誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<5月リリース作品>

狂気を演じる凛子の圧巻の狂気

『トレジャーハンター・クミコ』

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ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより4月26日リリース

(C) 2013 BY KUMIKO, LLC. ALL RIGHHTS RESERVED.

 【STORY】29歳のOL・クミコは仕事にも身が入らず、荒んだひとり暮らし送っている。そんな中、偶然見つけた『ファーゴ』のVHSテープから、劇中の話が実話であると信じ、雪原に埋まる大金を掘りだそうとアメリカへ向かうが…。

【オススメCOMMENT】 これは、アメリカで亡くなったある日本人女性の死が、『ファーゴ』の話を信じて現地に赴き凍死したと、都市伝説化した話を基にしたフィクション。菊地凛子による無気力この上ない暗い女が、ちょっと可笑しいくらい怖い。何より三白眼の目が怖い。上司に淹れたお茶に唾を投入するなど、行動がいちいち怖い。こんな人が実際にいたら相当きついなぁと思うけど、終盤、はっとする美しさを見せる。理由はきっとアレだけど、そのギャップを見せつける菊地凛子はやっぱり上手いなと唸ります。

 

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“ありのまま”を求めた若者たち

『ストーンウォール』

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アットエンタテインメントより5月2日リリース

(C) 2015 STONEWALL USA PRODUCTIONS, LLC

【STORY】史実を基に描いた、若者たちの愛と反乱の感動作。ゲイであることが発覚し、追われるように故郷を出たダニーは、N.Y.のグリニッジ・ビレッジへやって来る。そこでゲイのギャングを率いるレイと出会い…。

【オススメCOMMENT】LGBTの人々が不当な扱いをうけていた時代を舞台に、“ありのままに生きる事”を望んだ若者たちの生き様を描く。史実をどこまで忠実に描いているかはわからないが、この映画が私たちに「人間の平等」ということについて考えるきっかけを与えてくれることは間違いない。そして最も印象的なのは、過酷な日々を送るはずの彼らが、明るく前向きに生きている光景。ありのままを受け入れ、自分自身を愛している人間というのは本当に強く、逞しいと思う。

 

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愛の奇跡を描く、もうひとつの物語

『美女と野獣』

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アクセスエーより5月2日リリース

 (C)Lux Vide S.p.A (2014)

【STORY】18世紀フランス。城主・レオン大公は火事で妻を亡くし、顔に醜い傷を負ってしまう。絶望のあまり無慈悲な圧政者に変貌してしまった彼のもとにある日、美しい娘・ベルが父の借金返済のために奉公にやってくるが…。

【オススメCOMMENT】城主のレオン大公は意地悪だし、他の使用人たちもやたら嫌味を言ってくる。かなりめげそうな状況なのに、明るく前向きに働き続けるベルがとにかく可愛い。傲慢なレオンが次第に彼女に心を開き始める姿にも感動しちゃいます。しかし、ようやく2人が本物の愛を感じ始めた時、レオンに長年想いを寄せる従妹エレーヌからの攻撃は加速。そして明らかになる、彼の妻の死の真相…。どんな状況でも愛はすべてを乗り越えられるのか…? 運命の愛と奇跡を描く珠玉のラブストーリー。

 

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家族だから知られたくない秘密

『ファミリーズ・シークレット

秘密を抱えた家族』

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トランスワールドより5月2日リリース

(C)2009 City island, Inc.

【STORY】NYの海に囲まれたシティ島に住むヴィンスは看守として働く傍ら、家族に内緒で俳優養成所に通う。彼の妻、長女、息子たちもそれぞれ明かせない秘密を持ちながら日々を送る中、ヴィンスに隠し子がいることが判明する。

【オススメCOMMENT】主演はアンディ・ガルシア。『ゴッドファーザー PART Ⅲ』ではいろんな意味でちょっと浮いた存在だった彼も、年を経ていい役者になってきたことを本作では証明します。家族に内緒で俳優の養成所に通う中、オーディションでマーロン・ブランドを真似て台詞を読むサービスカットもさらりとこなし、同じ養成所の女性からの微妙なモーションにも対応する誠実さを滲ませ、全編を通して重要なユーモアも感じさせる。家族の秘密も何だか笑えて、一挙に明るみになるクライマックスは痛快です。

 

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ゾンビ撃ち放題の島へようこそ!

『ゾンビ・サファリパーク』

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ポニーキャニオンより5月3日リリース

(C)MMXV THE KRAKEN FILMS AIE All RIGHTS RESERVE

【STORY】ゾンビ世界大戦から7年。戦争で父を亡くしたメラニーは、ゾンビ狩り療法の評判を聞き、パートナーと共に「リゾート」を訪れる。ゾンビ狩りを楽しむ中、セキュリティが制御不能となり、島中にゾンビが解き放たれてしまう。

【オススメCOMMENT】バカンスしながら、ゾンビが撃ちたいだけ撃てる。そんな夢を叶えるのがここ「REZORT」です!(原題はRESORTとZ(ゾンビ)がくっついたナイスな造語。)何やらゾンビ世界大戦なるものが勃発し、終戦後に“心の癒し”としてこの狂った楽園を創設。もちろん入場料はとりますが、払ったら撃ち放題…のはずが、システムエラーでゾンビは人間を喰いだすし、挙句の果てに島が空爆される時限爆弾まで作動。昨日の友は今日のゾンビ…。全ゾンビから逃げる最後の俯瞰は圧巻デス!

 

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幸か不幸か、哀しき魚人間

『フィッシュマンの涙』

●フィッシュマンレンタルジャケ*

クロックワークスより5月3日リリース

(C)2015 CJ E&M, WOO SANG FILM

【STORY】製薬会社の治験バイトに参加した若者が、原因不明の副作用で魚人間に突然変異してしまう。事件はあっという間に世間に広がり、若者は一躍脚光を浴びて時代の寵児になるが、やがて奈落の底に突き落とされ…。

【オススメCOMMENT】若者が金目当てで治験バイトに参加、その後顔が魚になってしまった、という世にもおかしな話だが、治験の危険さも炙り出していて、妙にリアル。貧困世代に支持され、グッズまで売られ人気者となった魚人間。昨日まで何者でもなかった若者が、“突然変異”でアイドルになる。彼は、常に注目を欲する若者の具現なのかもしれない。水分補給は常時マストで、魚でいるのも結構大変なんだ、と始終無言で訴える様はツボ。“人間に戻るかどうか”の最後の選択まで極めてシュールだった。

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■前回の誰シネ(4月リリースタイトル)はこちらから

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