その人は女教師

そのひとはおんなきょうし|Forbidden Affair|----

その人は女教師

レビューの数

4

平均評点

60.5(20人)

観たひと

30

観たいひと

0

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1970
公開年月日 1970/8/29
上映時間 93分
製作会社 東京
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督出目昌伸 
脚本宮内婦貴子 
製作田中収 
撮影黒田徳三 
美術小島基司 
音楽池野成 
録音神蔵昇 
照明榊原康介 
編集広瀬千鶴 
助監督瀬川淑 
スチール石月美徳 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演岩下志麻 速水マキ
北城真記子 速水輝子
三船史郎 竹内亮
神田隆 竹内修造
一の宮あつ子 竹内千加子
青野平義 校長
戸浦六宏 出口弘
中北千枝子 沢村女教師
清水元 署長
中沢治夫 戸畑順
本橋敏和 福田春男
水谷豊 田口登
加藤善己 鈴木康博

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

三船敏郎の実子三船史郎のデビュー第一作。脚本は「終りなき生命を」の宮内婦貴子、監督は「俺たちの荒野」の出目昌伸、撮影は「栄光への反逆」の黒田徳三がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

竹内亮と速水マキの出合いは、新宿デモの敗走と流血の中から生まれた。虚しい抵抗のあと、刑事に追われて逃げまどう亮は、通りすがりの女マキにすがりついた。マキは間近にせまる追跡者の足音を知ると、とっさに亮を抱いて恋人のように唇を重ね、その場の亮を救った。その日以来、亮にはマキの面影が忘れられぬものとなった。しかし、二人の再会は意外に早く出現した。亮の通う青北高校に赴任した女教師がマキだった。だが、マキは亮を無視し、公式通りの授業を続けていった。学生運動に熱中する亮は学園ストの際に、市の有力者である父親の修造が、機動隊導入の立役者であったことを知り深い傷をうけるが、かつて全共闘の闘士であったというマキが、その傷口をいやしてくれるものと、秘かな期待を抱いていた。マキは、年上の女教師にひたむきな青春を賭ける亮をさとすが、体ごとぶつけるような激しさでマキを求める情熱の前に屈し、美しい湖畔の山荘で二人は結ばれる。マキと亮の噂は急速に広がり、それをしった修造は怒り狂い、校長と共に、二人を引きさく策略をたてた。夏休みを利用してマキが帰郷している間、父親に軟禁された亮は、必死でマキの家を訪れたが、あえぬまま姿を消した。亮の家出をマキと結びつけた修造は、マキを“未成年者略取誘拐”として告訴した。新聞をみたマキは、亮とあうためにあの山荘を訪れ、互いに生命を確め合うように激しく抱き合った。しかし町にもどったマキは逮捕され、亮は警察で二人の純粋な愛情を説いたが、父親はマキへの告訴を取り下げなかった。もはや亮に出来る唯一の道は、死をもって抗議することだけだった。やがて釈放されたマキの頬には涙が流れていた。辞表を出したマキは、亮の葬儀に出席し、親族の火を吹くような憎悪の目の中を焼香台に向うが、冷たく焼香を断わる大人たちに対してマキをかばうのは亮と同じ若者たちだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1970年10月上旬秋の特別号

今号の問題作 2:「その人は女教師」

日本映画紹介:その人は女教師

2024/02/11

2024/05/06

60点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


禁じられた恋

1969年10月21日、国際反戦デーの新宿騒乱の夜に出会った二人――女教師と教え子の翌70年夏の別れまで、その〈禁じられた恋〉の姿を描く。

女教師を演じるのは岩下志麻。元全学連闘士で、日和った恋人(岸田森)に絶望し、みずからも闘争から離れたという設定はありがちで陳腐だが、70年代のメイク(細い眉)やファッション(ミニスカートやパンタロン)が懐かしい。

