アシク・ケリブ

あしくけりぶ|Ащик-КериБ|Ashik Kerib

アシク・ケリブ

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レビューの数

7

平均評点

76.2(42人)

観たひと

68

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 ソ連
製作年 1988
公開年月日 1991/6/15
上映時間 74分
製作会社 グルジア・フィルム
配給 シネセゾン
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

吟遊詩人と富豪の娘の恋物語を耽美的に描く映像絵巻。「火の馬」のセルゲイ・パラジャーノフ監督のこれが遺作となった。共同監督はダヴィッド・アバシーゼ、ミハイル・レールモントフの原作を基に脚本はギーヤ・バドリッゼ、撮影はアルベルト・ヤブリヤン、音楽をジャヴァンシル・クリエフが担当。出演はユーリー・ムゴヤン、ヴェロニカ・メトニッゼほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

心優しき吟遊詩人、アシク・ケリブ(ユーリー・ムゴヤン)は、領主の娘マグリ・メヘル(ヴェロニカ・メトニッゼ)と恋に落ちる。しかし彼女の父が結婚を許さなかったため、詩人は身を立てることを誓い、旅に出る。幾多の苦難を乗り越えながら冒険を続ける彼の前にある時、白馬に乗った聖人が現れ、故郷で待つ恋人の身に危機が迫っていることを告げる。詩人は一日に千里を走る聖人の白馬を駆って舞い戻り、恋人を抱き止める。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2014年7月下旬号

UPCOMING 新作紹介:パラジャーノフ生誕90周年記念映画祭「アシク・ケリブ デジタル・リマスター版」

1991年11月下旬号

外国映画紹介:アシク・ケリブ

2021/01/06

2021/01/06

70点

映画館/京都府/京都みなみ会館 
字幕


グルジア

ラクダにびっくり。
ハーレムの女性たちが銃をぶっぱなす。中東の雰囲気も。
女性の眉毛がつながっている。

2014/09/04

2020/03/15

70点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 
字幕


お伽噺を元にしているだけあって展開は突拍子もなく、ラストは「めでたしめでたし」の声が聞こえてきそうな締め括り方。が、パラジャーノフ監督自身の生涯を思うと、彼は正しい者が幸せになれる物語を何よりも望んでいたんじゃないか、と思える。そんな願いが込められた、彼女の元に帰るまでのケリブの1000の夜と1000の昼。相変わらず、美術や衣装、音楽が独特で、その映像を観ているだけで異国に放り込まれたような感覚に陥る。そして、ケリブの様々な人たちとの摩訶不思議な出会い。個人的には、初っぱなということもあってか、老いた吟遊詩人との出会いが特に印象に残った。それにしても、彼女の父親とケリブの恋敵があまりに幼稚で、思わず吹き出しそうになった。特に父親はお尻とか振りだしちゃうし(笑)。ちなみに、パラジャーノフ監督の遺作となる本作は、親友・タルコフスキー監督に捧げられている。

2017/08/02

2017/08/02

97点

映画館/東京都/早稲田松竹 
字幕


芸術家の苦難

 セルゲイ・パラジャーノフ監督の特集上映で本作など4作品を観た。いずれも初めての鑑賞である。特徴的な点を挙げれば、パラジャーノフ監督は国家や一神教などの大きな物語ではなく少数民族の風俗や信仰などの小さな物語の側に立つということである。
 例えば、本作では「唯一の神」という章において牛を中心としたカット、馬・牛・羊など家畜の絵のカットという一連のシーンがある。これは脚本上は別のものが予定されていたのではないだろうか。いずれにせよ一連のシーンで表現されているのは牧畜民あるいは遊牧民の精神そのものである。
 本作の主人公である吟遊詩人というものは、遊牧民のように各地を遍歴する。本作は吟遊詩人の苦難の旅を寓話的に描くが、これがため吟遊詩人と富豪の娘の単なる恋物語に終わらない広がりを有する。本作の吟遊詩人の苦難は芸術家一般の苦難と重なる。貧乏であったり権力者に自由を制限されたり愛国者に敵とみなされたりである。
 そして芸術家の典型的な苦難がパラジャーノフ監督の個人的な苦難に感じられるのは、寓話という大袈裟な演出が要求される物語形式によって監督の個性が色濃く作品に投影され主人公にも特定の人物の苦難が投影されているように構造的に感じられるからである。
 本作は、独特の演出により、吟遊詩人の苦難の旅が芸術家としてのセルゲイ・パラジャーノフ監督の苦難の人生と重なるような印象を与え、結果として遺作に相応しい傑作となった。 

