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みんな元気(2009)
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みんな元気という嘘を描く映画である。素晴らしい映画。 電車の中で、見知らぬ女性が主人公に語る。「“アリス”はギリシャ語で“真実”を意味するのよ」。その言葉が、やがて訪れる台風〈アリス〉とともに、物語の主題を静かに照らし出す。 妻を亡くした老いた父親は、家族の絆を取り戻そうと、子どもたちを自宅に招くが、全員に断られてしまう。持病を抱えながらも、彼は一人で子どもたちの家を訪ねていく。どの子も立派に暮らしているように見えるが、どこかに翳りがある。「幸せか?」という父の問いに、彼らは笑って答えを濁す。 長い旅の果て、薬を切らして倒れた父は病院に運ばれる。集まった子どもたちを前に、彼はついに真実を問いただす。外のテーブルを打つ雨音――それが台風〈アリス〉であり、彼らの間に隠されていた嘘と沈黙を洗い流してゆく。 電話線をつなぐ仕事を淡々と続けてきた父親にとって、子どもたちの夢の実現こそが自分の夢だった。だが、夢を手にした彼らは、必ずしも幸せそうには見えない。父の旅は、家族という名の“通信不良”を修復する試みであり、真実に触れる痛みを引き受ける旅でもあった。 その構図は、小津安二郎の『東京物語』を思わせる。実の親子よりも、亡き息子の妻が両親を気遣うあの映画のように、ここでも血のつながりを越えた思いやりが家族を結び直す。 サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア、ケイト・ベッキンセイルは、それぞれの現実と葛藤を繊細に演じ、父を演じるロバート・デ・ニーロは、孤独と誇り、そして静かな悟りをにじませる。 「みんな元気」というタイトルが、これほど切ない嘘として響く映画はない。
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