1965年のフランス映画。2Kレストア版。ライオネル・ホワイトの「十一時の悪魔」を原作とする作品。フェルディナンは妻の父が主催するパーティに参加する際ベビーシッターとしてやってきたかつての恋人マリアンヌに再会。パーティーを中座しマリアンヌと一夜をともにする。目覚めると首にハサミの刺さった見知らぬ男の死体。それを気にする様子のないマリアンヌとその兄がいるという南フランスをめざす逃避行が始まる。海辺の生活はフェルディナンには充実した毎日だったがマリアンヌにとっては退屈な日々だった。マリアンヌは追って来たギャングを刺し密輸団のボスとつるんでいた。マリアンヌを探し出したフェルディナンは二人のいる島へ行き二人を射殺。自分も爆死しようとダイナマイトを頭に巻くが導火線に火をつけたところで我に返り火を消そうとしたが間に合わず爆発してしまうのだった。
まだわかりやすい頃のゴダール映画。それでも筋書きはあってなきがごとくの即興的展開で、物語という観点でいえば滅茶苦茶です。それでも映像の美しさ、場面転換の意外性、一つ一つのシーンの完成度の高さは流石のゴダールでした。退屈な日常からの逃避を後押しされたフェルディナンが海辺の退屈な毎日に満足する様な事に落ち着くのは結局フェルディナンの性格だったんだろうなあ。退屈な日常からの脱却というのはただの夢であり実現してはいけないただのロマンだったのでしょう。実現してしまえば破綻は目に見えてるということかな。一方でマリアンヌはそんなフェルディナンをうまくあしらうことで自分の逃避行を成功させている。誤算はフェルディナンがあそこまで諦めが悪く行動力があったことなんでしょうね。ヌーベルバーグの最高傑作って言われてるけど、私はトリュフォーの方が好き、「大人は判ってくれない」は最高だよ。