俺はつらいよ

　恋心が相手に伝わらずにすれ違い続けるストーリーのジャンルの１作品かな？
　劇中、『男はつらいよ』のテーマ曲にそっくりな音楽が流れるシーンがあるが、寅さんがマドンナに恋心を抱きつつ、もっとふさわしい男がいると決めつけてその２人の仲を取り持とうとする定番の展開は、この作品の設定と重なる。

　「すれ違いの恋愛関係を、イライラを感じつつもそのイライラも楽しんで観る」というジャンルの映画は、実はさじ加減やセンスがとても重要な難しいジャンルだと思った。
　過度にバカっぽ過ぎたり長く引っ張りすぎたりしてもダメだが、逆にそんな表現が分別のある大人ぶって遠慮がちでも面白くない。
　わざとらしさもありつつ、絶妙な間で観る者の期待をかわしながらの展開。

　この作品の結果はと言えば、単純に『男はつらいよ』と比較すると、「ちょうどいい塩梅のところで抑えて、やり過ぎない」という点では作り手のセンスが大きく欠けていて、精神年齢が低くなり過ぎてしまったかな？