何度か観る機会がありながら逸していた「すいばれ一家」を、ようやく新文芸坐でのソクブン追悼特集で観ることができました。“くだらない”の一語が褒め言葉として機能する安定のソクブン節。
ドサ回りのストリップ一座の座長という役柄のルーキー新一がヤクザに奪われた200万円が、その後どうなったのかはっきりしないなど、話の筋が通っているのかどうか怪しい面はあるものの、そんな野暮なことを考える間も与えずに、次々と推移してゆくお話に乗せてゆくテンポの良さはあり、1本まるまるを委ねる貫録は今イチだけに、終盤は文太の応援を受けてアクションに臨む山城新伍ではありますが、福井のテキ屋親分・有島一郎の孫娘・遠藤かほると、彼女を置いて家を出て、ルーキー新一の一座で賄い婦をしていた時美沙との再会が、時の病死した床だったというあたりの浪花節展開や、ヤクザの道に憧れて山城に弟子入りした(部屋には尊敬する高倉健の「死んで貰います」のポスターを貼っています)挙げ句、死んでゆく潮健児のくだりなど、泣かせどころも用意するあたりが、ソクブンらしい作劇でした。