1969年10月21日、国際反戦デーの新宿騒乱の夜に出会った二人――女教師と教え子の翌70年夏の別れまで、その〈禁じられた恋〉の姿を描く。
女教師を演じるのは岩下志麻。元全学連闘士で、日和った恋人(岸田森)に絶望し、みずからも闘争から離れたという設定はありがちで陳腐だが、70年代のメイク(細い眉)やファッション(ミニスカートやパンタロン)が懐かしい。
教え子を演じるのは三船史郎で、これがデビュー作。父の三船敏郎の片鱗を一切感じさせないお坊ちゃんは、映画でもお金持ちのボンボン役。雰囲気で闘争に参加しているのだろうけれど、岩下に一目ぼれしてからの一途さは、若さゆえの短慮の行動も含めて好感が持てる。クラスメイトの中には、水谷豊や剛たつひとら、今も活躍している役者の若い姿が見られる。
湖畔の別荘で過ごす二人だけの時間。仲睦まじいシーンは、お約束の悲劇につながっている。ところで、年上の女教師と教え子の禁断の恋という物語をぼくが初めて知ったのは、石井いさみのマンガ『くたばれ!!涙くん』でした。
教え子との恋愛という、その関係のアンモラル性を詰問された岩下志麻の反論が小気味いい。――男性教師と女子学生の恋愛ならば、途中にひと悶着はあっても結婚にまで至る例はいくらでもあるそれが女性教師と男子学生の関係になると、ただただ批判され禁止されるのはおかしい。そこには女性への差別意識がある。
50年後の現在を予言するようなセリフに驚く。