石中先生行状記(1950)

いしなかせんせいぎょうじょうき|----|----

石中先生行状記(1950)

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レビューの数

9

平均評点

70.7(39人)

観たひと

66

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1950
公開年月日 1950/1/22
上映時間 96分
製作会社 新東宝=藤本プロ
配給 新東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダ-ド
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督成瀬巳喜男 
脚色八木隆一郎 
原作石坂洋次郎 
製作藤本真澄 
撮影鈴木博 
美術中古智 
録音中井喜八郎 
照明平岡岩治 
編集長田信 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演宮田重藏 石中先生
渡辺篤 中村金一郎
堀雄二 河合勇三
進藤英太郎 リンゴ園主山崎
木匠久美子 山崎の娘モヨ子
藤原釜足 山田武造
出雲八重子 妻友子
杉葉子 娘まり子
池部良 息子秀一
中村是好 木原亀吉
三船敏郎 長沢貞作
小島洋々 貞作の父
飯田蝶子 貞作の母
水谷史郎 貞作の弟
若山セツコ 木村ヨシ子
中北千枝子 ヨシ子の姉カツ子
柳谷寛 克子の夫清次郎
田中春男 入院患者・相川

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「望みなきに非ず」の製作者藤本真澄の担当で、小説新潮連載の石坂洋次郎の原作を「深夜の告白」の八木隆一郎が脚色を執筆、監督は「春の目ざめ」以来の成瀬巳喜男が久方の担当である。キャメラは「小原庄助さん」の鈴木博。医学博士、洋画家でラジオの「二十の扉」の宮田重藏が出演する他「男の涙」の渡辺篤「忘れられた子等」の堀雄二「青い山脈(1949)」の藤原釜足と同じく池部良、杉葉子らをはじめ「野良犬(1949)」の三船敏郎、「大都会の顔」の若山セツ子、「静かなる決闘」の中北千枝子が出演する外、進藤英太郎、飯田蝶子らが助演する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

〔第一話隠退藏物資の卷〕東北地方のある城下町に住んでいる有名な小説家の石中先生は、今日は郊外のリンゴ園の中に中村金一郎氏や河合勇三君の報告でドラムかん四百六十本が退蔵してあると聞きその摘発に出かけた。始めは大真面目で掘り出していた石中先生はなれていないので、すぐ伸びてしまった。一方中村氏は誠にのんびりしている。河合君はリンゴ園の娘モヨ子ちゃんと青空をながめながら、若い希望を喜び楽んでいる。一人気をもんでいるのはリンゴ園主の山崎さんだけ、何にしろドラムかん四百六十本というから。だが底を割ってみれば、その事実はウソで中村氏が河合君とモヨ子ちゃんの高砂を目論でのデマだったという。ただ最後までそれを信じているのは山崎さんだけだという。 〔第二話仲たがいの卷〕この田舎町にも都会の空気が流れ込み始めた。エロレビューがやってきた。そこで山田書店にビラをかけてくれとやってきたが山田さんが迷っていた、ちょうどその時娘のまり子の許婚男の秀一の父の大原さんがやってきた。せっかくもらった切符がもっ体ないし、それに子供の教育上一応見ようといって二人はすぐに出かけた。処が娘のまり子は母に聞いて驚き、秀一と二人で父親達を訓戒しようとして相談して芝居のハネるのを待っていることにした。ついでに弱点をにぎっておいて何か買ってもらうことを計画したが、形勢が逆転してしまった。というのはわが父はやはりわが父で、秀一の父とまり子の父が、どっちが先にさそったかと大騒ぎになって、まり子と秀一の間もただならぬものとなった。そこに石中先生がユーモアたっぷりの弁舌をもって裁いていくのである。 〔第三話千草ぐるまの卷〕ヨシ子は町の病院に姉のカツ子を見舞いに行った。その時同じ病院に手相をみる素人患者から今日明日中に恋人がみつかると予言される、その帰り道ヨシ子はわが村に行く馬車にゆられて行った。馬車は茶店で休んでいたが、ヨシ子はふとしたことから間違って別の馬車にゆられていた。方角の違う貞作の引く馬車だった、帰えるに帰えれないヨシ子は、その家の人々から暖かく迎えられて宿まることになった、貞作は無口であったがヨシ子に好意をもつようになっていた。その明くる朝ヨシ子は貞作の引く馬車にゆられてわが家に向った。かくして三組の婚礼式が石中先生の媒しゃくによって厳かにあげられた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2025/09/27