2017/08/01

2017/08/01

65点

映画館/東京都/早稲田松竹 
字幕


好きな人は好きなんだろうけれど…

パラジャーノフの遺作で、吟遊詩人のアシク・ケリブが相愛のマグリ・メヘルに結婚を申し込もうとするが、アシクの父にけんもほろろに断られ、傷心のアシクは、再チャレンジを誓って千日の旅に出る。

独特の色彩感覚に民族衣装のきらびやかさが加わり、更なる効果を生み出しています。
しかし、この手の独特の美意識を持っている作品ですが、ストーリー性が希薄なので、正直あまり面白いとは言い難いです。

2016/04/27

2016/04/28

80点

映画館/愛知県/シネマスコーレ 


➊悲劇の天才映画監督、セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)の長編第一作にして、出世作となった『火の馬(1964)』は39歳の作。
そして遺作となった本作は63歳の作。
➋本作はロシアの詩人ミハイル・レールモントフのお伽話をもとに、パラジャーノフ監督が描いた恋物語。
貧しく心優しい吟遊詩人のアシク・ケリブは、富豪の娘マグリに結婚を申し込むが、父親に反対される。
彼は1,000日の後に必ず帰ると彼女に約束し、困難が待ち受ける旅へ出かけ、様々な苦境を乗り越えて立派な人間に成長する。
旅の終盤で白馬に乗った聖人から「恋人が望まぬ相手と結婚させられる」と聞いて、一日に千里を走る聖人の白馬を駆って舞い戻り、恋人と結ばれる。
悲劇が多い彼の作品の中で、珍しいハッピーエンドなので、気分が良い。
➌『火の馬』が12の章から成っていたように、本作も21のエピソードから構成されている。
「愛している、愛していない」、「婚約の儀式」、「詩人の苦悩」、「青いチャペルでの誓い」、「金を稼ぐための旅」、「わずらわしい道連れ」、「馬で行く者は友人ではない」、「詩人の死を嘆くひとびと」、「善良なひとびと」、「隊商の道」、「詩人の擁護者」、「アリズとヴァリ」、「ナディル将軍の領地」、「隊商宿」、「ナディル将軍の復讐」、「好戦的なスルタン」、「汚された修道院」、「唯一の神」、「アシクの祈り」、「白馬の聖者」、「恋人の父への挨拶」。 
❹多くのエピソードと映像は、『千夜一夜物語』のエキゾチックな絵物語を見ているようで、実に楽しい。
物語にも共感出来る。
❺唯一残念だったのは、歌に翻訳字幕が付けられていなかったこと。
歌詞の意味が分かれば、更に楽しめたことだろう。
❻最後に、「この映画を亡きタルコフスキーに捧ぐ」と書かれた一文が表示された。
パラジャーノフは、アンドレイ・タルコフスキーの『僕の村は戦場だった(1962)』に強い影響を受けたと言われているが、これを裏付けるものだろう。

2014/07/13

2014/07/14

80点

レンタル 
字幕


ひとり映画祭1作目

予想してたけど強烈な映画だった。
フリーダカーロみたいな、眉毛がつながったお姫様と、同じく眉毛がつながった英雄アシクケリブ。
それにしても、このグルジアの人たちの美しさといったら。
どういうふうに混血したらこの容貌が生まれるんだろう?

明快なストーリーはあるけど、映画は最初から最後まで、それとは関係なくずっと「まつり」のようです。
蔵の奥にしまいこんであった、結婚式の服や、お葬式の服や、あらゆる一張羅をみんなで持ち寄って、さらに村中の財宝を、想像の祭壇に全て美しく並べた、という感じ。
そのまつりも、今まで想像したこともない遠くの夢の国のようです。実際今はかなりの辺境にも旅行できる世の中になったけど、グルジアというところは、トルコにも中欧にも近いソビエトというエキゾチックな場所で、そこでどういう美的感覚が育っていたかなんて、この監督の映画を見るまでまったくイメージできませんでした。

音楽も、中東の軍楽隊のように終始にぎやかで、耳にストレスを感じるのですが、誰かが見た夢の世界なんだからしょうがない。

世界には、まだまだ知らない、見たことがない「美」があるんだな…。
何もかもが新しく珍しく、目が覚めるような世界でした。