鈴木清順とは何かが全然違う

　台詞や映像、ついでにタイトルクレジットなどの、表層＆枝葉末節的な所に異常に入れ込んでイジリまくっている映画。
　レストランに例えると、外装や内装や料理の名前などに凝りまくっていて、そんな所に注力してたら、肝心の料理自体は相対的に適当で、それでも客なんてだませると思ってる店だと勘ぐって、真剣に向き合う気にならない。

　でも、表層に異常にこだわる映画といえば、本作にもチョイ役で出演している鈴木清順監督の作品があるから、それが必ずしも悪いとは言えない。
　結果的に清順作品には全然及ばなかったのだが、何か欠けていたか？といえば、一言でいえば「センス」だろうか。
　突き抜けた表現を目指していたのかもしれないが、凡人でも思いつく程度止まりで、清順は更にそのはるか先の領域で遊んで見せている。
　もしくは、清順作品には美術の木村威夫の映像面の貢献が大きいので、そのような人の存在の有無が大きく影響してるのかも。