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ルノワール
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大島渚賞受賞作品で、審査委員の黒沢清監督が「ホラー映画」のようだと言っていたとおり、この屈託のない表面的には素直だが表情をほとんど変えない主人公の少女フキの行動は、あまりにも強烈で残酷。 テーマを軽々しく「家族と死」と言葉にすると陳腐に聞こえる。 冒頭で世界中の子どもが泣くビデオ(80年代という設定)を見るフキ。このあと、孤独な女性(河合優実さん)の亡くなった夫がこれを見て興奮していた事実が明かされる。このギャップ。伝言ダイヤルで連れ込まれたフキが、素直に歯磨きをしてもらい、偶然に難を逃れるシーン。胎児のように浴槽に隠れる。 入院中の父親が、家に戻ると喪服が飾られている残酷。 年上の友だちの家の出来事。ケーキを食べようとするが、父の表情を見て「甘くないかしら」と言ってフキが持っているケーキを取り上げる母。この母はフキに靴下を買ってあげるが、履いていた靴下を汚そうに取り上げてビニールに入れる。結局この家でフキが見つけた父親の浮気写真が原因で、彼女たちは青森の母の実家に行くことになる。 物語が残酷なのではなく、それぞれのシーンが残酷な映画。 フキの母(石田ひかりさん)も、仕事で挫折してメンタルトレーニングのカウンセラーと親しい関係になる。余命いくばくもない父(リリー・フランキー)も、高価な買い物をして妻に叱られる。(この父は笠松競馬場で財布を失くしてしまう。) 早川千絵監督の原体験をそのまま映像化した作品は、タイトルの「ルノワール」と全く関係のない展開。父が亡くなっても、友だちが引っ越しても、伝言ダイヤルで誘われた家から追い出されても、フキは表情を変えない。この無機質さがは、彼女が表情を示す(感情をあらわにする)機会がない社会を象徴するようだ。 80年代の家族が“すでに空洞化している状態”を示す映画だ。ぬくもりがほとんどない社会の縮図をフキに背負わせる残酷な映画。
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