許されざる者(1992)

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許されざる者(1992)

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レビューの数

128

平均評点

78.3(867人)

観たひと

1369

観たいひと

103

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 西部劇
製作国 アメリカ
製作年 1992
公開年月日 1993/4/17
上映時間 131分
製作会社 マルパソプロ作品
配給 ワーナー・ブラザース映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

銃を捨て密かに暮らしていた老ガンマンが、賞金稼ぎのために再び銃を取る姿を描く西部劇。92年度アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞、編集賞受賞作。監督・製作・主演は「ルーキー」のクリント・イーストウッド。エグゼクティヴ・プロデューサーは「ホワイトハンター ブラックハート」のデイヴィッド・ヴァルデス。脚本は「ブレードランナー」のデイヴィッド・ウェップ・ピープルス、撮影は「バード」のジャック・N・グリーン。音楽はレニー・ニーハウスが担当。共演は本作でオスカーを受賞した「ミシシッピー・バーニング」のジーン・ハックマン、「虚栄のかがり火」のモーガン・フリーマン、「ジャガーノート」のリチャード・ハリス、「ピンク・キャデラック」のフランセス・フィッシャーなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1880年、ワイオミング。列車強盗や殺人で悪名を轟かせていたウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)は、今では銃を捨て2人の子供と農場を営みながら密かに暮らしていた。しかし家畜や作物は順調に育たす、3年前に妻にも先立たれ苦しい生活だった。そんなマニーのもとにスコフィールド・キッド(ジェームス・ウールヴェット)という若いガンマンが訪ねてくる。彼は娼婦フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)に重傷を負わせた2人のカウボーイを倒して、一千ドルの賞金を得ようとして考えていた。一緒に組もうと誘われたマニーは11年ぶりに銃を手にする。マニーのかつての相棒ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)が同行することになり、3人は町へ向かった。その頃、保安官のリトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)は強引なやり方で町を牛耳っていた。伝説的殺し屋のイングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)と同行していた小説家ボーチャンプ(サウル・ルビネック)を暴力的に町から追放するダゲッド。マニーら一行が町に到着すると、ひとり酒場にいたマニーをダゲットは激しく殴りつけ、重症を負わせる。そんなマニーを献身的に看護したのは傷つけられた娼婦のフィッツジェラルドだった。立ち直ったマニーはローガンとキッドに追いつき、追っていたカウボーイを発見して1人を射殺するが、ローガンはもう人をてないと悟り、マニーらに別れを告げた。カウボーイたちの家を見つけ、残るひとりを仕留めたキッドは、マニーに初めて人を撃ったと告白する。その頃、町では殺人罪で捕まったローガンがダゲットの激しい拷問にあい、命を落としていた。賞金を受け取る際にその話を聞いたマニーは、キッドから拳銃を受け取り、子どもたちとローガンの妻とキッドの4人で賞金を分けるように言うと町へと向かった。酒場の前にローガンの死体が放置されているのを見たマニーは店主を射殺して銃撃戦になり、遂にダゲットと対決して彼を倒した。そして子どもたちの待つ家へマニーは帰っていくのだった。

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2019年9月下旬特別号

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1993年6月下旬号

外国映画批評:許されざる者

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1993年3月上旬号

グラビア《Special Seleciton》:許されざる者

2025/03/06

2025/03/06

82点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


暴力を暴力でしか裁けない矛盾

『許されざる者』
Unforgiven
マルパソ・カンパニー
ワーナー・ブラザース
USA
1992

キッド「信じられねえ。アイツは二度と息をしねえ。死んだなんて。もう一人もだ。引き金を引いただけで」
ウィル「殺すってのは恐ろしい事さ。人の過去や未来を全て奪ってしまう」
キッド「連中は自業自得さ」
ウィル「俺たちも同じだ」

ワイオミング準州の町ビッグ・ウイスキーの娼館でカウボーイが娼婦をナイフで切りつけた。顔や胸を散々切りつけた。理由は彼の性器のサイズを娼婦が笑ったから。

二人のカウボーイは拘束されて保安官リトル・ビル・ダゲッド(ジーン・ハックマン)が呼ばれた。通常なら鞭打ちの刑だが、保安官は馬6頭を提供する事で鞭打ちせず釈放した。女性、さらに娼婦の被害だから軽く扱われてしまった。

