実は連敗男だった

　あらすじを読んで、何かしらの１位になる願望に取りつかれて、脇目もふらずまい進するポジティヴ思考の主人公の話かと思った。
　実際には、主人公は思い通りにならない現実とちゃんと向き合って、折り合ったり挫折しながら年を重ねる設定だった。

　ままならない人生を送る多くの人々の共感を得て、そんな人たちにエールを送って前向きな気持ちを持つことの後押しをするという、作品の目的と思われるものは達成できていたのは良かった。

　ただし映画としては、その目的を最初に立てて、そこから逆算してストーリーなどを作った感じがして、あまりにも目的重視で豊かさの肉付けが不十分で、観ていて身もふたもない作品だという印象を受けた。