2025/09/27

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


淡々とした戦後の田舎の風景

あまり面白いとは思えない
三船がほとんどしゃべらない
若山セツ子は可愛い 21歳で既に17歳上の谷口千吉と結婚中
ちなみに谷口は6年後さらに2歳下の八千草薫と再婚

2025/01/03

2025/01/06

80点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


成瀬巳喜男監督による連作オムニバス

ラピュタ阿佐ヶ谷の「昭和の銀幕に輝くヒロイン[111弾]若山セツ子」の最初の1本。ほのぼのとした佳作。「第1話:隠退藏物資の卷」「第2話:仲たがいの卷」「第3話:千草ぐるまの卷」という原作者石坂洋次郎と思われるような石中先生が脇となって進行する連作オムニバス。1話は、堀雄二の手引きで渡辺篤が、石中先生(宮田重藏)と一緒に日本軍がリンゴ農園の前の空き地に埋めたというガソリンを掘るのだが、実は堀の目的はリンゴ農園の娘(木匠久美子)だったという話。2話は、古本屋の店主の藤原釜足が、当時のストリップレビュー(劇中では裸踊り)を中村是好と観に行き、それを知った娘の杉葉子が父親を懲らしめるために、中村の息子であり恋仲の池部良と一緒に劇場の前で親を待ち伏せして大事になるが、結局杉と池部がお互い好きだということを再確認することになるという話。3話は一番の傑作。若山セツ子は、弘前の病院に入院している姉(中北千枝子)の見舞いに行き、そこで「今日・明日に貴女の将来を左右する人に逢う」と占い好きの入院患者(田中春男)に言われる。そして、帰り道で、間違って三船敏郎の藁を運ぶ馬車に乗り、三船の母親の飯田蝶子に「今日はもう遅いから家に泊まっていけ、明日送っていくから」と言われ、その晩村の盆踊りに参加して、急速に2人は接近するという話。石中先生は、翌朝家に泊まったことを駐在所(警官)に証明書を発行してもらい若山の家に渡すという場面で、警官と一緒に登場。三船は最初のシーンでは、髭ずらで登場し夜に風呂で髭を剃ってさっぱりした顔に。唖のように喋らない男が、若山と接近するにつれて喋り・笑うところがいい。石中先生役の宮田重藏と言う役者は、観た記憶がなく、初めて認識した。「あらすじ」には、「かくして三組の婚礼式が石中先生の媒しゃくによって厳かにあげられた。」とあるが、そんなシーンはない。映画は家に帰るために1人で歩く若山に、三船が石中先生に「あの娘を家まで送っていったらどうだ」と言われ追いかけるシーンで終わる。エンディングは、成瀬巳喜男監督が、撮影したシーンをカットしてしまったのか、それとも、製作会社の新東宝がプレスシートに書いただけか。謎だ。石中先生は、シリーズ化され第4作まであることや、宝田明でリメイクされていることを、検索して知った。

2025/01/02

2025/01/04

82点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


劇場鑑賞お初

 劇場での鑑賞は今回が初めてになる。後年、「めし」(1951年)以降の成瀬監督作品にはあまり見られないようなスタイルの作品た。青森県ののどかな田舎町を舞台に様々な男女の人間模様、恋模様をユーモアを交え、ほのぼのしたタッチで描いた。生活感の演出といい、男女の絡みといい、細かい所にも手を抜かない、丁寧な演出。後年の作品にあるような独特のやるせなさもない、後味の良い展開。数少ないオムニバス作品の好篇。

