ジミー、と打ったはずのものが「地味ー」に変換されたのだけど、ほんとうに地味な映画。よけいなものは削ぎおとされて、地味というか、滋味である。主人公の恋愛が進展することもなければ、キャプラ的な演説が物語を勝利へと導くこともない。英国の俳優にたよらず、アイルランドじゅうから集められたという役者たちがとてもいい顔をしていて、まるでアウグスト・ザンダーが写真におさめた階級の肖像のようでもある。英米から冷静に距離をはかる、これはアイルランドの物語＝映画である。