日本が誇る黒澤明監督の代表作中の代表作。
私の映画レビューは基本長文でありますが、本作について語ることは結構難しい。一言で言うなら、こんな映画作れる映画監督さんは黒澤さんぐらいなもんだと思うからです。
207分の長編ですが、尺の長さは微塵も感じません。野武士から農村を守るために、用心棒となる浪人侍を農民たちが探し始めることから話は始まります。
一番最初に見つけたのが、志村喬さん扮する勘兵衛である。彼が後に仲間となる者たちのリーダーとなる。序盤は仲間集めを中心に話が進みます。
農民たちが差し出す米や、若い女欲しさと言うより、弱い者たちが不憫に感じて勘兵衛は立ち上がった。これて昔の日本人気質にすごく合ってると思います。都合七人の仲間が集まるわけだが、その他の者は勘兵衛の人柄に惚れて話に乗るわけであります。
その中で異彩を放つ者がいて、三船敏郎さん扮する菊千代は豪放磊落。気は荒っぽいが明るくて根が優しいキャラでありました。
野武士の襲撃から農村を守るという話の構成からして、暗い気持ちになってもおかしくないのですがエンターテイメント化に成功したのは三船敏郎さんの演出が大きかったと思います。彼の明るさが本作の雰囲気を明るくしたのだと思います。
クライマックスの戦いを控えた中盤も悪くない。野武士が攻めてきた時の防御策を練ったり、侍と農民の娘のラブストーリーや、唸るほどの数のエキストラたちの訓練の様子など、最後の布石をしっかり築いてます。
最後の決戦は、黒澤得意の雨降らし。
敵の動きに合わせて七人の侍と多数のエキストラで構成された農民たちが東西南北に走りまくります。
その迫力には目が離せませんでした。
今回が3度目の本作鑑賞で、前回より楽しく観れました。初めて観た学生時代は退屈したのですが、色んな映画を観たことで本作の凄味を感じとれるようになったのかな?
本当に良い作品と思いました。
勘兵衛のセリフ、「今回も負け戦だったな。勝ったのはあの百姓たちだ。」は締め括りとしてピッタリ。
それにしても1954年制作とは驚き!
そりゃ、世界の映画界でクロサワの名が馳せたわけです。