ラピュタ阿佐ヶ谷の「昭和の銀幕に輝くヒロイン[111弾]若山セツ子」の最初の1本。ほのぼのとした佳作。「第1話:隠退藏物資の卷」「第2話:仲たがいの卷」「第3話:千草ぐるまの卷」という原作者石坂洋次郎と思われるような石中先生が脇となって進行する連作オムニバス。1話は、堀雄二の手引きで渡辺篤が、石中先生(宮田重藏)と一緒に日本軍がリンゴ農園の前の空き地に埋めたというガソリンを掘るのだが、実は堀の目的はリンゴ農園の娘(木匠久美子)だったという話。2話は、古本屋の店主の藤原釜足が、当時のストリップレビュー(劇中では裸踊り)を中村是好と観に行き、それを知った娘の杉葉子が父親を懲らしめるために、中村の息子であり恋仲の池部良と一緒に劇場の前で親を待ち伏せして大事になるが、結局杉と池部がお互い好きだということを再確認することになるという話。3話は一番の傑作。若山セツ子は、弘前の病院に入院している姉(中北千枝子)の見舞いに行き、そこで「今日・明日に貴女の将来を左右する人に逢う」と占い好きの入院患者(田中春男)に言われる。そして、帰り道で、間違って三船敏郎の藁を運ぶ馬車に乗り、三船の母親の飯田蝶子に「今日はもう遅いから家に泊まっていけ、明日送っていくから」と言われ、その晩村の盆踊りに参加して、急速に2人は接近するという話。石中先生は、翌朝家に泊まったことを駐在所(警官)に証明書を発行してもらい若山の家に渡すという場面で、警官と一緒に登場。三船は最初のシーンでは、髭ずらで登場し夜に風呂で髭を剃ってさっぱりした顔に。唖のように喋らない男が、若山と接近するにつれて喋り・笑うところがいい。石中先生役の宮田重藏と言う役者は、観た記憶がなく、初めて認識した。「あらすじ」には、「かくして三組の婚礼式が石中先生の媒しゃくによって厳かにあげられた。」とあるが、そんなシーンはない。映画は家に帰るために1人で歩く若山に、三船が石中先生に「あの娘を家まで送っていったらどうだ」と言われ追いかけるシーンで終わる。エンディングは、成瀬巳喜男監督が、撮影したシーンをカットしてしまったのか、それとも、製作会社の新東宝がプレスシートに書いただけか。謎だ。石中先生は、シリーズ化され第4作まであることや、宝田明でリメイクされていることを、検索して知った。