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鑑賞日 2025/08/16  登録日 2025/08/17  評点 89点 

鑑賞方法 映画館/東京都/ヒューマントラストシネマ有楽町 
3D/字幕 -/字幕
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映画愛とマフィアの狭間

主人公はもちろんキムさん。しかし、映画の終わりには「え、ここまで?」と二度見必至の大スケール。まるでバンクシーのいたずらのように、ドキュメンタリーというより冒険譚だ。

前半はレンタルビデオの原点を巡る旅。街で「キムズ・ビデオ知ってます?」と聞けば誰も知らない。でも確かにそこには映画文化の火が灯っていた。ベータとVHSが映画を我々の家に届け、映画館だけでは味わえない熱狂を生んだ。映画館のスクリーンでしか見ることができなかった映画をレンタルで手にすることができるようになったのだ。

監督ふたりはカメラを武器(「フェイブルマンズ」さながら)に、消えたビデオ奪還作戦へ。映画愛が炸裂する様子は、まるで映画パズル大会。見ているこちらも笑顔が止まらない。さらに驚きは、膨大なコレクションがイタリアの観光事業や汚職に使われていた事実。サレミ市長の「時間がない!」の一言。彼らは映画に興味などない。

クライマックスはアクションコメディ。顔写真で覆面した映画の偉人たちが、捨てられたビデオを取り返す。作者の「ニューヨークに戻すべき」という信念は、映画オタクなら胸が熱くなる瞬間だ。

だが裏社会の恐怖もリアル。マフィアや命を落とした捜査官の話は、コーエン兄弟の延滞料がちょっと怖くなるレベルで、笑いとヒヤリの絶妙バランス。

『キムズ・ビデオ』は、映画オタクの夢と現実のカオスをユーモアたっぷりに描く傑作。笑いながら映画愛を再確認できる、全ての映画好き必見の一作だ。