色々ハードルが高い

　観終わってみれば『イントゥ・ザ・ワイルド』のような作品で、「なぜ命を危険にさらしてまで冒険をするのか？」と問われる冒険家が、命がけの挑戦の果ての生死の間の境地を経験することで初めて到達できた、半ば妄想とも思われる悟りを描いていた。
　普通の生活をしている人間にとっては異常な世界に身を置いている人の、更には心の中を描こうとしているので、理解するのはとても難しい。

　以上の点だけでも大変なのだが、ストーリーが冒頭はエベレスト初登頂のマロリーの謎を軸に進むが立ち消えて、次が阿部寛演じる登山家の過去が軸になるがそれも立ち消えて…、という風に話題がコロコロ変わり、まるでミスディレクションが仕組まれていてはぐらかされている気分だったが、その意図が解らない。
　混乱を招くだけにしか思えない。