羅生門(1950)

らしょうもん|----|Rashomon

羅生門(1950)

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レビューの数

110

平均評点

77.5(612人)

観たひと

1020

観たいひと

53

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇 / 文芸 / サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1950
公開年月日 1950/8/26
上映時間 88分
製作会社 大映
配給 大映
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒澤明 
脚本黒澤明 
橋本忍 
原作芥川龍之介 
企画本木荘二郎 
箕浦甚吾 
撮影宮川一夫 
美術松山崇 
音楽早坂文雄 
録音大谷巌 
照明岡本健一 
編集西田重勇 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演三船敏郎 多襄丸
森雅之 金沢武弘
京マチ子 金沢の妻・真砂
志村喬 杣売
千秋実 旅法師
上田吉二郎 下人
加東大介 旅免
本間文子 巫女

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

芥川龍之介の小説『薮の中』を黒澤明が映画化。第12回ヴェネチア映画祭のグランプリ、第24回アカデミー賞の名誉賞(外国語映画賞)を受賞した。脚本は黒澤と橋本忍、撮影は宮川一夫。出演は、三船敏郎、森雅之、京マチ子。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

平安時代のとある薮の中。盗賊、多襄丸が昼寝をしていると、侍夫婦が通りかかった。妻に目を付けた多襄丸は、夫をだまして縛り上げ、夫の目の前で妻を強姦する。しばらく後、現場には夫の死体が残され、妻と盗賊の姿はなかった。 --物語は、この殺人事件をめぐり、目撃者の杣売(志村喬)と旅法師(千秋実)、捕らえられた盗賊(三船敏郎)と侍の妻(京マチ子)、それに巫女により呼び出された、死んだ侍の霊の証言により構成される。ところが事件の顛末は、証言者によってくい違い、結局どれが真実なのかわからない。盗賊によると、女がどちらか生き残った方に付いていくと言うので夫と対決し、彼を倒したが女は消えていたと言い、妻は妻で、盗賊に身を任せた自分に対する夫の蔑みの目に絶えられず、錯乱して自分を殺してくれと短刀を夫に差し出したが、気が付いたら短刀は夫の胸に突き刺さっていたと告白。そして夫の霊は、妻が盗賊に、彼に付いていく代わりに夫を殺してくれと頼むのを聞いて絶望し、自分で自分の胸に短刀を刺したが、意識が薄れていく中で誰かが胸から短刀を引き抜くのを感じながら、息絶えたと語った。 役所での審問の後、羅生門の下で雨宿りをしている杣売と旅法師は、同じく雨宿りをしていた下人(上田吉二郎)に事件について語る。下人は、短刀を盗んだのは杣売だろうとなじり、羅生門に捨てられていた赤ん坊の衣服を剥ぎ取ると行ってしまった。呆然とたたずむ杣売と法師。杣売は、赤ん坊を引き取って育てるという。法師が彼の行為に一縷の希望を見出し、映画は終わる。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年7月下旬号

巻頭特集 戦後の日本映画史に“肉体”を与えた女優 京マチ子、逝く:「羅生門」の思い出

BOOK SPECIAL 『黒澤明の羅生門―フィルムに籠めた告白と鎮魂―』:インタビュー ポール・アンドラ(聞き手:北村匡平)

2008年12月下旬号

スペシャル・レポート:「羅生門」デジタルで復活

1991年5月上旬号

特別企画 Special Collection LD:「羅生門」&「ゴーストバスターズ」

1983年11月上旬号

特別企画 [黒澤明の全貌]によせて 第1回 私の黒澤映画:「羅生門」

1963年4月号増刊 黒沢明<その作品と顔>

シナリオ:羅生門(コンテニュイティ)

1959年6月上旬号

キネマ旬報無題欄:ブロードウェイで上演された「羅生門」

1955年6月下旬号

東南アジアの学生と日本映画:「羅生門」と「雪割草」 (パキスタン)

1952年増刊 名作シナリオ選集

コンティニュイティ 羅生門:一九五一年ヴェニス・グラン・プリ受賞

1951年10月上旬秋季特大号

日本映画「羅生門」にヴェニス大賞輝く:

1950年復刊特別号

日本映畫批評:羅生門

2025/09/24

2025/09/28

76点

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一流人達による映画

 本作はすでに2,3回観ているのだが、私には今ひとつしっくりこない。おそらくはストーリーが証言者によって2転、3転するところがモヤモヤしたんだろうが、まさにそこが映画の本質なのだが。要するに私の映画の見方というのは単純で浅い、と言うことだろう。
 今回改めて観て、早坂文雄の音楽が映画のリズムを作っている、とつくづく思った。早坂のボレロが映画の中の登場人物の動きのテンポを決めているように見える。あの志村喬の歩くリズムがボレロに乗って、藪の中をどんどん進んで行く。そして音楽が止まるとそこに市女笠が枝に掛かっており、また音楽が鳴って、止まると、烏帽子が落ちており、と進んでいって、ついに侍の死体を発見する。
 早坂文雄は黒澤と溝口が取り合いをしていて、黒澤の映画の時に死んだらしい(ウェキおじさんより)。これはどこから聞いたか憶えていないのだが(あるいは何かで読んだか)、(多分溝口が)次の映画で早坂を使おうと思っていたのに、黒澤が殺した、と言って怒った、と言う逸話を聞いたことがある。早坂は北海道で育って、映画音楽をやるようになった。早坂が死んだ後、黒澤が使ったのは佐藤勝で、同じく北海道出身というのも奇遇だ。
 主たる役者は皆さん知っているでしょうが、志村喬、三船敏郎、京マチ子、森雅之で、脇に千秋実と上田吉二郎が出ている。黒澤映画にあの上田吉二郎が出ているんだぜ。尤も何本か出ているようだけど、私の印象はあの悪役の上田が出てるんだ、ついでに内田朝雄も出ていたらなあ。でも年がかなり違うかな。
 やっぱり三船の多襄丸の演技がずば抜けているね。ちょっとオーバーアクションにも見えるのだが。そして京マチ子。彼女の演技があってのこの映画と言っても良いかもしれない。おしとやかに見えて、男を手玉に取ろうとする気の強い女を演じている。個人的には京マチ子はあまり好きじゃないんだけど、でも大女優である事は認めざるを得ないよね。「蜘蛛の巣城」の演技も凄かったよね。
 志村喬はいつもの演技かな。
 森雅之がもっと活躍してほしかったなあ。やっぱり三船に負けていたものなあ。
 羅生門のあのでかくてしかも崩れかけたセット、凄いね。本当にどこかの廃寺で撮影したのかと思うくらいしっかりしていた。
 でカメラが宮川一夫でしょ。大映の名カメラマンじゃない。溝口組のカメラマンだよね。
 後、これもウェキおじさんから教えて貰ったのだけど、助監督がチーフ:加藤泰、セカンド:若杉光夫、サード:田中徳三だって。笑ってしまうくらい凄いな。黒澤が東宝争議の影響で大映で撮った映画だから大映の監督部が助監督をつけるのは当たり前なんだろうけど、やっぱりこの名前を見ると凄いなあ、と思ってしまう。尤も加藤泰は黒澤と喧嘩して現場に来なかった、とウェキおじさんは言っていたけど。
 一流の監督と一流のスタッフと一流の役者で作り上げた作品だ。もうこの頃からやっぱり黒澤だ。

2014/11/09

2025/06/21

80点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


モノクロ映画ではあるけれど、木漏れ日等の陰影の付け方が本当に素晴らしい。特に、冒頭で志村喬演じる杣売が山道を歩くシーンでは、射し込む光と木々の緑を見たような気になってしまうほど。そして、タイトルに「羅生門」と冠してはいるものの、実際には「藪の中」の映画化で、三者三様の言い分とその食い違いが面白い。ただひとつ分かるのは、どんなことであっても事実はひとつしか存在しないのに、語る人の保身や願望が盛り込まれ、語る人の数だけ真実が出来上がってしまう。例え嘘が潜んでいたとしても、例え自分に不利になることを語らなかったとしても。三船敏郎演じる多襄丸は、後の「七人の侍」菊千代の原点とも言えるキャラクターで、山を支配するような高笑いが印象的。そんな彼と対峙する、京マチ子演じる真砂の悪女っぷり、森雅之演じる金沢の下衆っぷりもなかなか。また、朽ち果てた羅生門、全てを打ち消す豪雨も記憶に残る。

2010/12/28

2024/03/04

75点

選択しない 


誰もが自分が可愛い

 1950年公開の「羅生門」であります。黒澤明監督作品。橋本忍の脚本に黒澤自身が手を入れました。撮影監督は名手宮川一夫。音楽は前期黒澤作品を支へた早坂文雄であります。

 平安時代、京の都の羅生門で、豪雨叩きつける中、杣売(志村喬)・旅法師(千秋実)そして行きずりの下人(上田吉二郎)が、藪の中で起きた殺人事件に就いての話をしてゐます。杣売と旅法師はその件で検非違使に呼ばれて証言をして来たのですが、その様子を下人に語るのです。