気が収まらない娼婦達は稼いだ金を集めて1000ドルの賞金を掛けて二人を殺害する人間を募集する。広告手段は口コミ。娼館を訪れるカウボーイ達に伝えて広めていった。

無力な人が腕の立つ人間を雇う。『七人の侍』みたい。

20歳そこそこの若者スコフィールド・キッドが養豚を営むウィル・マニー(クリント・イーストウッド)を訪れる。二人のカウボーイを殺して賞金1000ドル山分けを持ちかける。マニーは10歳に満たない男の子と女の子と暮らしている。妻クローディアは天然痘で亡くなっている。豚は病気にかかり農場は破綻寸前だ。

一度は誘いを断ったウィルだったが子供のたちの将来のため賞金首を追うことにした。

ウィルはかつては酒浸りで女子供も殺す無法者だった。クローディアと結婚して酒をやめてガンマンをやめた。

銃の腕も落ちたし馬にもなかなか一回で乗れない。そこで古い友人でスペンサーライフルの名手ネッド(モーガン・フリーマン)を誘ってキッドの後を追ってビッグ・ウイスキーを目指す。

鉄道会社に雇われて反抗する中国人を20人以上殺したと噂のイングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)は保安官に武器を取り上げられて散々暴力を振るわれて人の足元を見た嫌がらせをされて街から追放される。

数を頼みに一方的に正義の名の下に底意地が悪い暴力を振るう保安官。しかし彼にも自分でコツコツ家を建てる夢がある。

かつては酒を飲んで子供まで殺したが妻と結婚して酒をやめて真面目に暮らすウィル。

人間は善と悪にクッキリと線引きできない。

脚本はデビット・ウェッブ・ピープルズ。ハンプトン・ファンチャーが執筆に行き詰まっていた『ブレードランナー』の脚本を引き継いで完成させた事で知られる。原作者フィリップ・K・ディックはピープルズの脚本にも否定的な見解だったけど。(原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』からは登場人物の名前と「アンドロイドを追う刑事」という設定しか共通項が無かった)

ピープルズが『許されざる者』の脚本を完成させたのは1984年。コッポラ監督、ジョン・マルコヴィッチ主演で映画化の企画が立ち上げられたが実現しなかった。イーストウッドは映画化権を手に入れたが自分の年齢がウィルの年齢になるまで10年間近く温めていた。

ウィルは途中で保安官に痛めつけられて娼婦達に匿われて体力を取り戻す。黒澤明『用心棒』、それを元にした『荒野の用心棒』にも同じ様な場面があった。

ウィル「君は俺みたいに醜くない。たまたま傷があるだけだ」

顔を切られたデライラと心を通わせる場面でなぜか胸が熱くなって泣きそうになった。ただでさえ辛いセックスワーカーなのに顔まで傷をつけられたデライラ。

法律を司る保安官が恣意的に法を運用して街を支配する。公正な裁判など存在しない世界では暴力には暴力で立ち向かうしかないという矛盾。

イーストウッドは最新作『陪審員2番』でも法律が正義の名の下に振るう暴力を扱った。

・ジーン・ハックマンの演じるリトル・ビル保安官は数を頼んで相手を手も足も出ない様に牢獄の中に閉じ込めで心理的な虐待をしたり人間的に嫌な奴を好演。イーストウッドはハックマンにロス市警のダリル・ゲイツ本部長をモデルに演ずる様依頼した。SWATを設立し警察官を武装化して黒人に不当に威圧的、人種差別的な警備活動を行なってロス暴動を起こした。

・字幕で「賞金稼ぎ」と訳されている言葉はBounty hunterではなく、Assasin だった。「殺し屋ども」という侮蔑的な響きがしますね。

2025/02/08

2025/02/08

74点

選択しない 


なんで2人殺したんだ?

