転校生

てんこうせい|Sayonara, Me|Sayonara, Me

転校生

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レビューの数

67

平均評点

80.2(412人)

観たひと

630

観たいひと

32

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1982
公開年月日 1982/4/17
上映時間 112分
製作会社 日本テレビ放送網株式会社=株式会社ATG
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督大林宣彦 
脚本剣持亘 
原作山中恒 
製作佐々木史朗 
プロデューサー森岡道夫 
大林恭子 
多賀祥介 
撮影阪本善尚 
8ミリ撮影大林千茱萸 
美術薩谷和夫 
録音稲村和己 
音響林昌平 
照明渡辺昭夫 
編集P・S・Cエディティングルーム 
助監督内藤忠司 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演尾美としのり 斉藤一夫
小林聡美 斉藤一美
佐藤允 一夫の父・明夫
樹木希林 一夫の母・直子
宍戸錠 一美の父・孝造
入江若葉 一美の母・千恵
中川勝彦 一美の兄・良行
井上浩一 一美の兄・次郎
岩本宗規 金子正昭
大山大介 佐久井健治
斎藤孝弘 福田静男
柿崎澄子 川原敬子
山中康仁 山本弘
林優枝 吉野アケミ
早乙女朋子 女子学生
秋田真貴 女子学生
石橋小百合 女子学生
伊藤美穂子 女子学生
加藤春哉 校長
鴨志田和夫 チンピラ
鶴田忍 団体客の幹事
人見きよし 旅館の番頭
志穂美悦子 大野光子

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

“男の子と女の子の体が入れ替わってしまった”思春期の中学生の男女を描いた青春映画。原作は山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』(旺文社刊)、脚本は「ゴキブリ刑事」の剣持亘、監督は「ねらわれた学園(1981)」の大林宣彦、撮影は「霧のマンハッタン」の阪本善尚がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

広島県・尾道市。斉藤一夫は8ミリ好きの中学三年生で、悪友たちと女子更衣室をのぞいたり悪ガキぶりを発揮するごく普通の少年である。そんな彼のクラスにある日、斉藤一美という、ちょっとキュートな少女が転校して来た。一美が大野先生に紹介された途端、一夫を見て叫んだ「もしかしてあなた一緒に幼稚園に行っていたデベソの一夫ちゃんじゃない?」二人は幼馴染みだったのだ。久しぶりに一夫と再会した一美は大喜びだが、子供の頃の自分の恥部を知られている一夫にとっては大迷惑。その日の帰り道、神社の階段の上で、一夫はつきまとう一美めがけてコーラの空缶を蹴飛ばした。驚いた一美は階段から落ちそうになり、一夫は押さえようと抱きつくが、二人はそのままころげ落ちた……。しばらくたって二人は意識をとり戻し、それぞれの家に帰るのだが、二人の体が入れ替っていることに気がつき、愕然とする。男の子の体になってしまった一美は泣き出すが、とりあえず、お互いの家族、友人の中で生活することにした。突然、男っぽくなった一美や、逆に女っぽくなった一夫にそれぞれの家族は戸惑うが、まさか入れ替っているなどとは考えてもみない。学校でも一夫が突然勉強ができるようになって周囲が驚くのだが、悪友たちがオカマっぽくなった一夫をからかうと、一美が怒って連中をのしてしまうのだ。そんなある日、一美はボーイフレンドの弘と会うことになった。一夫は一美を演じているうちに弘をからかったため、一美を怒らせてしまう。やがて、一夫が父の転勤で横浜に引っ越すことになった。いつまでたっても元に戻らぬ二人は、絶望的になっていき、特に一美は自殺を考えるまで追い込まれてしまう。が、一方で、互いの体に嫌悪感さえ覚えながらも、徐々に異性としての愛情が芽生えていく。一夫の引っ越しが間近に迫ったある日、あの神社の階段の上で、二人はふとしたハズミで再び転げ落ちてしまった……。気がついてみると、二人は元の一夫と一美に戻っていた。「オレ一美が大好きだ」「この世の中で誰よりも一夫君が好き」泣きながら抱き合う二人。数日後。引っ越し荷物を積んだコンテナ・トラックに一夫と両親が乗り、一美が見送りに来ている。動き出したトラックの助手席から、追って来る一美を8ミリで撮る一夫。「サヨナラ、オレ」「サヨナラ、あたし!」。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年1月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第4弾 1980年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

1982年5月下旬号

日本映画紹介:転校生

1982年5月上旬号

日本映画批評:転校生

1982年4月下旬号

グラビア:転校生

特集 転校生:座談会 大林宣彦/小林聡美/尾美としのり/宇田川幸洋

特集 転校生:監督について

特集 転校生:作品批評

特集 転校生:脚本 転校生

1982年3月上旬号

グラビア:転校生

1982年1月下旬号

キネ旬試写室:転校生

2023/04/10

2023/04/10

88点

選択しない 


ノスタルジックな気分。

自分の学年時代の映画で、今観るとノスタルジックさが増す。小林聡美の身体を張った名演に心奪われるが、尾美としのりも評価したい。二人してフェリーに乗っている場面が良く、余韻の残るラストは自分にとって宝物と言っていい。佐藤允、宍戸錠といった好みの役者さんが脇に出でてそれも嬉しい。
多分、また観るな。

