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もしも徳川家康が総理大臣になったら
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B級、あるいはC級、いや、もっと低俗な映画である。映画としての価値はほとんどないと言っていい。演技は拙く、いかにもテレビドラマ的な演出にうんざりさせられる。こうした映画が日本映画界をダメにしてきた典型例だ。 しかし、原作に由来する極めてリアルなSFとしての面白さは否定できない。コロナ禍で低支持率の首相が亡くなり、新たにAIを駆使した「偉人内閣」を設けるという設定。総理大臣に徳川家康、官房長官に坂本龍馬という構成からして、すでに馬鹿げている。 ところが、国民一人当たり50万円を配るベーシックインカム、ロックダウンによるコロナ根絶、国債を大企業に買い取らせて財源を確保する仕組み、さらに外国企業を誘致し税制を優遇する「楽市楽座」制度の復活――これらの政策は、荒唐無稽に見えて実は理にかなっている。 実際、「楽市楽座」に近い政策を推進したアイルランドは、現在、一人当たりGDPで世界2位(2024年調べ)に躍進している。日本は40位で、アイルランドの3分の1以下に過ぎない。 後半、豊臣秀吉の策謀によって謀反人として幽閉される家康は、やがて復活し、独裁者・秀吉に熱狂する国民に向けてメッセージを発する。無防備に熱狂し、独裁者を支持する国民を目覚めさせようとする家康の言葉は強烈だ。 しかし同時に、秀吉の「何も考えない国民は、わしの言うことを聞けばいいのじゃ」という洗脳の論理が、現実として成立してしまう社会を、この映画は肯定的に描いてしまう。 要するに、愚かな国民は、愚かな政治を支持するということだ。 これは、まさに今の日本そのものではないか。SNS(クラウドワークスなど)に流通するニセ情報に踊らされ、多数派であることに盲信する。この国の愚かさを、最後に突きつける点だけは見事だと思う。 「翔んで埼玉」や「はたらく細胞」などのヒット作を連発してきた、テレビ出身の武内英樹監督と脚本家・徳永友一氏のコンビが、テーマ的には見事にハマった作品ではある。しかし、映画としてはあまりにも陳腐で、せっかくの題材が台無しになっているという印象は拭えない。 とはいえ、テーマ曲に「大江戸捜査網」を使い、我々60年代生まれ世代を一気に興奮させる手法には、まんまとハマってしまった。
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