飛びっちょ勘太郎

とびっちょかんたろう|The Adventures of Kantaro|----

飛びっちょ勘太郎

レビューの数

8

平均評点

63.0(11人)

観たひと

17

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇 / コメディ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/10/18
上映時間 105分
製作会社 宝塚
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督久松静児 
脚色高岩肇 
原作長谷川伸 
製作滝村和男 
撮影杉本正二郎 
美術鳥居塚誠一 
音楽松井八郎 
録音中川浩一 
照明下村一夫 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演森繁久彌 素っ飛び勘太郎
淡路恵子 見返りお柳
藤山寛美 やらずの留吉
峯京子 雪乃
峯京子 お鶴
丹波哲郎 大塚雄之進
曽我廼家明蝶 かんのん忠次
立原博 陳場の安造
石田茂樹 笠松の権次
曽我廼家五郎八 大和田の半助
春川ますみ 女郎屋の用心棒
山茶花究 俵藤一角
二木てるみ 巡礼お光
頭師孝雄 馬子亀吉
早川恭二 山田助八

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

長谷川伸の股旅小説「勘パの勘ちゃん」の映画化で、「血斗水滸伝 怒涛の対決」の高岩肇が脚色、「愛の鐘」の久松静児が監督した時代喜劇。撮影は「カックン超特急」の杉本正二郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

双林寺拳法の使い手で旅がらす渡世の勘太郎は、もと足軽で、同じ足軽仲間の一人の娘雪乃と二世をちぎった仲だった。が横恋慕していたお納戸役人大塚雄之進の手にかかって雪乃は死んだ。仇討を誓って旅がらすとなった勘太郎は、行く先々で女をいじめる男をこらしめ、雄之進をさがして歩いた。そんな彼の道中を追う男に、彼を兄貴の仇とねらう笠松の権次と、これも兄の仇討の機会をうかがう米倉甚三郎があった。ある宿場で旅姿の女お柳を助けたことから、勘太郎は彼女に惚れられ、道中をつきまとわれる身となった。お柳のあとからは、彼女にぞっこん参っている大阪の目明し留吉がついてきた。通りかかった街道筋で、勘太郎は今は亡い雪乃にそっくりの娘お鶴を救った。没落した呉服屋の父を養うため、かんのんの忠次に借りた金のことから、彼女は乾分にひきたてられていくところだったのだ。留吉から十手を借りた勘太郎は忠次の家におしかけ、借金を棒引きにしたうえに、見舞金十両をとりあげてやった。やがて季節が流れて。悪童にいじめられる巡礼の女の子お光を助けたりしながら、勘太郎は間々田の町にやってきた。お柳と留吉は相かわらず彼のあとをつけている。渡し場で勘太郎は、大塚雄之進が間々田の仁八の用心棒になっているのを聞いた。祭でにぎわう町で、勘太郎はやつれ果てたお鶴にあった。あれからすぐ、また忠次にいためつけられたが、ある旅の武士に助けられ、いっしょにここにきているという。白蛇の滝で勘太郎は、権次一味、米倉、安造の一味と雄之進にであった。彼は雄之進を港においつめた。その時お鶴が彼の刀の前にとび出してきた。旅の武士とは雄之進のことだったのだ。改心した雄之進とお鶴そして結ばれたお柳と留吉の二組をあとに、巡礼お光をつれた勘太郎は、また旅に出た。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年12月下旬号

日本映画批評:飛びっちょ勘太郎

1959年10月下旬号

日本映画紹介:飛びっちょ勘太郎

2020/12/15

2021/01/06

65点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


これは推測ですが、森繁久弥は久松静児がいちばんお好みの監督だったのではないか。かつて石原慎太郎が森繁に「いちばんお好きな監督ってどなたですか?」と質問したとき、豊田四郎とかマキノ雅弘を挙げるかと一瞬次の言葉を待ったが、彼は沈黙した。この質問は直球過ぎて答えるのが難しかったのかもしれない。で、今にして思うと「久松さんですかねぇ」と答えそうな気がしている。
久松静児監督作品には18本ほど出演している。特定の監督への出演本数で一番多かったのではないか。そればかりではない。森繁が自らプロダクションを起こしてまで映画化に漕ぎつけた「地の涯に生きるもの」は久松静児が監督している。
久松静児監督の作品では、森繁の出る「警察日記」が一番脂の乗り切った演出だったと思う。何度も観たくなる作品のひとつである。