教え子を演じるのは三船史郎で、これがデビュー作。父の三船敏郎の片鱗を一切感じさせないお坊ちゃんは、映画でもお金持ちのボンボン役。雰囲気で闘争に参加しているのだろうけれど、岩下に一目ぼれしてからの一途さは、若さゆえの短慮の行動も含めて好感が持てる。クラスメイトの中には、水谷豊や剛たつひとら、今も活躍している役者の若い姿が見られる。

湖畔の別荘で過ごす二人だけの時間。仲睦まじいシーンは、お約束の悲劇につながっている。ところで、年上の女教師と教え子の禁断の恋という物語をぼくが初めて知ったのは、石井いさみのマンガ『くたばれ!!涙くん』でした。

教え子との恋愛という、その関係のアンモラル性を詰問された岩下志麻の反論が小気味いい。――男性教師と女子学生の恋愛ならば、途中にひと悶着はあっても結婚にまで至る例はいくらでもあるそれが女性教師と男子学生の関係になると、ただただ批判され禁止されるのはおかしい。そこには女性への差別意識がある。

50年後の現在を予言するようなセリフに驚く。

2021/12/05

2021/12/05

70点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


東宝メロドラマ。

ネタバレ

<東宝青春映画の系譜>の上映作品。

岩下志麻が女教師を、三船史郎が彼女と相思相愛の関係になる生徒を演ずるメロドラマ。監督は出目昌伸。学園扮装下に出会い、学校で教師と生徒として再会した二人が、親と学校の猛反対にあい、活動派の生徒たちに裏切り者と罵られながらも愛を通そうとして引き裂かれる様が、あたかもロミオとジュリエットのように描かれる。

60年代末から70年くらいにかけて作られた東宝青春映画の数々は、時の学園扮装の影などなかったように作られていたのに対して本作では、松竹の女優・岩下志麻の個性もあって、その悲劇性が前面に出た異色作となっている。生徒の中に水谷豊の顔も。ラブシーンの裸体がはっきりと代役であることが分かる点には興醒め。脱ぐか見せないかどちらかを選択した方が良い。

女教師ジャンルは、日活ロマンポルノに引き継がれ、ロマンポルノなき今でも城定秀夫などが意欲作を撮っている。

2019/01/27

2019/01/27

50点

映画館/東京都/新文芸坐 


法と感情の狭間で

クレバーで聡明な女性教師が、童貞(と思われる)高校生を新宿騒乱時に助けたことから関係するに至るという、先行き悲劇しか待ち構えていない様な見え見えの展開で、観ていて辛気臭いだけで、どのキャラクターにも感情移入したいとは思えませんでした。

政治的メッセージや、女性に関しての差別的な風潮に対しての批判も垣間見えていますが、ラストの自死という安易な手法に頼ったために通俗的な作品になり果ててしまいました。

2019/01/27

2019/01/27

50点

映画館/東京都/新文芸坐 


岩下志麻の美を堪能する映画

1969年の10.21国際反戦デー闘争に参加していた高校生(三船史郎、これがデビュー作)とその高校に赴任した元全学連活動家の女教師(岩下志麻)の恋愛劇。冒頭の学生運動のドキュメンと映像が、非常に迫力があり、ここが一番面白かった。岩下が三船を誘拐した罪で警察に拘留された際に言う「女教師が生徒と恋愛したら責められ、男性教師が生徒と恋愛した場合にはこんな責めは受けない。女性の人権はどこにあるのか」という主張は、脚本の宮内婦貴子の本音だろう。岩下は、終始ミニスカートだが、足がとてもきれい。三船との絡みシーンでの岩下の胸は間違いなくふき替えだが、背中ヌードや水着姿を披露して熱演している。三船史郎のデビュー作が、完全格上の岩下とキスしまくるこのような映画だったとは、驚き。三船のデビュー作のために、岩下を松竹から呼んだのだろうか。【デビュー年60年 女優・岩下志麻~清純、華麗、妖艶さまざまな貌で魅せる/併映「七つの顔の女」】