第二作目の「広島死闘篇」が番外編という感じで、この三作目が実質的に一作目の続編である。
山守(金子信雄)VS打本(加藤武)の抗争を描くもので、両方のバックに広島に勢力を張ろうとする大きな組織がついている。題名とおりの代理戦争という格好だ。
主役は一応、菅原文太なのだが、真の主役は加藤武だ。彼の演技は映画賞をもらっても良いくらい。なんで親分になの?というくらい、気が小さくて、腰抜けぶりを発揮して、山守にコケにされて泣かされるというくらい。加藤武自身が自分に一番近い役柄だったというくらい乗って演じたという。
金子信雄を自ら売り込んで山守の役を得たくらいなので、このふたりのおもしろさが本作を支えたといっても良いくらい。
そしてこのシリーズは焼け跡から這い上がって暴力に満ちた生活を送るやくざを通して、反戦映画という側面がこの三作目で良く出ているものだと思う。
渡瀬恒彦の若いやくざが抗争の果てに惨めに死ぬラストに「戦いがはじまるときに、まず失われるのが若者の命である。そしてそれが報われることがない」というナレーションがある。「報われることがない」、これが強烈なフレーズだ。
よくお国を守るために死んでいった者たちと言って美化する連中がいるが、かれらがそれで報われるのかと言えば、そんなことはない。ひとつしかない命が失われたのだ。靖国に祀られたそれで良いとでも思うのか。お国を守るためもなにも、その代償に失われた命は報われない。また命が合っても、障害者になってしまっては、それもお国を守ったからと納得できることなのか。
ほんとにこのフレーズは強烈だった。そして広島原爆ドームにまだまだ抗争は続く、と被さるのだが、暴力が絶えることのない人間の性を感じさせた。まあ東映としてはまだまだ映画は作るよ、という意思表示になったのだろうけれど。