カウボーイのうちの若い方はなんで殺された?傷つけたのってもう1人の方じゃない?まあ内容はそれなりに面白かった。

2024/02/24

2024/02/25

100点

購入/ブルーレイ 
字幕


総決算

ネタバレ

15年振り4回目。好きな映画の割りにそれほど回数を観ていなかった。イーストウッド西部劇ばかりではなく、西部劇というジャンルの集大成といってもいいか。暴力礼賛という批判が如何に表面的で、本質を見る目に乏しいことか。
ピープルズ自身が驚くほど脚本に忠実な仕上がりだったようだが、主要4人のキャラの一面的ではない複雑さを巧みに描いており、名優陣が見事に演じて魅力的。舞台がワイオミング設定だったことをすっかり忘れていたが、陰影のコントラストが効果的なジャック・N・グリーンの撮影が支える。特に、冒頭・末尾の叙情的な画とイーストウッド作曲テーマでのギター旋律の融合。更にはそれを発展させたレニー・ニーハウスのスコアが沁み入る。

2023/10/02

2023/10/03

90点

選択しない 


西部劇最後の名作

西部劇映画へのオマージュとも感じられるある種ノスタルジーも感じられる名作です。何度見てもイーストウッドの演技には惚れ惚れ。アカデミー監督賞も素晴らしいけれど、主演男優賞も授与して欲しかった。

2023/09/07

2023/09/10

75点

テレビ/無料放送/テレビ東京 
吹替


クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマンと揃い踏み。女子供を容赦なく殺した過去のあるマニーが、子供を育てるためのお金のために再び賞金稼ぎに出かける。あまり気の進まない旧友のネッドも誘う。マニーを誘ったキッドは強い近眼で銃を撃つのは難しい。3人で狼藉者をやっつけてめでたしめでたしとなれば良かったが、なかなかの辛い展開。見応えがあった。

2023/09/01

2023/09/01

60点

テレビ/無料放送 
吹替


定かでなく見極めがたいこと,つまり近眼

人殺しで手のつけられない悪党だったとされる父マニー(クリント・イーストウッド)は2週間で戻ると子どもたちに告げるが,実際に2週間で戻れたのかどうか,定かではない,マニーは金のために殺しもしたというが,彼の名マニーは,どこか金と胡散臭さを連想させる.
近眼のスコフィールド・キッド(ジェームス・ウールヴェット)も5人殺したと言い,自分を大きく見せているが,近眼であるためか大きくも見え,小さくも見える.彼は後半で,やっとのことで人を殺すが,事の大きさに震え,酒を飲み,饒舌になり,結局は殺しの稼業でもある賞金稼ぎから足を洗おうという気分になっている.しかし,実際に足を洗ったかどうか定かではない.
スキニー(アンソニー・ジェームズ)はマニーにいきなり撃ち殺される.何か悪いことをしたのであろうか.悪いことをしていなければ撃たれないというわけでもないが,強いて言えば,店の前に棺桶を掲げ,その中に死体を飾り立てていることの罪があったとも言える.ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)の妻サリーは呪う目でマニーを見ていたという.そのせいかネッドとマニーの相棒同士である二人は落馬してしまう.黒いマフラーをして,雲の様子を見ていたマニーは荒れ模様の予感を隠せない.雨の中,ビッグ・ウィスキーの街の酒場にマニーらはたどり着くが,彼らはどうしても呪われてしまったようである.マニーは熱があるように汗をかいて震え,銃を持っていないと言い張り,リトル・ビル(ジーン・ハックマン)に銃を奪われ,蹴られ,這いずり回っている.マニーの前には,嘘つきなのか本物なのか定かではないイングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)は,リトル・ビルにひどく蹴られ,檻の中で寝転んでいる.尿を漏らすブーシャンプ君(サウル・ルビネック)は西部を物語化し,こうした真偽定かでない男たちの武勇伝を流布しようとしている.ブーシャンプ君は,しかし雨に撃たれながらもマニーの所業を目撃しようと眼鏡を掛け直している.リトル・ビルの日常的な暴力や,彼がビッグ・ウィスキーの街に流れてくる者たちから奪う銃という暴力は,そうした数々の物語を陳腐化しようとしている.
娼婦デライラ(アンナ・トムソン)の傷は果たして物語として語り継がれることになるのだろうか.