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ひいくんのあるく町
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青柳拓監督が地元にいつもいる“ひいくん”とその家族を見つめながら、町が静かに、しかし確実に衰退していく姿を捉えた傑作である。日本の地方都市は、すでに完全な崩壊状態にある――そう突きつけられる。 障害者施設の実情を優しく描いた『フジヤマコットントン』。本作は、その青柳監督の原点ともいえる卒業制作だ。あの『フジヤマコットントン』のラストで観客に突きつけられたメッセージは、ここでも確かに生きている。 監督の地元とはいえ、これほど多くの人々がカメラに協力していることに驚かされる。時代の変化、移りゆく社会そのものを、町の風景と人々の姿によって描き出し、そこに“ひいくん”を置くことで、この映画は確かなドラマを成立させている。 変わりゆく商店街を“ひいくん”が歩き、カメラの前を通り過ぎていくラストは、あまりにもシンプルで、そして美しい。誰もが“ひいくん”のことを知っているという不思議な世界。それは、地域社会が人を守ろうとする、ごく当たり前の営みを示している。裏を返せば、都市化とは人を見殺しにする社会なのだと言える。 青柳監督の優しさが全編にあふれた、心から感動する作品だった。
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