峰京子が二役を演じていて、森繁と丹波哲郎が、そのどちらの女をも好きになる三角(四角?) 関係の愛憎劇は長谷川伸原作の味わいか。
峰京子の二役が物語の展開に深い意味を含んでいるのである。死んでしまった女と瓜二つの女を求める話は新藤兼人の「銀心中」や岩井俊二の「ラブレター」の核になる話で、ときどき映画で扱われるエピソードである。人間の想いとして、けっこう普遍的なのかもしれない。少なくとも「好みのタイプ」というのがある(男だけの話ではない)。

藤山寛美が生き生きとしていて面白かった。ブレイク直前の頃だと思う。

2007/06/03

2021/01/04

60点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


若いころの森繁はいかがわしさがある

森繁久彌と藤山寛美のやりとりが楽しい。
また喜劇であるから斬りあいにならない。血生臭いものを避けようという意思を感じる。

2020/12/15

2020/12/15

65点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


マルチ役者森繁久弥

森繁のワンマンショーのようなもの。喜劇俳優として、シリアスな俳優として、歌手として何でもこなす森繁。
長谷川伸の原作なんだけど、湿っぽいところは通り越して、森繁があくまでもかっこよく二枚目を演じている。
女がいじめられていると必ず助けに入るが、それで失敗することも多々ある。スリを助けてすられたり、助けた女が狂女だったり、逆に男と思っていたら女だったりといろいろ。
淡路恵子、横山道代、島倉千代子と立て続けに女優が出てくるので、みんな色で絡んでくるのかと思いきや、最後まで絡むのは淡路恵子。横山と島倉はワンポイントの狂言回し。
丹波哲郎が悪役で登場。武士の風上にも置けない卑怯な奴。藤山寛美が森繁と息の合ったところを見せる。

2019/11/08

2019/11/08

60点

映画館/兵庫県/シネピピア 


松竹新喜劇総出演

森繁久彌、藤山寛美、淡路恵子の珍道中、時代劇。若き日の島倉千代子も出演、毎回ゆくもこんなに集めたもんだ、と感嘆する豪華俳優陣❗

2013/09/05

2014/07/04

65点

映画館/東京都/新文芸坐 


森繁が活き活き

ネタバレ

新文芸坐での長谷川伸特集で上映された「飛びっちょ勘太郎」は、以前ラピュタ阿佐ヶ谷の宝塚映画特集でも上映されたことがあり、その時には観逃していた久松静児監督、森繁主演の股旅時代劇で、観たところ知らない原作を基にしたお話のようで、恐らく短い原作を相当膨らませて股旅ものに仕立てたのだろうと推察しますが、刀は抜かず空手のような拳法で敵に立ち向かうというユニークな設定の森繁が、結婚式間近の許嫁・峯京子を、横恋慕した役人・丹波哲郎に殺されたことから、その丹波に復讐しようと旅を続けていたところ、森繁が武者修行中に死なせてしまった相手たちの親族が、次々と森繁のことを仇だとして追い掛けてくるのを、誤魔化し誤魔化ししながら逃げ延びつつ、旅先で女スリ・淡路恵子と知り合って、何かと彼女を助けてあげた(太った男がしつこく淡路に絡んでいたところを、森繁が軽快な動きで太った男を翻弄し、街道沿いの店先に太った男を河豚のように吊るしてしまうアクションなど、森繁の動きが見事です)ことから彼女に惚れられる一方、そんな淡路のことを惚れている上方の目明し・藤山寛美と知り合った森繁が仲良くなり、また別の宿場では、元許婚と瓜二つの村娘・峯京子のことを、借金のカタに籠絡しようとする曽我廼家明蝶から守り、さらにまた別の宿場では、森繁のことを慕って寄ってくる狂女・横山道代から、苦労しながら逃げおおせ、といった具合に、多彩な人物が次々と絡んでくる展開が面白い映画です。「警察日記」以来気心が通じた久松と組んで、森繁が活き活き、かつ伸び伸びと芝居を楽しんでおり、久松といえば勿論、二木てるみも可憐な姿で登場して場面をさらっています。

2013/09/05

2013/09/06

-点

映画館/東京都/新文芸坐 


長谷川伸原作なので他の監督が演出したらもうちょっと間延びしないで面白くなったかもしれないとは思ったけど、それでも主演の森繁と松竹新喜劇の寛美さんの個人芸のぶつけ合いはやっぱり面白い。少林寺拳法の使い手という設定で登場する旅人やくざ役の森繁のリズミカルで流れるようなアクションシーンはやっぱり上手いなと感じる。