敵役を応援したくなるぅ

　男女の高校の同級生が恋に落ちるが、２人とも過去の経験で心に傷を負っていて関係が悪化し、２人でそれを克服していこうとする…。

　このストーリーだけだと、何の面白味もない陳腐な恋愛映画。
　それを引っ掻き回して存在価値のある作品にする役割を果たせたかもしれなかったのが、２人の仲を裂こうとする窪田正孝演じる同級生。
　彼は、藤ヶ谷太輔演じる主人公の強くて硬派なところを小さい頃から憧れていて、そんな特別な存在の彼を軟派な人間に変えようとする恋人などの存在が現れる度に、理想像を守るために手段を選ばずに邪魔者を排除してきたという「異常な愛情」の持ち主。
　「好きな人の陳腐化は妨害してやる」という彼の想いは、「陳腐な映画なんか許さない」という私の気持ちと重なって、「もっと映画をかき回してくれ」と期待しながら観た。
　しかし、結局はアイドル藤ヶ谷目当てのいたいけなファンの気持ちを考慮してか、異常化への展開は避けて抑え気味にして、甘い感触の当たり障りのない映画の方を作り手は選んだみたい。

　ちぇっ、つまんねーの。