炎と掟

ほのおとおきて|Flame and the Code|----

炎と掟

レビューの数

2

平均評点

59.7(9人)

観たひと

15

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1966
公開年月日 1966/3/5
上映時間 90分
製作会社 松竹
配給 松竹
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督井上梅次 
脚本井上梅次 
立花明 
製作升本喜年 
撮影川又昂 
美術宇野耕司 
音楽広瀬健次郎 
録音熊谷正雄 
照明三浦礼 
編集大沢しづ 
スチール佐々木千栄治 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演安藤昇 南条伸
高千穂ひづる 安達小夜子
中村晃子 権田ゆかり
柳沢真一 松山常吉
月丘千秋 岡村くみ
河野秋武 権田貞光
菅原謙二 庄司仙太郎
安部徹 立花造
明智十三郎 宝積高之
巽千太郎 有馬一郎
菅原文太 大津
川辺健三 若島
江夏志郎 サブ
大木剛 梶山
諸角啓二郎 黒部
高宮敬二 野村
川島照満 清水
滝佐太郎 三村
春日章良 
仲子大介 ケン
国分秋恵 田中
川村禾門 佐伯
吉田義夫 久作

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「赤い鷹」の井上梅次と立花明が共同でシナリオを執筆、井上梅次が自ら監督した“掟”シリーズ第四作目。撮影は「素敵な今晩わ」の川又昂。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

繁華街の駅をはさんで、二組のやくざが対立していた。南口の権田組は観光センターを建設中であり、北口の庄司はエス・エス興業という名のもとに拳闘クラブ、ナイトクラブ等を資金源とする新興やくざ。ある夜、権田観光センターの建設工事現場が何者かによって爆破された。権田をはじめとする、権田組の組員大津や若島らは、これを庄司の仕業とにらみ、殴り込みをかけようといきりたった。が、そこへ権田組でも兄貴株の南条が止めに入った。そしてことの荒立つのを恐れた南条は単身エスエス拳闘ジムへ乗りこむと、庄司の子分野村をしめあげ、爆破が彼の仕業であることを確かめると、その足で庄司の経営するクラブ“白夜”へ出かけた。“白夜”では庄司が、名門の資産家と自称する生活無能力者の宝積にへつらい、娯楽センター建設に一枚かませようとしていた。その前で、南条は野村からとった証文をたてに、庄司につめよった。だが、これを予期していたかのような庄司の好計にかかり、南条は宝積を人質に命からがら“白夜”を脱出した。宝積の邸へ着いた南条は、そこで、宝積の妻小夜子に逢った。意外にも小夜子は、南条の初恋の人であった。心の動揺を押しかくして、南条は逃げるように宝積の邸を去った。が、一方権田の娘ゆかりは、そんな南条に激しい恋情をよせていた。それから数日、権田組に弱味をにぎられた庄司は、仕方なくことの仲裁を関東卍組組長立花に頼んだ。立花は、南条を旅立たせることを条件に、庄司に工事の邪魔をさせない事を誓わせた。南条はことのおさまることを喜び、自ら権田組を出た。それから一年余、賭場から賭場を渡り歩いていた南条は東京に舞いもどった。彼が留守の間に事故死した親分権田の初七日に参列するためにやって来たのだ。が、帰って権田が死んだ情況を探っていく内、南条は、権田は事故死ではなく、庄司に殺されたことを知った。四十九日の権田の法要の日、南条は、庄司や庄司の後で暗躍する立花らと対決した。そして手練の拳銃で二人を倒した南条は、今は金のために結婚した宝積と別れ、新しい恋人有馬と新生活を欧州で送るのを夢見る小夜子の幸福を祈りつつ、かけつけた警官に連れられていくのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1966年3月下旬号

日本映画紹介:炎と掟

2015/04/11

2015/04/12

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


東映カラーの松竹作品

#0382 シネマヴェーラ渋谷「炎と掟」。「掟」シリーズ4作目となる1966年製作の井上梅次監督作品。崖下の長屋で飴屋の息子として生まれ崖上の屋敷に住む令嬢への思慕からヤクザに身を落とした男を出所後二年目の安藤昇が演じる。菅原文太の出演など松竹らしからぬ東映カラーに彩られた作品。

2012/10/06

2014/07/11

50点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


回り燈籠

ネタバレ

1966年、松竹大船撮影所製作「炎と掟」(脚本は梅次と立花明のオリジナル)は、安藤昇主演のヤクザ映画で、ある町の南北に分かれて河野秋武の組と菅原謙二の組が対立している中、河野の組幹部である安藤が、親分を殺された復讐を果たすという、ありふれた筋立ての映画ですが、安藤が少年時代から想いを寄せ続けている“崖の上の家のお嬢様”高千穂ひづるへの思慕を物語の中心に据えている点がユニークで、安藤が住むアパートの向かいの男が弾き語りするメランコリックなラヴソングが安藤の記憶を呼び覚ますあたりが梅次らしいところですし、回り燈籠が小道具として活用されている点も工夫が効いています。
ヤクザ映画としての作りの面では、河野秋武の組の幹部で安藤昇とは兄弟分に当たる菅原文太が密かに敵方・菅原謙二と繋がる一方、河野とは兄弟分の安部徹が、表明上は河野の味方と言いながら実は河野の縄張りを狙っており、そんな関係の中で安藤昇は微妙な立場を強いられるあたり、いくつかの輻輳したしがらみを劇構造の中に盛り込むのを得意とする梅次の特徴が出ていますし、結局最後には三つ巴の勢力が一堂に会して拳銃で殺し合いを演じるあたり、梅次らしい決着の付け方でした。
まあ普通の出来のヤクザ映画ではありますが、つまらなくはありません。