ビルマの竪琴(1985)

びるまのたてごと|The Burmese Harp|The Burmese Harp

ビルマの竪琴(1985)

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レビューの数

29

平均評点

68.7(208人)

観たひと

396

観たいひと

22

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争 / ドラマ
製作国 日本
製作年 1985
公開年月日 1985/7/20
上映時間 133分
製作会社 フジテレビジョン=博報堂=キネマ東京
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督市川崑 
脚本和田夏十 
原作竹山道雄 
企画日枝久 
高橋松男 
製作鹿内春雄 
奥本篤志 
高橋松男 
プロデューサー藤井浩明 
角谷優 
荒木正也 
撮影小林節雄 
美術阿久根巖 
音楽山本直純 
録音大橋鉄矢 
斉藤禎一 
照明下村一夫 
編集長田千鶴子 
製作担当者古屋和彦 
監督補吉田一夫 
スチール橋山直己 
合成三瓶一信 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演石坂浩二 隊長
中井貴一 水島上等兵
川谷拓三 伊東軍曹
渡辺篤史 小林上等兵
小林稔侍 岡田上等兵
井上博一 馬場一等兵
浜村純 村落の村長
常田富士男 物売りの爺さん
北林谷栄 物売りの婆さん
菅原文太 三角山守備隊々長
佐藤正文 鈴木上等兵
茂木繁 阿部一等兵
保木本竜也 村上一等兵
川崎博司 渡辺一等兵
山口真司 高井一等兵
永妻晃 丸山一等兵
清末裕之 中村一等兵
井上浩 山本一等兵

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

日本兵の霊を慰めるため、僧侶となってひとりビルマの地に残る兵士の姿を描く。竹山道雄の同名小説の29年ぶりの再映画化。脚本、和田夏十、監督、市川崑は前作と同じコンビ。撮影は「あゝ野麦峠・新緑篇」の小林節雄がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九四五年夏、ビルマ戦線の日本軍はタイ国へと苦難の撤退を続けていた。そんな逃避行の最中、手製の堅琴に合わせて「埴生の宿」を合唱する一部隊がいた。井上小隊長が兵士の心をいやすため、歌を教えこんだのである。堅琴で判奏するのは水島上等兵であった。小隊は国境近くまで来たところで終戦を知り、武器を棄てて投降した。彼らは南のムドンに護送されることになったが、水島だけは附近の三角山で、抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため隊を離れて行った。小隊はムドンで労務作業に服していたが、ある時、青いオウムを肩に乗せた水島そっくりの僧とすれ違った。彼らは僧を呼び止めたが、僧は一言も返さず歩み去って行った。三角山の戦いの後ムドンへ向かった水島は、道々、無数の日本兵の死体と出会い、愕然としたのである。そして自分だけが帰国することに心を痛め、日本兵の霊を慰めるために僧となってこの地に止まろうと決意し、白骨を葬って巡礼の旅を続けていたのだ。物売りの話から、井上はおおよその事情を推察した。彼はもう一羽のオウムを譲りうけ、「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ」と日本語を覚えこませる。数日後、小隊が森の中で合唱をしていると、大仏の臥像の胎内にいた水島がそれを聞きつけ、思わず夢中で堅琴を弾き始めた。兵士たちは大仏の鉄扉を開けよとするが、水島はそれを拒んでしまう。その夜、三日後に帰国することが決まり、一同は水島も引き連れようと毎日合唱した。井上は日本語を覚えこませたオウムを水島に渡してくれるよう、物売りの老婆に頼んだ。出発の前日、水島がとうとう皆の前に姿をあらわした。収容所の柵越しに、兵士たちは合唱し、一緒に帰ろうと呼びかけるが、水島は黙ってうなだれ、「仰げば尊し」を弾奏した。そして、森の中へ去って行く。翌日、帰国の途につく井上のもとへ、オウムが届いた。オウムは「アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ」と叫ぶのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1985年9月上旬号

