お早よう

おはよう|----|----

お早よう

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レビューの数

61

平均評点

75.6(291人)

観たひと

445

観たいひと

28

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ / ドラマ
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/5/12
上映時間 94分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督小津安二郎 
脚本野田高梧 
小津安二郎 
製作山内静夫 
撮影厚田雄春 
美術浜田辰雄 
音楽黛敏郎 
録音妹尾芳三郎 
照明青松明 
編集浜村義康 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演笠智衆 林啓太郎
三宅邦子 林民子
設楽幸嗣 林実
島津雅彦 林勇
久我美子 有田節子
三好栄子 原田みつ江
田中春男 原田辰造
杉村春子 原田きく江
白田肇 原田幸造
竹田浩一 大久保善之助
高橋とよ 大久保しげ
藤木満寿夫 大久保善一
東野英治郎 富沢汎
長岡輝子 富沢とよ子
大泉滉 丸山明
泉京子 丸山みどり
佐田啓二 福井平一郎
沢村貞子 福井加代子
須賀不二夫 伊藤先生
殿山泰司 押売りの男
佐竹明夫 防犯ベルの男
桜むつ子 おでん屋の女房
菅原通済 客・通さん

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「彼岸花」につづいて野田高梧と小津安二郎が書いた脚本を、小津安二郎が監督した、大人と子供の世界を描いた一篇。撮影は「春を待つ人々」の厚田雄春。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

東京の郊外--小住宅の並んでいる一角。組長の原田家は、辰造、きく江の夫婦に中学一年の子・幸造、それにお婆ちゃんのみつ江の四人暮し。原田家の左隣がガス会社に勤務の大久保善之助の家。妻のしげ、中学一年の善一の三人。大久保家の向い林啓太郎の家は妻の民子と、これも中学一年の実、次男の勇、それに民子の妹有田節子の五人暮し。林家の左隣・老サラリーマンの富沢汎は妻とよ子と二人暮し。右隣は界隈で唯一軒テレビをもっている丸山家で、明・みどりの若い夫婦は万事派手好みで近所のヒンシュクを買っている。そして、この小住宅地から少し離れた所に、子供たちが英語を習いに行っている福井平一郎が、その姉で自動車のセールスをしている加代子と住んでいる。林家の民子と加代子は女学校時代の同窓で、自然、平一郎と節子も好意を感じ合っている。このごろ、ここの子どもたちの間では、オデコを指で押すとオナラをするという妙な遊びがはやっているが、大人たちの間も、向う三軒両隣、ざっとこんな調子で、日頃ちいさな紛争はあるが和かにやっている。ところで、ここに奥さん連中が頭を痛める問題が起った。相撲が始まると子供たちが近所のヒンシュクの的・丸山家のテレビにかじりついて勉強をしないのである。民子が子どもの実と勇を叱ると、子供たちは、そんならテレビを買ってくれと云う。啓太郎が、子供の癖に余計なことを言うな、と怒鳴ると子供たちは黙るどころか、「大人だってコンチワ、オハヨウ、イイオテンキデスネ、余計なこと言ってるじゃないか」と反撃に出て正面衝突。ここに子供たちの沈黙戦術が始まった。子供たちは学校で先生に質問されても口を結んで答えないという徹底ぶり。この子供たちのことを邪推して近所の大人たちもまた揉める。オヤツをくれと言えなくて腹を空かした実と勇は原っぱにおヒツを持出して御飯を食べようとしたが巡査に見つかって逃げ出し行方不明となった。間もなく子供たちは駅前でテレビを見ているところを、節子の報せで探しに出た平一郎に見つかった。家へ戻った子供たちは、そこにテレビがおいてあるのを見て躍り上った。停年退職した富沢が電機器具の外交員になった仕事始めに月賦でいいからと持込んだものだった--。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年6月下旬号

日本映画批評:お早よう

1959年6月上旬号

新映画評:お早よう

1959年5月下旬号

日本映画紹介:お早よう

1959年5月上旬号

新作グラビア:お早よう

2024/02/21

2024/02/22

85点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


何度見ても面白い

久しぶりに鑑賞 うん、何度見ても面白い。
杉村春子のイヤな感じの奥さん、最高です

2024/01/09

2024/01/09

70点

選択しない 


戦後の日本が復興していく頃の日常、林家の兄弟が面白い(^^;;

テレビ、洗濯機、冷蔵庫の3種の電化製品が普及する直前くらいの頃はこんな感じだったのか。隣の家との距離が近く、近所付き合いも煩わしい、だからこそ天気や挨拶が大事なんだなぁ、ということを、兄弟が喋らなくなるという反抗運動を通してユーモラスに描きます(^^;;

会費を渡した渡さないで一悶着あったり、シビアな目線もあるのが小津節でしょうか(^^;;

