青春の殺人者

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青春の殺人者

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レビューの数

49

平均評点

76.2(332人)

観たひと

472

観たいひと

41

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1976
公開年月日 1976/10/23
上映時間 132分
製作会社 今村プロ=綜映社=ATG
配給 ATG
レイティング R-15
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督長谷川和彦 
脚本田村孟 
原作中上健次 
企画多賀祥介 
製作今村昌平 
大塚和 
撮影鈴木達夫 
美術木村威夫 
音楽ゴダイゴ 
録音久保田幸雄 
照明伴野功 
編集山地早智子 
助監督石山昭信 
記録浅附明子 
スチル伊藤昭裕 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演水谷豊 斉木順
内田良平 
市原悦子 
原田美枝子 ケイ子
白川和子 ケイ子の母
江藤潤 宮田
桃井かおり 郁子
地井武男 日高
高山千草 漁師の女A
三戸部スエ 漁師の女B

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九六九年十月三十日、千葉県市原市で実際に起こった事件に取材した芥川賞作家中上健次の小説『蛇淫』をもとに、両親を殺害した一青年の理由なき殺人を通して、現代の青春像を描き上げる。脚本は元創造社のメンバーの一人で、作家に転向以来五年ぶりに脚本を執筆した田村孟、監督はこれが第一回監督作品の長谷川和彦、撮影は「祭りの準備」の鈴木達夫がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

彼、斉木順は二十二歳。親から与えられたスナックを経営して三カ月になる。店の手伝いをしているのは、幼なじみの常世田ケイ子である。ある雨の日、彼は父親に取り上げられた車を取り戻すため、タイヤパンクの修理を営む両親の家に向った。しかし、それは彼とケイ子を別れさせようと、わざと彼を呼び寄せる父と母の罠だった。母は彼に「順は取り憑かれてるのよ、蛇にぐるぐる巻きにされてる」となじる。早く別れないとあの体にがんじがらめになるという。もともと、スナックを建てる時にケイ子を連れて来たのは父だった。ケイ子は左耳が関えなかった。その理由を順はケイ子のいう通り、中学生の頃、いちじくの実を盗んで食べたのを、順がケイ子の母親に告げ口をし、そのために殴られて聞えなくなったと信じていた。しかし、父は、ケイ子の母親が引っばり込んだ男に彼女が手ごめにされたのを母親にみつかって、たたかれたからで、いちじくの話はケイ子のデッチ上げだという。母親が野菜を買いに出ている間に、彼は父親を殺した。帰って来た母は最初は驚愕するが、自首するという彼を引き止めた。こうなった以上、二人だけで暮そう。大学へ行って、大学院へ行って、時効の十五年が経ったら嫁をもらって、と懇願する。だが、ことケイ子の話になると異常な程の嫉妬心で彼を責める。ケイ子と始めから相談して逃げようとしていたのだ、と錯乱した母は庖丁を手に待った。もみ合っている内に、彼が逆に母を刺していた。金庫から金を奪った彼は洋品店で衣類を替え、スナックに戻った。彼はケイ子に、店を今日限りで閉めると言った。何も知らないケイ子は、自分のことが原因だから両親に謝りに行くという。彼はもう取り返しがつかないと彼女を制した。衝動的に彼がケイ子を抱こうとした時、高校時代の友人の宮田とその婚約者郁子、宮田の大学の同級生日高の三人が訪ねて来た。彼が高校時代に撮った8ミリを皆で見ようというのだ。ガレージの中で、教師と両親を葬れといった内容の8ミリを見終る。順は、日高がトイレに行った時、風呂場で両親の死体を日高に見せる。親とは仲直りして、ごめんなさい、金下さいって言えばいいという日高に、仲直りできない理由を教えようというのだ。日高は、ぶるぶる震えているだけだ。順はケイ子と一緒に、ケイ子のアル中の母親の家に行って、いちじくの一件をたずねるが、八つ手はあったが、いちじくはなかったと、母親はいう。順は、追って来るケイ子を振り切って、一人で家へ戻る。両親の死体をタオルケットで包んでいる時に、ケイ子が家の中に入って来た。ケイ子は、殺人のことを既に知っていたのか、平然としている。彼女も包みを運び出すのを手伝ってから、二人は燃えた。海に死体を捨てたあと、いちじくの話はケイ子の作り話だと彼女から聞かされた。彼の脳裏に幼い日の彼と、貧しい父と母が浮かぶ。食うもんも食わんで、飲むもんも飲まんで、バカだよ。彼は泣いていた。ケイ子は彼と一緒に死ねると思った。「俺はここを燃やしたい、ここじゃなきや燃やしたことにならない」。二人は、スナックにガソリンをまいて、火を放った。梁にロープをつけて首をかけたが死に切れず、ケイ子を連れて外へ出た。見物人の人混みの中で、ケイ子から離れた彼は、一人、走るトラックの荷台から遠い黒煙を見ていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年10月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「青春の殺人者」

2018年8月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第2弾 1970年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

