、面白さでは今年見た芝居の頂点。特に「藪の中」「羅生門」の多襄丸、襲われる金澤武弘とその妻真砂が、日景温子という女優を通してコロコロ現れる劇中盤の面白さは格別で、哄笑の連続。
芥川龍之介の初恋の人、妻、浮気相手、秘書といった実在の人物と小説中のキャラクターをダブらせる設定が非常に面白い。芥川が当時の女性誌で人気作家ランキングで『顔は95点』というのも笑わせる。
笑いだけでなく、その奥には常に死がこちらを、つまり芥川龍之介と菊池寛を通して観客を見ている。ただ、死という深刻で重いテーマが根底にありながらも、芥川龍之介と菊池寛の友情(文学上の差はありながらも)が見終わって強く残るので気持ちのよい涙を流して劇場を出ることができる。
アフタートークの演出家と作者の対談も非常に面白かった。
畑澤聖悟さん、青森の現役高校教師とのこと。コロナの次はウクライナ、イスラエルの戦争がテーマになるのだろうか?