2022/06/03

2022/06/04

90点

その他/ホームシアター 


不朽の名作

久し振りに再見。これまでも何度も見た不朽の名作。でも、何度見てもいいなと思う。
この作品は大林宣彦監督の第6作。僕はデビュー作「HOUSE」を見て、頭をガンと殴られた口で、以後大林宣彦監督の作品は欠かさず見るようにしていたが、当初驚いた大林映画の先進性というのは、この頃いささか陰りを呈していたと思う。そこに、この映画「転校生」が現れる。
もちろん、男の子と女の子が入れ替わってしまうという物語はいささか風変りだが、その描き方は至ってオーソドックス。大林監督はこのようなスタンダードな映画も撮れるんだとその当時は感心したものだった(それくらい、大林監督の映画といえば、特殊だったのだ)。
冒頭、モノクロで描かれる尾道の風景がとても美しく、その後展開される取り違えの物語からカラーに移行し、そして、元通りの体になって再びモノクロに変わる。
性が変わることで、今まで微塵も思っていなかった異性の違いに、ある意味呆然とし、しかしその一方で果敢にその違いを飲み込もうとする思春期の少年少女が、しっかりと描かれる。それにしても、当時は無名だった小林聡美と尾美としのりの豊かな表現力には驚かされる。特に、小林聡美は、少女から少年への移行を見事に演じて素晴らしい。尾美としのりは受けの芝居なので、小林ほどは目立たないが、こちらもしっかり立っている。加えて、樹木希林のお母さんの見事さも特筆に値する。
そして、ラストの別れのシーン。ここで小林聡美はほんのり化粧をして、一皮むけた女振りとなる。この別れのシーンではいつも涙が出てしまう。トラックを追いかけていた小林聡美が、ついに立ち止まり、そして帰っていく。その時に、しょんぼりするのではなく、スキップを踏むように歩いていく。ここから新しい彼女の人生が始まることを示唆するように。すごくいいラストシーンだと思う。

2022/04/13

2022/04/13

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


神社の入れ替わり以外はきれいに忘れてた。

2022/02/04

2022/02/04

55点

テレビ/有料放送/WOWOW 


(録画)1982年キネ旬ベストテン日本映画3位読者選出2位

B級作品だが、B級作品でも名作は作れると言う証明。
演出の力と俳優の存在感。小林聡美と尾美としのり、特に小林聡美のヌードを辞さない存在感は凄い。

2021/05/08

2021/05/08

78点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


大林宣彦の特集でたまたまやってたので、本当に久しぶりに観た。やっぱり監督の原点、尾道3部作の第1作。小林聡美の体当たりの演技に、初々しさと懐かしさとごっちゃ混ぜ。

2021/04/29

2021/05/01

95点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


個性派女優の誕生

 この3月まで放送されていた綾瀬はるかと高橋一生主演のテレビドラマは、二人が入れ替わってしまうというものだった。二人が入れ替わるきっかけとなるシーンは本作のパクリとは言わないまでも、ヒントを得たであろうとは思われる。もっとも本作の原作「おれがあいつであいつがおれで」も、平安時代の「とりかえばや物語」が原型だろうから、このテーマは1000年以上の歴史があることになる。
 身体が変化し、性に目覚める中学時代。その中学生の性が入れ替わってしまうという奇想天外さが何ともおもしろい。入れ替わる二人を演じた尾身としのりと小林聡美が素晴らしい。とりわけ小林はやんちゃな男子が女子の身体になってしまうという難しい役どころだ。しかもそれを自然に見せるのだからたいしたものだ。例えば跨線橋を自転車で駆け上がるシーンは、身体は女子だが心は男子ということをうまく表している。普通の女子なら躊躇するような急坂だが、女子の自覚がないのだから意に解さない。小林自身、相当な体力の持ち主だろう。まだ固いつぼみのような乳房も恥じらいなくさらす。男子なら胸を隠すことなどしないのだから当然だが、その度胸たるや見上げたものだ。1980年代前半はアイドルが百花繚乱状態だったが、彼女らでは誰もこの役をこなせなかっただろう。小林には失礼だが、彼女がアイドルを目指しても日の目を見なかっただろうが、個性派女優の座をつかんだ。本作はそのきっかけとなった作品だろう。
 映像の魔術師、大林監督が作る世界も素晴らしい。白黒に始まり白黒に終わる。いつカラーに切り替わるのかと興味深く観ていると、絶妙なタイミングで切り替わる。尾道の坂道や町並み、海や山がこの青春映画の格好の舞台となっている。