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鑑賞日 2013/04/16  登録日 2013/04/16  評点 80点 

鑑賞方法 映画館/神奈川県 
3D/字幕 -/-
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進化した石井ワールド

「あぜ道のダンディ」公開前に石井裕也監督をインタビューした際、「この映画は僕(当時28歳)にとって近未来映画。自分が50歳になったら、かっこ悪くても粋を貫くこんなオッサンになりたいんです」と語っていた。

「川の底からこんにちは」も「舟を編む」もそうだが、石井ワールドは、生きることに不器用な主人公が、極めて地味な世界で地味に奮闘し、やがて人生の勝利者のような微笑みを浮かべながら、幸せの道筋を見つけ出す。時代が変わっても、文明の利器が変わっても、決して変わることのない人間の根本、すなわち「魂」の部分に「おい、がんばろうぜ!」とエールを贈る彼の映画は、老若男女の壁を飛び越え全ての人を虜にし、主人公と同じ心の旅がしたい、同じ朝陽を見てみたい、と思わせるのだろう。

自分をうまく表現できない馬締(松田龍平)が、言葉の海に溺れそうになりながらも必死に食らいつき、やがて泳ぎを覚え、ゴールをめざす成長の軌跡が、周囲の人間と呼応しながら育まれていく本作は、まさに石井節の真骨頂。原作本への遠慮からか、メジャーへの脱皮を意識してか、やや荒削りで奔放な個性が鳴りを潜めてしまったが、期待を裏切らない素敵な作品に仕上がっていた。みんな、汗かいて仕事しようよ。セミナーばかり行ってたらアホになるぜ。