日本映画紹介:ビルマの竪琴

1985年8月下旬号

日本映画批評:ビルマの竪琴

1985年6月下旬号

グラビア:ビルマの竪琴

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2023/08/20

2023/08/21

70点

テレビ/無料放送 
字幕


無骨やルビー

霧,雨,日射など,気象条件が兵や兵だった者たちを取り巻き,キャメラの前に隠然とした湿気を醸している.三角山の岩場,ムドンヘ至るまでの裸地,荒地,草地,湿地,そして亜熱帯であろう森林など,彼女ら彼らを取り巻く環境と土地は様々で,言ってみれば,「多様」とさえ言える情況でもある.最後の言葉で言及される土や岩の「赤さ」はこの地で流された血を暗示するものでもあり,岩や土の風化や鉄の酸化的情況を示すものとも言える.
その環境に音楽が表現される.ロクな楽器もないし,彼らは音楽家でもない.ただ歌い,現地の竪琴やその模造品を奏で,手拍子をするぐらいの音楽であるが,その音楽環境を共にする者たちと共鳴し,共振する.インテリ風の井上隊長(石坂浩二)のせいなのか,冒頭から既に厭戦気分が漂っており,同じ日本軍にあって,それほど遠くない三角山を決死の覚悟で守備する隊長(菅原文太)とは随分勝手が違う.「埴生の宿」のほか「旅愁」「椰子の実」「箱根八里」「荒城の月」,そして「仰げば尊し」など耳慣れ,歌い慣れた曲が井上の小隊を時に和ませ,時に勇気づけ,柔和にもしている.彼らが歌うことで英軍の兵までもが歌い,ビルマの現地人たちが聴衆として現れ,投げ銭をしている.また現地の子は,その伴奏で小遣いを稼ごうとしてもいる.音楽がその振動によって広がりを見せている一方,終盤で井上隊長によって水島(中井貴一)の手紙が朗々と音読されるとき,画面は揺れだしている.船の揺れを表現したキャメラのワークであるが,海の水平線が実景としてインサートされ,海面の波はそれぞれの波長を表しながら,流れていく.猿や牛,インコや人間やハゲタカも音や波や湿度とともにあり,死体ともなりながら,焼かれ,土に埋められ,骨となり,赤いルビーのような石に「魂」なるものを残しつつ,流転の中に放り込まれている.
インコの日本語,あるいは人語の怪しさとともに,大阪弁の女性の言葉のたどたどしさが印象的である.歌や竪琴のように美しくもうまくもないその言葉と場面は,無音の間や時間,爆音の場面とともに,この映画の不可思議を構成している.無骨さ,無音さ,そして戦争そのものも含めた不可解な事象に対する理解の困難さがそこに示されている.

2023/05/20

2023/05/20

68点

選択しない 


悪くはないが深味がなく軽い印象

正直そこまで入り込めず、「あれ?」となってしまった。なんというか変な話だが画面が美し過ぎるというか、兵士もどことなく綺麗で薄汚れ感が足りない。中井貴一他、役者陣も良いしタイのロケ(ビルマではない!)も美しいが全体的に深味がなく軽い印象なのは作られた時代のせいだろうか?

2021/10/15

2021/10/15

64点

その他 


なぜ仲間のところに戻れないの。それに鳥を肩に乗せたら水島が来るというのはおかしい。なぜ会ったときに直接話さないの。あの婆さんは日本人だったのか?昔の男らしい人ってあの軍人たちみたいな感じかな。あまり魅力的に思えない。

2019/08/12

2019/08/13

83点

その他/レンタル 


キネ旬読者選出4位 大ヒット約30億円 「乱」は残念ながら16億円

有名な話で56年制作作品はカラー対応のカメラが日本製で大変重く故障が多い為断念してモノクロ作品になったそうです

僕はこちらの作品も好きです
石坂浩二さんの心優しいインテリな感じや川谷拓三さんのおかしみ
中井貴一さんの真面目な透明感や痩せた姿(安井さんの顔の方がビルマ人に見えますが)

こちらの方がわかりやすい話になっています
ビルマの高僧が袈裟を沐浴中に盗まれる場面で知って知らないふりをしたり
兵隊の内緒のお酒など
前作では編集でカットされていたかもしれませんがいろいろ補完されています

袈裟のオレンジ
オウム🦜のみどり
赤い土
熱帯雨林の鬱蒼と茂った眩しい緑
三角山の爆撃シーンはカラーになり生々しいです

前回も今回もなかな渡航許可が下りなくて苦労したそうです
今回はタイで撮影
ラストカットはいずれも地平線に向かって歩く主人公の姿を撮りたかったが監督のイメージに合うロケ地が無かったそうです

特典映像はお薦めですよ
インタビューに答える86歳の昆ちゃんの元気な姿が見れます

昆ちゃんが反戦は何回も何回も繰り返して言っていいと言う言葉が強く心に残りました

奥さん和田夏十さんが亡くなられた後のフジテレビ制作作品です

モノローグの使用法はビリーワイルダーの「第17捕虜収容所」を参考にして
奥さんの発想により使用
原作にはない映画のオリジナルです

鳥好きなのでオウムが可愛くて撫で撫でしたくなりました

余談ですが

漫画家の水木しげるさんも南方へ進軍して現地人と仲良くなり土地家屋を用意するから残らないかと誘われ日本に帰るのを止めようと思い
上席者に相談し一度帰って欲しいと説得され帰国したそうです
年月が経ってから現地に行って再会したそうですよ

2000年代

2019/04/18

65点

レンタル 


彩り豊か

ネタバレ

主人公が着ている黄色い僧衣をはじめ、グレーの軍服や緑のオウム、赤いルビーや骨壷の白い布など、カラー作品としてリメイクすることにこだわった市川崑の彩り豊かなディテール描写が印象に残る。

「埴生の宿」の穏やかなメロディを背景に、主人公の悔恨と決意が、仲間の友情と愛惜が、戦争の虚しさと愚かしさが、アクセントカラーを駆使した画面を通してシットリと心に沁みる終幕の深い余情が忘れられないオーソドックスな文芸映画だった。ちなみに原作は未読。

2018/07/10

2018/07/10

68点

テレビ/無料放送/BS朝日 


仰々しい劇伴

ん~全部が大味である。
芝居の演出しかり、音楽しかり。
後やっぱり気になるのは戦争映画なのに緊張感がない。
合唱好きの部隊でも全然いいんだけど、
そこはやっぱり年がら年中歌っているとありがたみもないわけで。
もう少し緊張と緩和が欲しかったなぁ~と。