2023/12/22

2023/12/22

70点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


タンマによって解除されるもの

八丁畷の駅が見えている.多摩川のほとりなのだろうか.堤防のすぐ下には平屋で戸建ての集合住宅が見えている.家庭用のテレビで相撲中継が見られている.住宅は小箱のようで,テレビという小箱の中には小結やらの関取が動いている.住宅の隣や奥には同じサイズの住宅があり,どの家が誰の家なのか,どちらが裏で表なのか,表の玄関なのか裏口なのか,見ている者にも混乱が生じ,あるいは見られている人物も,例えば,富沢さん(東野英治郎)なども酩酊して,自らの帰るべき家を間違えてしまうほど,錯雑としている.かといって勇ちゃん(島津雅彦)が 「ラジオじゃ見えないよ」というのも然りで,聞くだけでなく,見ようとする欲望が画面にみなぎろうとしている.
「一億総白痴化」という言葉が踊り出す.婦人会の会費をめぐって,5名ほどの婦人らの不穏な争いが始まっている.原田きく江(杉村春子),その母で産婆のみつ江(三好栄子),大久保しげ(高橋とよ),富沢とよ子(長岡輝子), インテリとも噂される林民子(三宅邦子)らがそれぞれの邪推と牽制を始める.会計が集金し,組長へと届けられたとされる会費の行方を追って,「犯人は誰?」というサスペンスが仕組まれている.その光景は真相や悪者を見たがる観客の欲望の反映として映されている.
一方で,いくつもの「駄目」や禁止が大人たちによって,この一帯に張り巡らされる.子らはそれらを掻い潜って,テレビを観に集まり,「タンマ」によって制限を解除し,頭を小突かれれることでオナラをひり出す.この監獄的な規格の住居にある明(大泉滉) とみどり(泉京子)はテレビを所有しており,いくらか若い.そして,この何かを監禁しようとする魔圏からの脱出を試みている.
しかし,その外側にも高層の団地が築かれている. 英語を教えている福井(佐田啓二)とその姉(沢村貞子)がそこに住み,まだ主婦でもなく,少女でもない林家の節子(久我美子)はこの二つの地帯を往還している.外部からは,押売りの男(殿山泰司)が地帯に侵入を果たし,鉛筆,ゴム紐,歯ブラシ,亀の子たわしなどを売りつけようとするが,みつ江が出刃包丁を持って彼を撃退をする.他にも防犯ベルの男(佐竹明夫)も潜り込むが上手に売り抜けるというわけにもいかない.そうでなくても洗濯機だけでなく,ナショナルのテレビやフラフープの文物は集まってくる.サンマの干物と豚汁は美味しくともいつまでもそうした質素が続くわけもない.
教室に現れた伊藤先生(須賀不二夫)はどこか不気味で,悪魔的であり,教室や学校に新たな魔所を築こうとしているかにも見える.信心深いのか,お経をあげ,堤防で手を合わせるみつ江は,この魔圏の結界を強固にしようとしているのか,解除しようとしているのか定かではない.祭壇の前に座っている後ろ姿が映し出される.キャメラが彼女の正面に回ると彼女は独り言を言っている.彼女もまた何かから逃れようとしているのかもしれない.言葉を失った兄弟は,ジェスチャーゲームをしており,無駄な事も大事な事も無効にされようとする無音の世界に生き延びようとしている.
福井は唐突に,軽石の害毒によって死んだアシカの話をする.珍々軒の界隈もまた不思議で不穏な空気が漂っている.
土手を走ってかけ上がる,その先にも「いいお天気」が広がっている.上空の広がりは,地上の閉塞を余計に感じさせる.ただその大気と大地を媒介するようにして干してあるパンツがひらめいている.

2005/07/09

2023/12/11

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


子供社会&大人の嫌な社会&モダン住宅

一億総白痴化(MSのIMEは白痴を変換できないぞ。日本語をなめてるのか?)などと言われていたり、
テレビが家に無くてテレビのある家に行って見せてもらったりしていた時代に、
「テレビ買って!」と子供がゴネるというのが、
オナラをネタにするのと共にいかにも子供らしい可愛らしさにあふれている。

それに、周りに家の少ない東京の郊外の堤防の開けた風景と、
その近くにある同じ形の平屋の家が整然と並ぶモダンな人工的なイメージ(まるで、ジャック・タチの映画みたい)との対比が素晴らしい。

しかし、そんなほのぼのムードが全体を覆っている映画の裏では、
「おはよう。こんにちは。いいお天気ですね。」みたいに、
意味は全然無いが人と人との間の潤滑油になるようなコミュニケーションや、
それとは似て非なる奥様方の井戸端会議で繰り広げられるような、
根拠の無い憶測+妬みによるお互いの蹴落とし合いなどの、
大人に向けた深いメッセージが込められている。

特に後者は、
人間関係を悪くしたり他人を傷つけたりという深刻な問題が、
国家の指導者のような表立った人によってあからさまに行なわれるとは限らず、
むしろ社会の片隅での何気ない会話の中で無自覚に行なわれることが余計始末に悪い。

テレビやガセだらけの噂話などの間接的な情報が蔓延する中で世の中をどう見るか、
それを踏まえて他人とどういうコミュニケーションをとるかということは、
テレビの登場する以前からあった、
そして今でも相変わらず世の中に横たわる大きな問題であることを、
小津らしいさりげない姿勢でしっかりと描いている。