 殺されたのは武士の金沢(森雅之)と云ふ男。取り調べの場所へ放免(加東大介)が下手人として連行して来たのは、盗賊の多襄丸(三船敏郎)。彼が云ふには、山中で金沢と妻の真砂(京マチ子)が通りかかつた際に、真砂を襲ひレイプしたと。その後真砂は多襄丸と金沢に決斗を促し、勝つた方についてゆくと言つたので、多襄丸は金沢を殺したが、正々堂々と戦つた結果だと主張しました。しかし戦闘中に真砂は姿を消してゐたと云ふ。

 一方真砂は、多襄丸に凌辱された後、彼は逃げたと云ひます。金沢は自分を軽蔑の眼差しで見つめた為、短刀を渡して自分を殺すやうに頼みますが、錯乱状態になり気付いたら担当は金沢の胸に刺つてゐたと証言しました。
 金沢の証言は、巫女を霊媒として行はれました。多襄丸に妻の真砂が、自分を殺すやうに頼んだので絶望し、自ら短刀を刺したと。その後誰かが担当を抜いたが、それは誰かは分からないと云ひます。
 そこまで下人に語つた杣売、皆が嘘を吐いてゐると語ります。実は杣売は一部始終を目撃してゐたのです。その事実とは......?

 芥川龍之介の短編「藪の中」を原作とし、タイトル「羅生門」は別作品から拝借しました。公開直後は取りたてて話題にならず、大映社長の永田雅一も「訳が分からない」などと口走つてゐたさうです。それがヴェネチア映画祭でグランプリに輝くと一転してこの作品を誇らしげに語るやうになつたと。

 以降日本映画の海外進出が本格化した事を思へば、まことに意味のある受賞でしたが、同時に海外の評価に弱い日本人の姿を晒したとも申せませう。最近でも、「ゴジラ-1.0」と云ふのが、当初は「賛否両論」だつたのが、ハリウッドで高評価を得、アカデミー賞視覚効果賞ノミネートが報じられるや、日本国内でも「礼賛一辺倒」へと変つてきました。別に良いけど。

 テエマとしては、千秋実の旅法師が嘆くやうに、誰でも自分が可愛く手前勝手に生きると云ふエゴイズムに満ち満ちた世界を描いてゐます。エラソーに語つてゐた志村喬さへも上田吉二郎に罵倒されても仕方のない事をしてゐました。ラストの赤ん坊のエピソオドは不要との意見もございますが、全く救ひのないラストでは千秋実同様、絶望しかありません。現実には人間は助け合つて生きてゐるのも真実でありますし、映画的にはこの終り方で良かつたと存じます。

 カメラ的には、やはり木漏れ日の使ひ方が素晴らしい。太陽光を利用した光と影のコントラストや、三船の顔に映る葉の影が揺れる事で風を感じさせるのも鮮やかでした。一方で羅生門での叩きつける豪雨の撮影も迫力満点と存じます。

 ヒロインは生誕100年を迎へた京マチ子さん。黒澤監督が希望した原節子が叶はず、次善のキャスティングとして選ばれましたが、結果的にはこれが良かつたと存じます。自ら出演を志願しただけあつて、各人の証言によつて人妻としてのキャラクタアを微妙に演じ分けてゐます。まだ新人の範疇だつたと思ひますが、以降大女優として君臨する片鱗を見せつけたと申せませう。

 何の予備知識なしに見ると、それこそ永田雅一と同じ感想になるかも知れませんが、改めて見ますと緊張感の中にも人間の本質を衝き詰めた明確なメッセージが生きてゐます。普段黒澤の悪口ばかり言つてゐますが、虚心に鑑賞すれば中中の逸品と申せませう。

2024/03/03

2024/03/04

75点

その他/unext 


三船敏郎の演技

『藪の中』とは違い、この映画の中では、死んだ男の証言が、真実という事のようだ。
話としては、最後に志村喬が語るバージョン、なんだかシラケて分かれようとしていた男二人を、女がけしかけて (ヤッタ〜) 、実に格好悪い闘いをさせる、というのが1番面白い。多くの黒澤作品内でスーパーマン的な三船敏郎が、ここでは情けない男ぶり。
エピローグで、志村喬が、貧しい中、捨て子を引取る事を申出る件で、僧は少し明るい気持ちになる。が、やはり、この監督に付き物の唐突な人間讃歌は蛇足。

2023/11/23

2023/11/23

70点

購入/DVD 
字幕


DVDで再見。35mmマスターポジをD5テープにHDテレシネしNTSC方式にダウンコンバートしたデジタルベータカムテープとデュープネガから起こしたプリント音声によるものとのこと。