1976年12月上旬号

今号の問題作:青春の殺人者

日本映画紹介:青春の殺人者

1976年10月下旬号

グラビア:長谷川和彦の「青春の殺人者」

特集 「青春の殺人者」:1 熱気あふれる「青春の殺人者」伊豆・下田ロケ訪問」

特集 「青春の殺人者」:シナリオ

特集 「青春の殺人者」:2 実に恐ろしいシナリオ

特集 「青春の殺人者」:3 長谷川和彦という男

2026/02/22

2026/02/24

80点

選択しない 


熱に浮かされたような映像

ネタバレ

 親殺しを題材とした強烈なドラマだけれどこれもまちがいなく青春映画と呼べるもののひとつなのだろう。若者らしい衝動的行動とその後の戸惑いが飛び散る血飛沫のように鮮烈に描かれている。ATGらしいといえば本作ほどATGにふさわしい映画はないかもしれない。それだけ作り手の強烈な意思が映像として刻印されていた感じ。
 割と甘やかされつつも肝心なところで大事なものを奪っていく父(内田良平)という存在に突如殺意が芽生える順(水谷)。大学入学の願書を破り捨てる父、幼馴染のケイ子を犯す父といった妄想も煙たい存在故であったろうか。両親の自分本位な言動に苛立ちを隠しきれない様子は水谷の神経質な表情にしっかり現れていていつ暴発してもおかしくないと思わせている。両親ふたりとも冷たい親でないところがむしろリアルさを感じさせる。
 怖いのは父を殺してしまった順よりもその有様をみて豹変する母の方。母親役の市原悦子がここでは鬼気迫る演技をみせ前半のクライマックスを形作っている。
 両親を殺害したあとはケイ子との逃避行が熱に浮かされたような茫漠とした映像でひたすら綴られていく。順の焦点の定まらない視線、順しか頼るものがないケイ子の一途な行動も青春のそれである。
 ケイ子を演じた原田美枝子はまだデビュー間もない頃だと思われ、セリフ回しなどもどことなく拙いけれどそこが却って新鮮にも感じる。豊満な肉体美をさらしているけど、それも順が体に騙されていると詰る両親の言葉を裏書する。
 肉体こそ豊満なれど中身の方はまだ少女のように幼い。そのアンバランスさがこの物語の重要なポイントでもあったように思う。

2026/02/03

2026/02/03

70点

購入/ブルーレイ 


追悼・長谷川和彦監督

ネタバレ

長谷川和彦監督デビュー作。今回見直して母親役の市原悦子の存在感に圧倒された。息子が父親の殺人を警察に連絡しようとする
のを家庭の問題に警察を介入させるなと主張する面白さ、
おかしさ。仕事仕事で疲れ切った女の哀しさを漂わせた母親役を
熱演している。まるで長谷川の師匠・今村昌平映画の女たちのように。
映画的は長谷川監督のデビュー作で期待したが、変に文学的で
イマイチ乗れなかった。

長谷川和彦監督ご冥福をお祈りします。

2025/10/17

85点

選択しない 


凄絶で陰惨なドラマ

長谷川和彦監督の衝撃の問題作で、初見の時はショックを受けた。実話との事。特に水谷豊が父親の内田良平を殺す場面の印象が強く、その凄絶さに固唾を飲んだ記憶がある。さらに市原悦子の母親が水谷と父親殺しを隠蔽しようとする下りも演出と二人の演技に気圧される。その後の母親を誤って殺してしまうのも然り。原田美枝子も母親との親娘関係いびつで、共に毒親を持った犠牲者とも言える。陰惨なドラマだがゴタイゴの爽やかな音楽に救われる。水谷豊が、繊細さと凶暴性を併せ持った若者を好演。市原悦子が凄い。

2025/07/24

2025/07/25

-点

選択しない 


原田美枝子が若くて可愛い。両親の殺害が生々しくて、ドキドキする。
主人公にはあまり感情移入できなかったけど、与えられて奪われたときの怒りは理解できた。放火のシーン、なんとか生き延びてほしい思う自分がいて、炎から2人が飛び出した時は思わず笑ってしまった。

2024/11/03

2024/11/07

80点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


前半の殺人を隠蔽しようとする、主人公と母親の姿が凄まじい。
狭い空間の中での濃密なやりとり。
水谷豊と市原悦子の演技合戦。
ねちっこいエネルギッシュな演出で、徐々に変化していく二人の心理を描き切っていて圧巻。
後半は二人の付かず離れずの逃避行が描かれるが、原田美枝子の瑞々しい演技が眩しい。

2024/09/22

2024/09/22

81点

映画館/東京都/神保町シアター 


なんともダウナー。青春の蹉跌からの地続き、

まず70年代半ばの時代の空気を背景に見ないと、今の感覚で初見だと相当受け止め方も変わってくる。
親の引いたレールから出ていきたい、納得できない、閉塞感。優等生だったのに大学なんて行くなと父親に願書を破られる。
東京の大学に行った仲間のキラキラがまた腹立たしい。
心の底では不満が渦巻いている母親の過干渉の鬱陶しさに、体だけの信用できない女。何もかも嫌になる訳で。
ゴダイゴの明るい音楽がなんとも切ないのは、千葉から憧れてもたどり着けない青春を感じるからか。千葉の海岸でサーフィンを見ても、なんとも突き抜けられない。これがきっと75年の長谷川和彦の心象風景なんだろう。
余談ながらしかししかし、原田美枝子の脱ぎっぷりの良さよ笑最高ですね。市原悦子のホラーもまた笑