(以上、2005年の鑑賞時に書いた感想に、若干の手直しをした文章)

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【あらすじ】

 同じ形の平屋の建売住宅が並ぶ住宅地の一角。
 三宅邦子が集めて組長の杉村春子に渡した婦人会の会費が無くなったことで、杉村の家が買った洗濯機に使われたのではないかと奥様方に疑われた。
 子供たちの間では、おでこを押されたらオナラをするのが流行ってたが、三宅と笠智衆の夫婦の杉村の息子の実は、杉村の息子の幸造と共にアパートに住む失業中の佐田啓二に英語を教わりに通うはずが、子供たちは近所で唯一テレビのある大泉滉の家に入り浸っていて、そこに現れた杉村にどやされてしぶしぶ佐田の所に行く。
 実と幸造は、実の友人の善一のガス会社に勤めている父が自由自在にオナラを出せて、それは軽石を粉にして食べているからだと言ったのを真に受けていたが、そのせいか幸造はいつも下痢腹で、パンツを汚しては杉村に怒られていた。
 杉村が三宅の家に来て、杉村が会費をくすねたとのあらぬことを三宅が言いふらしていると文句を言ったが、会費は三宅が杉村の母で助産婦の三好栄子に渡して三好が持ったままだということが判って和解する。
 実と弟の勇がテレビを買ってくれとごねたことに、笠が男の子はぐずぐず文句を言うんじゃないと怒り、実が「大人だって『おはよう。いい天気ですね。』などと無意味なことばかり言っている。」と反発して、それ以来2人は家はおろか学校でも口をきかなくなり、給食費を親にもらうにもジェスチャーで説明する始末。
 そんな杉村が話しかけても無視したことで、杉村は杉村のことを根に持った三宅が子供たちを使って嫌がらせをしていると言いふらして、奥様方は三宅を白い目で見るようになった。
 相変わらず軽石を食べている実に、佐田はおなかに石が溜まって死んだ動物園のアザラシの話をし、実と勇は軽石を食べるのをやめることにする。
 休日、実と勇が家でおなかをすかせていたところに、実の先生が口をきかなくなったことで家庭訪問に来たので、2人はおひつを持ち出して近所の河川敷でご飯を食べていたところ、警官に目をつけられておひつを置いて逃げ出し、夜になっても帰って来なかったので、佐田や三宅の妹で佐田のアパートに翻訳を頼みに出入りしている久我美子が探し、佐田が2人を見つけて家に連れ帰る。
 すると、笠が一億総白痴化の元と毛嫌いしていたテレビを、定年して電化製品のセールスマンになった近所の東野英治郎から買ったのを見て、2人はご機嫌になってしゃべりだし、近所の奥様方もその豹変振りの原因を詮索する。
 2人と幸造が登校途中にオナラを出し合ったが、幸造は出せずにウンコもらしてしまい、家に戻って学校を休むのだった。

2021/10/11

2021/10/13

72点

その他/図書館DVD 


人間社会の永遠のテーマ

なによりこの作品で印象的だったのは、小さいコミュニティーにおける煩わしさ、ご近所付き合いの面倒さだ。環境は違えど、人間のありようは今も昔も変わらないのだなと感じさせられた。近所の噂がどんどん湾曲されていき、集団で個人を攻撃する様は何とも醜いがこれが人間の本性であり現実であることをみせつけられる。

そして、テーマである挨拶というのも意味がないようでいて、そうでない。もしなければどうなるか、愛想の無い世界になることはこの映画を観ればわかる。
社会は煩わしいものである。しかし、社会がなければ人間社会は成立しない。ここで出てくる子供のように、一人意地はっていても何もできない。そこで生きてくための知恵として身の回りにある一見不要と思われるものが意味を持っている昔からの人間の知恵であることに気付かされる。

個人的には、水戸の黄門様が酒飲んでひっくり返っているシーンがショックで、そればかりが気になってしょうがなかった。

2021/08/21

2021/08/21

79点

その他/録画BSプレミアム 


ユーモラスがずっと続く

 近所の些細な、どうでもいいようなことでのつまらないいざこざを、三宅邦子[民子]、杉村春子[きく江]、長岡輝子[とよ子]、高橋とよ[しげ]らの一癖も二癖もあるベテランの役者がやりたい放題やっている。

 また、久我美子[節子]、佐田啓二[平一郎]の居るだけで絵になる美男美女も常連で出ている。

 また、笠智衆[敬太郎]、田中春男[辰造]、東野英治郎[汎]ら男達の飲みっぷりもいつものように気持ちが良さそうだ。

 そして、メインは、設楽幸嗣[実]と島津雅彦[勇]の兄弟の、この時代ならでは親へのテレビねだりや、反抗がユーモラスに続いて行く。

 小津安二郎には珍しく、全編がコメディタッチ。

 何回目かの鑑賞で、先が見え過ぎているけれども、それなりに面白い。