なるほどこれは素晴らしい。昔はどう観たか、どんな印象だったかは覚えていないが、当時の邦画ではたぶんひとつ頭が抜けた出来なんだろうな。

戦火で朽ち果てた羅生門の中で雨宿りしている三人の会話から始まり会話で終わる。

侍(森雅之)の死体を発見した杣売り(志村喬)の証言と、侍を殺したとする多襄丸(三船敏郎)、手籠めにされた侍の妻(京マチ子)、そして巫女を通しての侍の証言が悉く異なるという斬新な展開のうえ、実は杣売りは一部始終を目撃しており揉め事に巻き込まれたくないために偽証をしていたことが判明、その実態は3人とも異なる話だった…というどんでん返し。

ただこの物語の真意は人間を信頼すべきか…という旅法師(千秋実)の問いかけで、杣売りは改心して真人間になるために捨て子を育てる決意をし、まっすぐ前を向いて羅生門を後にするというヒューマニティなのだろう。

伝説的な森の中の横移動や鏡の反射を役者にあてるという手法なども改めて斬新な演出だと思いつつ、検非違使(裁判官?)とのやりとりで一切検非違使の台詞(聴きとり)が無く、証言者がそれぞれ一方的に発言するというやり方も演劇的で面白かった(このシーンは白砂利のうえで証言をしているが、真っ白ギリギリの映像で映像で描かれているので暗い森のシーンや土砂降りの羅生門のシーンが効果的に描かれる)。

あと鏡を使った照明の効果もあるが3人(三船、京、森)の目が協力にして美しい。眼差しの強さは日本映画離れしている気がする。三船敏郎で言うと杣売りの証言で出てくる妻が夫と多襄丸を罵倒するシーンで、多襄丸の狼狽えた表情!素晴らしかった。

DVDは映像的には綺麗な箇所と修復が厳しそうな箇所と極端。近頃出回っている4kはどこまで綺麗になっているものか。それ以上に残念だったのが特典映像の当時のスタッフの証言集。みんなおじいちゃんおばあちゃんで若干聴きとりづらく、こちらにも字幕を入れてほしかったなあ…と。

2023/10/29

2023/10/31

85点

その他/紀伊國屋サザンシアター 


文学座公演「逃げろ!芥川」@紀伊國屋サザンシアター

■作:畑澤聖悟■演出:西川信廣

■出演
車掌、レエンコートの男、クワ田:石川 武 
菊池寛:瀬戸口 郁 
芥川龍之介:若松泰弘 
女4、片山広子:郡山冬果
女1(少年)、ろおれんぞ、吉田弥生:鹿野真央 
女5、平松麻素子:髙柳絢子 
真砂、多襄丸、金澤武弘、秀しげ子:日景温子 
良秀の娘、芥川文:牧 紅葉

「スペイン風邪」のパンデミックから逃げるために、芥川龍之介と菊池寛は長崎へ向かいます。その道中、芥川の著書や書簡、菊池寛ら大正の文学者の作品にまつわる登場人物が現れ、舞台はまるで『銀河鉄道999』の様相に。
病と人類の闘い、そこで揺れ動く死生観、さらには今後彼らを待ち受ける厳しい現実を通して、ポストコロナの不確実な未来に立ち向かう我々現代人の姿を映し出します。
(文学座 サイトより)

2023年10月は映画をほとんど見ずに本ばかり読んでいた。この「逃げろ!芥川」観劇の予習も兼ねて芥川龍之介と菊池寛のものを中心に100篇以上の小説、随筆、評論、戯曲等々。
予習のおかげではないだろうが、面白さでは今年見た芝居の頂点。特に「藪の中」「羅生門」の多襄丸、襲われる金澤武弘とその妻真砂が、日景温子という女優を通してコロコロ現れる劇中盤の面白さは格別で、哄笑の連続。
芥川龍之介の初恋の人、妻、浮気相手、秘書といった実在の人物と小説中のキャラクターをダブらせる設定が非常に面白い。芥川が当時の女性誌で人気作家ランキングで『顔は95点』というのも笑わせる。
笑いだけでなく、その奥には常に死がこちらを、つまり芥川龍之介と菊池寛を通して観客を見ている。ただ、死という深刻で重いテーマが根底にありながらも、芥川龍之介と菊池寛の友情(文学上の差はありながらも)が見終わって強く残るので気持ちのよい涙を流して劇場を出ることができる。
アフタートークの演出家と作者の対談も非常に面白かった。
畑澤聖悟さん、青森の現役高校教師とのこと。コロナの次はウクライナ、イスラエルの戦争がテーマになるのだろうか?