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鑑賞日 2025/06/28  登録日 2025/06/28  評点 65点 

鑑賞方法 映画館/東京都/ヒューマントラストシネマ有楽町 
3D/字幕 -/字幕
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ラストシーンの意味

無表情の主人公が一粒の涙を流す。その意味は映画の中で全く説明されない。涙を流すシーンでかかる「何でもない日常がダイヤモンドのように輝く」の意味を日本人ではわからない。イスラム原理主義のアフガンを追い出されて命からがらアメリカの片田舎「Fremont」にたどり着いた彼女にとって、この歌詞の意味は重要だ。

そしてカウンセリングを受けたり、道中整備工とであったりした最後に「鹿」と出会うラスト。そしてその先を通り過ぎる列車を見過ごして映画は終わる。エンドロールで再び「何でもない日常」についての曲が流れる。

鹿は「幸福」のメッセージとも言われることがある。主人公にとってまさにフォーチュンクッキーに書かれた明るい未来を期待して向かった先に待ち受ける現実はあまりにも悲しい。

表情を失ったドニヤの思いは、何でもな日常を手にすることすらできない現実をリアルに示すものだ。彼女はおそらくこのままアメリカで屈辱的な日常を繰り返すだろう。しかしアフガニスタンに帰れば、そうした日常すらも保障されない現実が待ち受ける。

無表情と沈黙が何を意味するかは、アフガニスタンの歴史と現在置かれている現実を学ぶ必要がありそうだ。