TVと違う特別な劇場版

　TV版は教養番組の要素が大きく、他の時代劇と比べて時代考証は遥かに厳格で、要潤演じる過去を目撃するジャーナリストである主人公の彼が撮影する主観映像で構成されていて、画面に無名の役者ばかりで彼はほとんど映らないというふうに、リアリズムが徹底されていた。
　それでいて、ストーリーはスリルに満ちていて、娯楽としても楽しめるという、稀有なTVドラマだった。

　劇場版を作るに当たって、取材対象に密着するだけだった時空ジャーナリスト達が、歴史の改ざんを修正するために工作活動や戦闘も行うようになって画面内でも中心的に映るようになり、有名俳優も多数出演させて、TVとは違う路線を狙ってきた。
　スリリングな展開は引き継がれていたが、過去の名もない人々の生き様に脚光を浴びせていたことがTV版の魅力だったのに、前面に出て来たジャーナリスト達の陰に回ってしまい、その良さが薄れたのは残念だった。