2023/07/05

2023/07/29

70点

選択しない 


青い山脈系

ネタバレ

 三つのエピソードからなるほのぼの系オムニバス映画といったらよいか。当時の石坂洋次郎ブームにあやかった作品と言えそう。なんと言っても第三話に登場する三船敏郎が例の野太い声で「青い山脈」を口ずさむという珍場面を観ることができるのだ。
 ここではその「山脈」のヒロインのひとりでもあった若山セツ子との何とも微笑ましい恋模様が描かれている。
 三話それぞれに顔を出す小説家の石中先生(宮田重雄)が庶民たちの間に入って調整役のような役割を果たすというもの。三話に共通するのは男女の恋。それをベースにした他愛のないエピソードの連続に何だか癒された。このころのドラマはなんとも純真というか汚れていないというか、ササクレだったストーリーばかりが目立つ今の視点で見返すと自分には古臭いというよりむしろ新鮮に感じられる。
 一話めはりんご園に埋められたドラム缶発掘という話が軸になっていてそこに若い男女の恋をインサートしているのだけどそれほど面白くはない。まあ序曲のようなものだろうか。
 次の第二話が本作のキモだろうか。尺も長いような気がするし、親のケンカに子が口出しをする・・・という逆転話もおもしろい。田舎にやってきたお色気レビュー劇団がキーとなっていて、いい大人たちがそれに舞い上がってしまうようすが平和である。それに苦言を呈する若者たち・・・。いい時代だ。
 釜足と是好の掛け合いも絶妙なら、それぞれのこどもである池部良と杉葉子(山脈カップル)の関係もいい感じだった。
 そして3話めの三船敏郎。彼にはこういう役柄をもっと演じてほしかった。武張ってばかりのいつものイメージとはまた違う魅力を感じた。

2021/12/31

2021/12/31

76点

VOD/YouTube 


令和3年度最後のレビュー

 庶民的な女性映画の名手である成瀬監督の作品である。よく知られている監督らしい作風が確立する少し前の作品なのだろう、とてもほのぼのとした作風であり、お金絡みのシビアな要素もない。のどかな東北の村を舞台にした、一本30分程度のエピソード全3話で構成されたオムニバス形式の作品である。いわき村という地名が出てくるところから(3話)、岩手県であろうか。
 石中先生と村の人たちとの交流を淡々と、まるで日記をつけているようなタッチで描いているが、全エピソードに共通して若い男女が登場しており、彼等の恋愛模様が作中もっとも描きたかった重要なテーマなのであろう。石中先生は若者たちのもとにやって来てはその恋路を温かく見守り、時に助言をする。
 私が特に気に入っているのは2話で、ストリップを見に行ったおじさん二人が、一体どちらが先に誘いをかけたのかで喧嘩をし始め、それに割って入った各々の子どもたち(池部良・杉葉子)までもがもめ始める、というお話。お杉さん、やっぱ可愛い。お芋をほおばりながら「スケベ爺」と口にする辺りが何ともキュートである。
 本当は神保町シアターで観るつもりだった本作、コロナのためにそれが実現しなかったので、仕方なしに自宅で鑑賞。これを令和3年度の私の最後のレビューとさせていただく。皆さま良い年を―。

2021/10/06

2021/10/07

75点

選択しない 


岩木山麓を舞台とする叙情的な作品

東宝争議やらなにやらに巻き込まれて、少し間が空いてしまった1950年の作品で、石坂洋次郎の自伝的ユーモア小説を原作としたオムニバス作品です。この小説は何度か映画化されているようで、いい題材なのでしょう。この映画には三つのお話が含まれていました。そしてどれも、ほのぼのとしたラブストーリーでした。ヒロインはそれぞれ、木匠久美子、杉葉子、若山セツコで、対するは堀雄二、池部良、三船敏郎という組み合わせ。それを藤原釜足や飯田蝶子などなど、しっかりした脇役陣が固めていました。

どれも、ほのぼのした楽しいお話で、のんびりした岩木山麓で展開していきます。そのお祭りなども含めた津軽地方の映像も、美しくとらえられていますので、それだけでも見る価値があると思います。この時代の成瀬巳喜男監督の作品は、こういった叙情的な田舎のほのぼのした作品が連続していきますが、きっと監督にとってそういう時期なのでしょう。戦前のトーキー初期の一連の作品とはちょっと違いますが、この美しい作品は、映像といい、雰囲気といい立派なものだと思いました。

三つの物語はそれぞれ違ったシチュエーションで、甲乙つけがたいのですが、最後の若山セツコのどこまでも明るい笑い声と、青い山脈が印象的でした。青い山脈は前年の今井正監督の作品。当時とても流行ったことを窺わせるシーンです。狂言回し的という表現がいいかどうかわかりませんが、ポイントとなって物語を導いていく石中先生役の宮田重雄は、俳優としては素人で、学者であり画家。クイズの長寿番組で人気者だったということです。その学者然とした雰囲気が、この石坂洋次郎がモデルの小説家という役柄にマッチしていて好感が持てました。あまり葛藤のようなものはなく、サラサラと美しい作品でした。